00/08/02
日本の夏の風物詩といえば、朝顔だと思う。
東京に住んでいたときに、入谷の朝顔市に一度は、行きたいと思っていたが、
とうとう行かないままでした。
朝に勢いよく咲き、夕方になると、しぼんでしまうので、自然の神秘を感じます。
漢方では、朝顔は 牽牛花(けんぎゅうか)と呼ばれます。
薬用部位は、葉、種子、全草を用います。
日本漢方の大家 大塚敬節先生の 「漢方と民間薬百科」 (主婦の友社 昭和41年発行)から、
引用しますと、以下のようになります。
使用方法
@毒虫刺され、マムシの咬み傷
毒虫に刺されたときは、生の葉をよくもんでつける。
ハチに刺されたときなどにも、よくきく。
そのままでなく、塩でもんでつけると、いっそうよくきくといわれている。
また、葉をゴマ湯にひたしておいたものは、マムシにかまれたときにつけると、即効があるという。
A便秘
種子を日光に当ててよく乾燥し、粉末にする。
これを一回に 0.3〜1g、水で服用する。
ただし、激しい作用があるので、からだの弱い人には用いず、じょうぶな人だけに限る。
効果がなければ少しずつ増量してもよいが、せんじて飲んだのでは効果がない。
必ず粉末のまま用いること。
(著者注: 種は 牽牛子(けんごし)と呼び、現在でも便秘薬などに下剤として配合されています。
お手元に、便秘薬がありましたら、一度 成分を確かめてみてください)
Bしもやけ
葉のついたままを根元から切りとり、日光に当ててよく干しあげて、しまっておく。
しもやけには、これをせんじて、熱いうちに罨法(あんぽう)をする。
このせんじ汁は捨てず、朝夕五分間くらいずつ温罨法(あんぽう)をすると、たいそう効果がある。
(著者注: 温湿布をするということですね)
C痛風
痛風、リウマチ、神経痛などで手足の痛むとき、種子がきくことがあるが、
適応症が限られているから、むやみに用いないほうがよい。
からだのじょうぶな人が、発病初期に用いるのはよいが、慢性になったものや、
からだの弱い人に用いるのはよくない。
用法は、黒牽牛子(黒い種子)を三等分し、生のままのものと、黄色になるくらいにいったものと、
少しこげるくらいにいたものと三種類を作り、それぞれを粉末にしてよくまぜ、
一回に1〜2gを重湯(おもゆ)で飲む。
下痢をすることもある。
アサガオの種子を用いた経験
太平洋戦争で、シナから輸入の漢方薬が払底してしまったときのことである。
下剤としては 雲南地方の唐大黄(とうだいおう)がよくきくのだが、これもなくなり、
かわりにアサガオを用いてみた。
はじめはせんじて用いたが、少しもきかないので、よく調べてみると、
アサガオの種子の有効成分は水にとけないことがわかって、粉末として用いてみたところ、少量でもよくきいた。
ことに、大黄を少量だけ加えるとよくきくので、大黄を節約することができた。
(以上、「漢方と民間薬百科」の97〜98ページより、引用させて頂きました。ありがとうございます。)
朝顔は、観賞用だけではなくて、実にさまざまに応用できるのですね。
でも、大塚先生が記述していますように、からだの弱い方、胃腸の弱い方には、むきませんので、
くれぐれもご注意ください。