00/07/14
昨日から、私の家の前で井戸を掘っています。
昨年に豪雨が降ったときに、大切にしていた井戸が、とうとう壊れてしまったのです。
ここ 神町(じんまち)は、乱川(みだれがわ)下流の扇状地に位置します。
扇状地とは、水が沸かず、農作物が育ちにくいところです。
我々の祖先も、苦労して 若木(おさなぎ)の土地を、草を分けながら、開拓していきました。
田んぼは、水が出ない土地なので、作れませんし、ひどい荒地だったそうです。
そのような苦労を積み重ねながら、試行錯誤して、リンゴやサクランボなどの果樹栽培に成功していったのでした。
戦前、戦後を通して、神町(じんまち)に住む人々の苦労は、水を確保することでした。
私の父も、小さい頃は、東陽寺という近くのお寺まで、水を汲みに行っていたそうです。
歩いて、5〜6分くらいですが、水を運んでくるのですから、相当な苦労だったと思います。
そのような環境のもと、昨年 亡くなった祖父は、なんとか深いところまで掘って、井戸を作ったのでした。
通常の井戸とは違い、ここの井戸の深さは 90〜100メートルです。
生前には、祖父から井戸を掘ったことが、どれだけ大変だったか、よく聞かされました。
神町では、今でも、きちんとした井戸を持っているところは、数えるしかありません。
井戸水は、冬は暖かく、湯気がたつほどです。
夏は、冷たくて気持ちが良く、その井戸水でスイカを冷やすと、水道水で冷やした場合よりもおいしいです。
さて、井戸水が活躍する季節は、おもに冬です。
井戸水は、一年を通して、一定の温度を保っていますので、除雪には最適です。
我が 山形県は豪雪地帯として知られていますが、雪対策が重点になります。
「克雪(こくせつ)」と呼びますが、道路では除雪車が出動しますが、駐車場などでは 井戸水などで雪を溶かしていきます。
(もっとも、最近では 水道水を流したり、小型の MY除雪車を使用したり、温熱の駐車場という高級のものまでありますが、、)
そのような訳ですから、祖父が苦労して作った井戸は、なんとか生かしていき、いま、新たなる井戸を作っている最中です。
中国では、「井戸を掘った人」 は、初めて恩恵をもたらした人として、尊敬されています。
田中角栄さんも、日中友好の 「井戸を掘った人」として、最後まで尊敬されていました。
私も、亡き祖父を偲びながら、生きていきたいと思います。