日本の春―北国の春
上野公園の
と不忍池のコブシ

02/04/03


インターネットなどの情報端末の普及により、
地球が グローバル化されていると言われています。

“土屋薬局 中国漢方通信”でも、例外ではありません。


当初 このホームページを立ち上げた時には、
誰一人として見てくれないのだから、
自分が好きなことをアップしていこう、自分が読んでいて面白いホームページにしよう!
と決意して、はや4年経ってしまいました。

ところが、最近では 中国やサハリン(樺太)、ニュージーランド在住の方からも
メールが来るようになりました。


昨年の11月には、「サハリンは もう零下15℃の世界です」とメールを戴ければ、
極寒の地に 思いを寄せていました。


今日は、ニュージーランドにお住まいの方から、メールが届きました。

無事に、漢方薬が到着したそうです。

さすがに、クロネコヤマトさんは、海外には飛びませんので、
国際宅急便は 「郵便局」から送るのが一番です。


この方に、最初にお送りしたのが、昨年の12月のことでした。

必死の思いで 長靴を履いて、雪降る中を 郵便局を目指しました。

SAL便という飛行機便ですが、1週間ほどで 常夏のニュージーランドのご自宅へ
無事に(;_;) 荷物が届いたとメールを頂いた日には、とても嬉しかったです。


しかも、サンタさんがやって来たかのように、
クリスマスの日に、きちんと届きましたと、「Merry Xmas !」とのメールでしたので、
一人で過ごしたクリスマスの夜に、私も 心が暖かくなりました。


クリスマスのニュージーランドでは、
サンタさんは、あの赤い服を着て、サーフィンをして登場してくるらしいです。
(真実のほどは、読者の皆様が確かめてくださいね)


日本の季語では、12月は 「師走となり、心忙しい毎日ですが、時節柄くれぐれもご自愛くださいませ」
となりますが、ニュージーランドでは、「蝉が鳴いています」となります。

雪で閉じ込められた頭の中には、幻想が湧いてきます。


さて、今の時期のニュージーランドは、「秋」だそうです。

落ち葉が多くなってきていて、寒さが忍び寄ってきているそうです。


ちょうど、日本とは 季節が逆になっているのですね。

海外便ですから、本当は 重量が軽いほうが良いのですが、
今回は オレンジページの漢方特集号「風邪の漢方」なども お入れしました。

「ちょっと時期外れかな・・」と思っていたのですが、
ニュージーランドでは これから冬に入るそうですので、ちょうど良いタイミングだったそうです。


「日本の春が懐かしいです」


分かりました。

私も 海外に移住していたら、きっと「日本の春」が懐かしくなることでしょう。


今回の漢方コラムは、海外在住の方々へ、「日本の春」をお届けしようと思います。




2001年3月21日に撮影しました。

日本は、「春分の日」の祝日でした。

ちょうど、季節の変わり目ですね。

漢方コラム17話 「彼岸花」に、
「お彼岸」についてを考察していますので、
参考にしてくださいね。

「暑さ、寒さも彼岸まで」




今年の日本は、異常気候でした。

山形も、ほとんど雪が降らずに、
まるで夢のような、雪かきをしない一冬を過ごしました。

本当の山形県の冬は、
漢方コラム24話 「雪は天から送られた手紙である 2」にアップしています。

このコラムは、夏の暑い日に読むと、涼しくなるので
好評を頂いています。


桜も、例年よりも 1週間早く満開です。

花見のスケジュールや、「桜祭り」などの行事も
桜が あっという間に、満開になってしまったので、
大変だったようです。




そうそう、申し遅れました。

この写真の撮影場所は、
「上野公園」です。

そして、桜の名前は 「ソメイヨシノ」です。

この日は、祝日ということもあって、
夜のテレビのニュースは、各局とも
当日の「上野公園」の「桜」特集でした。

私も、テレビカメラや新聞社さんの邪魔にならないように、
デジカメで撮影します。

それにしても、桜の花は
美しいですね。

日本の心であります。




日本テレビの町亞聖さんです。
確かに、私は 有名人によく会うかもしれません。
この前は、佐野実さんや 服部幸應さんを見かけましたし、
3月3日の帰りの新幹線には、
あの柱谷幸一監督が私の席の3つ前に座っていました。
無名コラム「ガチンコ ラーメン道」
無名コラム「モンテディオ山形 J1への道」
も、愛すべきコラムですので、お暇でしたらご覧になってください。

がんばれ!モンテディオ! 最強の挑戦者(チャレンジャー)だ!




