00/10/25
柿が赤くなると 、医者が青くなる。
わか庭の柿の葉硬くなりにけり土用の風の吹く音聞けは 島木赤彦(アララギ派の歌人)
山形では、庄内柿が有名ですが、内陸地方の東根でも柿を民家の庭先に見かけます。
毎年、柿の実を見るたびに、「今年も秋がきたんだなあ」 と感慨に耽ります。
昨年、我妻スカイバレーを通り、福島にドライブに行ったのですが、そこかしこで柿の木を見かけ、
日本の秋は美しいと感動しました。
柿は 栄養に富み、おいしいので 私も大好きですが、
最近ではあまり食べる人がいないせいか、実がなっても 採らない家庭が多いようです。
柿が赤くなると、 医者が青くなる。
秋になると柿が熟し、とてもおいしくなりますが、
柿は様々な栄養を含んでおり、柿の季節になると患者が減って医者が青くなると言われるくらいですから、
秋の味覚を味わいたいものです。
柿が可哀想です。
皮をむくのが面倒なのでしょうか?
さて、この写真は、10月22日に撮影したのですが、道路側から民家の庭先の柿を撮影したので、
犬に吠えられて大変な思いをしました。
私たちの日常生活に深く根付いている柿に関するものを思い出せば。
「柿の種」 いわゆる 「柿ピーナッツ」 や、健康茶として知られる 「柿の葉茶」 、
しゃくりを止めるときに使われる 「柿のへた」、「干し柿」 などがあります。
童話では、「さるかに合戦」 が有名ですね。
むかし、サルとカニが遊びにでかけたそうな。
すると道端の草の上にむすびが一つ落ちていたと。
カニは「いいもん、みぃつけた」とはさみでむすびをさしあげて歩き回ったと。
サルはくやしくてたまらない。
おらも何か拾おうと、のみとりまなこで見つけたのは柿の種一つだった。
「カニどん、そのむすびとこの柿の種をとりかえてくれ」サルは言ったそうな。
カニはたまげて「おら、嫌だ、そんなつまらんものと」と断ったって。
するとサルは「何がつまらん。この柿の種を地面にまけば、芽が出て、木になって、じきに柿の実がざらんざらんとなるぞ。 そうなれば柿の実の食い放題。いいな、いいな」と、柿の種を見せびらかして言ったって。
カニはころっとだまされて、「それならとりかえよう」と柿の種とむすびをとりかえたそうな。
サルはしめた、と、急いでむすびを食ってしまったと。
『さるかに』 岩崎書店 文:松谷みよ子より (引用させて頂きました。ありがとうございます)
私も 柿の種と交換して、良いものを手に入れたいものです。
さて、土屋薬局 中国漢方通信 御馴染み 日本漢方の大家 大塚敬節先生の
「漢方と民間薬百科」(昭和41年発行 主婦の友社)より、柿について紹介していきます。
カキ 柿 (カキノキ科)
薬用部位 実 種子 花 渋 へた 葉
薬効 出血 (痔出血 吐血 血便 血尿 眼底出血 外傷による出血) やけど しもやけ(凍傷) 打撲(打ち身) マムシの噛み傷 ハチ刺され のどに骨のたったとき 歯痛 指のはれ(ひょう疽) 夜尿症(寝小便) 下痢 酒の悪酔い しゃっくり せき(咳嗽) 注風 高血圧症 たむし(頑癬) 膀胱炎 嗜眠 雪やけ(雪腫)
使用法
@出血
痔の出血には実を黒焼きとして一回2gを湯で飲む。
吐血には、種子を黒焼きとしたもの、または干し柿を黒焼きとしたもの2gを、水で飲む。
また、渋でうがいをし、あるいは水で薄めて飲む。
大便に血のまじるものには、干し柿一個につき、ヨモギの葉の乾燥したもの4gを加えてせんじ、その汁を飲む。
尿が気持ちよく出ずに、血のまじるような場合にも、この方法でよく、または、へたを黒焼きにして重湯で飲んでもよい。
眼底出血には、生の葉五、六枚を、葉の中央にある筋をとってこまかく刻み、せんじて一回に飲む。
生の葉がなければ、柿茶を飲んでもよい。
九州大学医学部では、葉の粉末を眼底出血の患者に用いて効のあった例を報告したことがある。
