中国漢方のお話(10) ココロとカラダの悩み解決

秋の夜長の不眠を解消

不眠、不眠症の漢方、漢方薬


山形県東根市神町中央通り 土屋薬局 薬剤師・国際中医専門員A級 土屋幸太郎

サンデータイムス10月5日号より、土屋薬局が取材を受けたページを紹介します。





寝苦しかった、夏も終わり、気持ちよく布団に入れる季節になりましたが、
「寝つけない・熟睡できずに眠りが浅い」などの
睡眠がうまくとれない症状に悩んでいる人も多い季節。

今回は、不眠の解消法について
土屋薬局(東根市神町)の 土屋幸太郎先生にお話を伺いました。





ストレスや食生活が引き起こす不眠


春や秋など、季節の変わり目は精神的にも不安定になりがち。


特にストレス社会の現代では、
「眠れない」「眠りが浅くて朝が疲れる」「動悸や不安感がある」などといった
不調を訴える人が増えています。


一口に不眠といっても、原因も症状も様々で、
一般になかなか寝付くことができない場合は、「入眠困難」
夢を見ることが多く、眠りが浅い場合は「熟睡困難」
睡眠の途中で目が覚める場合には「中間覚醒」
朝早い時間に目が覚める場合は「早朝覚醒」と呼ばれています。


心筋梗塞などの疾患や、うつ病の前兆が不眠の原因になっていることもあるので、
この場合は病院で検査を受けるべきですが、
ストレスや疲労、偏食や過食といった不摂生な食生活が原因の場合も多く、
この場合は食生活や 中医学で改善することができます。

 
中医学ではこうした症状を「心」の失調と考えていますが、
中医学でいう「心」とは、心臓の循環機能だけでなく、喜怒哀楽といった心の動きや、
自律神経などの精神神経活動も含んでいます。

 
中医学の基本である「五行説」で、人間の体を構成する五臓(肝・心・脾・肺・腎)は、
それぞれお互いに助け合う相生関係と、相互の働きを抑制する相克関係があり、
この調和によって健康が保たれているとされていますが、
相互のバランスが崩れたときに体調不良や病気が現れるのです。

 
「心」の症状である不眠動悸などは、心と相上関係にある「肝」「脾」
相克関係にある「腎」の影響を受けやすく、肝や脾、腎の機能が低下した場合も、
心の症状として現れることが多いのです。





タイプ別 症状と対処法

不眠は大きく実証と虚証の二つのタイプに分かれ、
さらに体質や症状で五つのタイプに分類されます。


● 実証タイプ
 
精神的ストレスや濃厚な食べ物の取り過ぎで、栄養過多となり、
体内に余分な熱がこもって、脳が興奮した状態。


@肝気鬱結(かんきうっけつ)タイプ
 

ストレスで血液の貯蔵や、血液量の調整をする肝を機能させる 「気」が停滞した状態。

主な症状はイライラ、怒りっぽい、のどのつまり、ため息、うつ、また女性に多く、
生理痛や生理不順
を起こしやすい。


このタイプは停滞している気の流れをスムーズにする
星火逍遥丸などを使用します。


A肝火上炎(かんかじょうたい)タイプ
 

前記の症状が長期化して、肝に熱がこもった状態。

症状は、顔面紅潮、目の充血、耳鳴り、胸焼けなど。

中高年の男性に多く、短気やイライラ、頭痛など。


肝の興奮を鎮めて熱を取り除く潟火利湿顆粒や
「降圧丸(こうあつがん)」などを使います。


不快な耳鳴りを何とかしたい」でも、性格のことを記載しています。

イライラと短気で怒りやすい人ですね。

リラックスしましょう。


B痰熱上擾(たんねつじょうじょう)タイプ


Aの症状に水分の代謝異常が加わった状態。

お酒や濃厚な味を好み、暴飲暴食などが原因で栄養過剰になっている。

慢性病や精神安定剤を長期間使用している人にも見られる。

舌苔が黄色くて厚い、胸のもたれ、吐き気、めまい、黄色い痰が多くでる、軟便気味など。


水分代謝を改善して痰を取り除く「温胆湯(うんたんとう)」を使います。



●虚証タイプ


虚弱体質や老化、消火機能の低下などが原因で、
体の栄養分である体液や血液が不足し、
一種の栄養失調になって脳が興奮状態になったもの。

このタイプは、疲労感や倦怠感があり、疲れが増すと症状も悪化するのが特徴です。



C心脾両虚(しんぴりょうきょ)タイプ



胃腸が弱く、クヨクヨする人に多く、些細なことが気になって眠れないタイプ。

食欲不振、腹部の張り、軟便、疲労・倦怠感、低血圧、貧血、生理不順など。

主な処方は胃腸の機能を高めて元気を補給し、
精神を安定させる帰脾湯を使用します。


D心腎陰虚(しんじんいんきょ)タイプ


ストレスや老化、慢性病などが原因で、腎が弱まって体液が不足した状態。

更年期に入った中年以降の人に多い。

症状は、舌の色が赤い、腰痛、手足のほてり、寝汗、のどの乾きなど。

心の興奮を鎮め、精神を安定させる天王補心丹などを使います。



中医学では、不眠症や動悸、不安感といった同じ症状でも、
その人の体質や年齢によって、方法が変わりますので、まずはご相談下さい。




04/11/05追記

土屋薬局 中国漢方通信メールマガジン第2号でも、不眠の特集をしています。

〜秋の夜長の不眠の巻〜」です。

参考になれば幸いです。




安定剤や入眠剤ばかりに頼るよりも、
自然の生薬の力で、ぐっすりと気持ちの良い眠りにつきませんか?

ココロとカラダの健康を考える、山形の土屋薬局。

漢方では一人一人の体質に合わせて相談していきますので、詳しくはご相談してください。

漢方相談は、
漢方相談室のフォームファックス(0237−48−1477)
お電話(0237−47−0033、0237−48−2550)
で。