「桜」の漢方的な考察は
漢方コラム43話 「坂町の寺桜」にアップしています。

さて、弁天堂を目の前にしています。

ほんとに、花見客で大賑わいの上野公園界隈ですね。





この日(3月21日)は、「国際中医師試験合格体験談」の依頼で、上京しました。

朝一番の新幹線に乗って着ましたので、上野駅には 9時25分には到着です。

講演は、午後1時からですから、たっぷりと散策できます。

山形の田舎に引っ込んでいるせいか、最近は この時ぞ!とばかりに、
西洋美術館などの展覧会巡りをして、楽しんでいます。

昨年は、MoMA ニューヨーク近代美術館名作展は、素晴らしかったです。

ジョルジオ・デ・キリコ 「不安な旅」、サルバドール・ダリ  「記憶の固執」
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 「オリーヴの木」、ヴァシリー・カンディンスキー 「射手のいる絵」
アンリ・マティス 「ダンス(第一作)」「蛇のような女」「ジャネット」
コンスタンティン・ブランクーシ 「新生児」「ソクラテス」「おんどり」「ブロンドの黒人女 II」
ピカソ 「三人の音楽士」「女の頭部(フェルナンド)」「雌山羊」、アンリ・ルソー 「夢」


今回の展覧会は、すべて素晴らしいものだったのですが、
上記に挙げたものは、その中でも 私が好きなもの、感銘を受けたものです。

マティスの女性のブロンズ像 「蛇のような女」「ジャネット」、
ブランクシーンの金色に輝き、美術館全体を映し出す卵―「新生児」
ピカソのブロンズ像 「女の頭部(フェルナンド)」「雌山羊」などは、
この世の中の最高芸術でしょう。

機会がありましたら、もう一度見たいです。


さて、いつもとは、違う空気が覆う上野公園。

それは、やはり 桜のもつ一種独特の雰囲気でしょう。

この時期を逃せば、散ってしまいます。

美しさ、刹那さ、出会いと別れ。


「さよならだけが、人生さ」

「一期一会」


お花見の喧騒の中、きっと皆も 心の中に秘めたものを感じているに違いないでしょう。






弁天橋を通って、不忍池の周りを散策します。

すると、見えてきました。

どうやら、この上野公園全体で、ここだけ自生しているようです。

白い可憐な花は、桜にも増して きれいです。


皆が、花見や鴨に熱中しているなら、「私、コブシの味方です!」



北国の春

いではく作詞・遠藤実作曲

白樺 青空 南風
こぶし咲くあの丘 北国の
ああ 北国の春
季節が都会ではわからないだろうと
届いたおふくろの小さな包み
あの故郷へ帰ろかな 帰ろかな

雪どけ せせらぎ 丸木橋
落葉松の芽がふく 北国の
ああ 北国の春
好きだとおたがいに言いだせないまま
別れてもう五年あの娘はどうしてる
あの故郷へ帰ろかな 帰ろかな

山吹 朝霧 水車小屋
わらべ唄聞こえる 北国の
ああ 北国の春
兄貴も親父似で無口なふたりが
たまには酒でも飲んでるだろか
あの故郷へ帰ろかな 帰ろかな




日本の名曲 「北国の春」のメロディーが、心に流れます。

桜だけが、春ではないのです。

私たち、東北の人間は、コブシを見ると、春を感じるのです。

可憐な、きれいな花ですね。

胸を打ちます。




今年は、日中友好回復30周年記念です。

これからの21世紀は、過去を乗り越え、
隣人たちと友情を深めていくことが、
世界平和の役にたつと信じていますが、そのためにも
「北国の春」は、マスターしましょう!