外傷からの出血には、渋ガキをかみ砕いてつける。
また黒焼きにして飲んでも効がある。
また、干し柿を酢につけておいて、泥状となったものを、傷口とそのまわりのはれたところにつける。
急ぐときは、干し柿をついて泥状とし、酢でねってつけてもよくきく。
Aやけど
第一度の火傷 (皮膚が赤くなった程度)なら、渋をぬるか、渋ガキをつぶしてぬりつけるだけでよい。
第二度の火傷 (水泡になった程度)には、渋をガーゼにしませて、患部に当てて包帯をし、毎日とりかえる。
このようにすると、化膿せず、痛みも早くとれる。
Bしもやけ 打撲
渋をぬる。
実または干し柿を酒でせんじた汁は、しもやけにきく。
Cマムシの咬み傷 ハチ刺され
マムシ、ハチ、その他毒虫に刺されたときは、実を切ってすりつける。
または、渋ガキを突き砕いて、砂糖とねってねる。
干し柿をねってつけてもよい。
Dのどに骨のたったとき
魚の骨が、のどにたったときには、実を押しつぶして、歯で食い切らぬようにして一息に飲むと、不思議と抜ける。
E歯痛
歯の痛むときは、まだ熟さない実を突き砕いて汁をとり、水をまぜてうがいをするときく。
また、歯ぐきがはれて痛むのには、干し柿を黒焼きにした粉をすりこむとよい。
F指のはれ
指がはれて痛むのには、干し柿と砂糖とみそ等等量を、いっしょに黒焼きとし、水でねってつける。
G夜尿症
渋ガキの種子を黒焼きとして飲む。
また、へたをせんじた汁を飲むのもよい。
H下痢
五、六月ごろ、落ちたカキの花を拾い集めて黒焼きとし、これを粉末にして、米のりでアズキの半分くらいの丸薬とし、一回に五個ずつ日に三回飲む。
小児の下痢によくいく。
I酒の悪酔い
実を食べると、早く酔いがさめる。
Jしゃっくり
へた十個ほどを、200tの水に入れて半分に煮つめ、一回に飲む。
またこれに氷砂糖を入れてよい場合がある。
へたよりも、実をせんじて飲んだほうがよくきくとの説もある。
Kせき
へた15gに同量の氷砂糖を入れ、これに梅干の中の白い仁(にん)を十個加え、水400ccに入れて半分に煮つめ、三回に分けて飲む。
L中風 高血圧症
生の葉をせんじた汁、または柿葉茶を常用する。(@参照)
渋にダイコンおろしをまぜて飲む。
はじめは一回に10gくらいとし、様子を見ながらだんだん増量する。
Mたむし
種子を砕き、酢でねってつける。
N膀胱炎
尿がしぶって快通しないときには、カキの実 五、六個に、黒ゴマ4gを加えてせんじ、その汁を飲む。
O嗜眠
眠くて困るときには、葉を粉末にして一回に4〜8gを飲む。
P雪やけ
渋を、一日に二回、患部にぬる。
マムシの毒と干し柿
曲亭馬琴の 「煮まぜの記」に、ころ柿(干し柿)をかみ砕いて、マムシにかまれた傷口にぬれば、傷あとも残らずすぐになおる、とあり、また、原南陽の 「寄奇方記」には、伯英という人が、マムシにかまれたときには、干し柿を酢にひたして、泥のうようにしたものを傷口につける方法を推奨し、これでなおった例をあげている。
(以上、「漢方と民間薬百科」の139〜140ページより、引用させて頂きました。ありがとうございます。)
柿には、さまざま応用方法があるのですね。
私が知っていたのは、「しゃっくり」を柿のへたで止める方法と、「高血圧症」に 柿の葉茶でした。
「しゃっくり」は、なかなか頑固な場合が多く、病院での薬も無効のときも見かけます。
お困りのときは、ぜひ 柿のへたをお勧めします。びっくりするほど、効果が上がるときがあります。
機会がありましたら、繊細に検討していく予定ですので、お楽しみにしてください。
犬に吠えられながら、苦労して撮った写真です。
いつもは、いっぱい写真を撮って、その中から出来の良いものを選ぶのですが、
今回は 犬が怖かったので三枚しか撮りませんでした。
つまり、無駄な写真が一つもないのです。
(なお、犬が怖いといえば、オバQですね。お粗末でした。)