中国の人たちと、宴会をするには、この詩は 必須です。

カラオケでは、中国語で歌えると、完璧ですね。

中国人も、「北国の春」は大好き。

こういうところから、日中友好をするのが正しいでしょう。





さて ここは “土屋薬局 中国漢方通信”


まずは、私の師匠 貝津好孝先生の「日本の薬草」(小学館 1995年7月20日発行)より。

(貝津先生、いつもお世話になっています)


コブシ〔日本辛夷〕 モクレン科。

地方名:ヤマアララギ、コブシハジカミ。

日本特産で 山地に生える落葉高木。


薬用部位

花の蕾(つぼみ)

春の初め、開花前の花の蕾を採集して 天日乾燥する。

タムシバも同様に使用できる。

中国では モクレンを辛夷(しんい)、ハナモクレンを玉蘭(ぎょくらん)と呼び、
それぞれの蕾の薬物名を 辛夷としている。

辛夷が日本に伝わる前は、コブシやタムシバを辛夷の代用品として使っていた。


薬効

蓄膿症、鼻づまり。


使用法

1日2〜3gを400tの水に入れ、30分ほど煎じて 3回に分けて服用する。

独特な香りがして 飲みにくいかもしれないが、
蓄膿症や 今はやりの花粉症の鼻づまりには、抜群の効果がある。

また、乾燥したものを粉末にして、1回0.1〜0.2gを 1日3回お湯で服用してもよい。

からだを温める薬草なので、
多量に飲むと めまいや目の充血をおこすことがある。



貝津先生は、福島県の先生です。

東北の人間が薬草の本を執筆すれば、コブシにも思い入れが入ることでしょう。





さて、次は 私の母校 星薬科大学の大先輩 星薬科大学名誉教授 井沢一男先生の
「続 薬草カラー図鑑」(主婦の友社 昭和60年発行)より。


コブシ(モクレン科) 生薬名 辛夷(しんい)


わが国の特産で、北海道から わが国全土に野生、または栽培される。

筆者の生まれ育ったところは 栃木県の河内郡であるが、
この辺の旧家のおもかげを とどめている農家の屋敷には、
15〜16mもあろうかと思われる コブシの大樹が 植えられていることが多い。

4月上旬〜中旬ごろが花の見ごろで、
春のやわらかい空をバックに 咲き競うコブシの花は、
このあたりの田園風景の一こまとなり、田舎の平穏さがにじみ出ていて、
好きなながめである。


農作業の目安

この辺では、コブシの花をイモウエバナと呼び、この花の開花を見て、
農家は半地下に蓄えておいた里いもの苗をとり出し、畑に植え込む。

また、たくさんの花をつければ、豊年であるとして、
豊凶のいかんを占うことに利用している。


類似植物

生薬辛夷はその昔、日本にモクレンがなかったために
コブシの花のつぼみを乾燥したものを利用していたが、
近年は、コブシよりも 香気の強いタムシバを利用することが多くなった。

しかし、コブシの辛夷も効果においては、さほどの差はないので、
身近に採取できるときは、利用するとよい。


コブシは がく片が小さく緑色で3枚、花弁は6枚で、花柄の下に1枚の葉がある。

葉は倒卵形で、先が凸出し、裏は緑色。


また、類似のタムシバは、がく片は花弁と同質で、長さは花弁の二分の一。

葉は披針形で、下面は白色を帯びている。

タムシバは、前著27ページを参照。


採取時期と調整法

開花直前の3月下旬から4月上旬ごろに 花のつぼみをとり、
風通しのよいところで陰干しにする。


成分

シトラール、シネオール、オイゲノールなどを含む精油。


薬効と用い方

蓄膿症・鼻炎に

モクレンと同じように、辛夷15g、蒼耳子(そうじし)9g、白止(びゃくし)30g、ハッカ葉15gを細末にして、
1回6gずつ、毎食後に服用する。




「日本の春」―桜と 「北国の春」―コブシの揃い踏みです。

春は、気持ちが良いですね〜

土屋薬局 中国漢方通信/不妊症の子宝相談。男性不妊の漢方相談
さあ、時間が迫ってきました。

そろそろ、東京駅前の八重洲ビルに行かなければなりません。

1時間も、講演する時間があるので、どうしようかな。

では、「Spring has come in Japan」を感じる 上野公園は不忍池からのレポートを終わらせて頂きます。












コブシの冬芽です。
花が咲く前のつぼみ(冬芽)を、漢方では辛夷(しんい)として鼻炎などに利用します。
銀色に輝く冬芽は、早春の猫柳(ネコヤナギ)の花穂にも似ています。
春を待つ冬の風景が好きです。(03/12/26神町で撮影)