中国漢方のお話(11) ココロとカラダの悩み解決


漢方で更年期を上手に過ごす

更年期、更年期障害の漢方、漢方薬


山形県東根市神町中央通り 土屋薬局 薬剤師・国際中医専門員A級・日本不妊カウンセリング学会会員 
土屋幸太郎

サンデータイムス12月7日号より、土屋薬局が取材を受けたページを紹介します。






最近体の調子が悪い・・・閉経が近づく40代から50代は、のぼせや発汗、
めまいなど、不快な症状が現れやすい更年期。

精神的にも体力的にも疲れを感じやすい時期です。


更年期に漠然とした不安を抱きがちですが、
漢方的な見方や養生法が分かれば 心構えも出来るはず。


誰もが感じるこの「不快な症状」と「不安」を、漢方の知恵で上手に乗り切り、
元気に楽しく過ごす方法を、土屋薬局の土屋幸太郎先生にお話を伺いました。





40代から現れる更年期障害


女性なら、必ず通る道である「更年期」。


更年期とは、閉経前後の10年ぐらいをいい、
この時期に起こる不快な症状を更年期障害と呼んでいます。

更年期にのしかかる40歳を過ぎると、
ホルモンの分泌が低下するため自律神経に影響を及ぼして、
心身ともにさまざまな症状が現れます。


また、社会的な変化(子供の自立やご主人の退職など)や性格に関係する場合があります。


中医学では、更年期障害は成長や発育、造血、ホルモンなどを司る「腎」の衰えに関係していて、
さらに「腎」が弱まると、血液の貯蔵庫である「肝」にも影響を及ぼすと考えられています。


つまり、更年期障害の症状を予防したり穏和したりするためには、
腎と肝を養うことが大切なのです。

 



自分の体質を知り、正しい養生を


同じ更年期障害でも、症状の重さや違いに個人差があるのはその人の体質や性格によるもの。

体質で原因も変わるので、まずは自分のタイプを把握することが重要です。





○腎虚(じんきょ)タイプ
 

老化や慢性病、ストレスや心身の疲労などが原因で、栄養不足になり、
肝と腎の両方の陰液(全身の細胞や臓器を潤している体液)が消耗しています。

五臓の「腎」は若さ、生命の源なので、
腎が弱いと うるおいが不足して老化を早めてしまいます。


目の疲れやかすみ、めまいや耳鳴り、健忘、足腰のだるさやほてり、腰痛、発汗やのぼせ、
顔面紅潮、皮膚のかゆみ、頭痛などの症状がでます。


このタイプは、不足している肝と腎の陰液を補い、体にこもった熱を冷まして
機能を高める「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」がいいでしょう。





○血虚(けっきょ)タイプ
 

中医学では「女性は血(けつ)をもって本(もと)となす」という言葉があります。


女性の健康は血液との関係が密接であり、
血虚(けっきょ)とは、血液がその働きを十分にしていない血液不足の状態です。

貧血の他、自律神経の働きが悪いために起こる血液循環の障害や、
ホルモンのアンバランスによる月経異常などです。


顔色が悪い、皮膚につやがない、動悸、息切れ、不安感、疲れやすい、気力がない、めまい、立ちくらみ、
頭痛、肩こり、冷え性、生理不順、月経量が少なく色が薄いなど。
 


漢方薬では「当帰を主成分にした漢方薬」がおすすめ。

血(けつ)を補い、巡りをよくし、体を温め体力をつけてくれる生薬です。





○肝気鬱結(かんきうっけつ)タイプ
 

精神的なストレスなどが原因で、肝の気(エネルギー)の流れが滞ってしまい、
血流調整や月経調整などの代謝をはかる疏泄(そせい)作用が低下しています。


気のめぐりが悪くなってしまうと、自分でコントロールできなくなってしまい、
すぐにイライラしたり、興奮したり、怒りっぽくなってしまうのです。


主な症状は、イライラや落ち着かないなどの情緒不安定、消化機能低下、のどのつかえ(梅核気)、
乳房の張りや痛み、生理痛、生理不順、ガスがたまる、不眠、下痢や便秘など。


このタイプは、肝の疏泄機能を高め、
気の流れをスムーズにする「ストレスを緩和する漢方薬」がいいでしょう。





○淤血(おけつ)タイプ



肝気鬱結が長引くと、気だけでなく血液の流れも滞ってしまい、
子宮筋腫や卵巣腫瘍などの原因になってしまうことも。

肩こりや頭痛、生理の色が黒っぽく、塊が残る、しみ、そばかすが増える、肌がくすむなどの症状がでます。


血液をサラサラにして血行を改善する漢方薬を使用します。

また、ストレスをためないようにするなども重要です。



 

誰にでも訪れる更年期を明るく元気に過ごすためには、まず腎と肝を養うことが大切です。


そしてバランスの良い食事、適度な運動、ストレスをためないことが、
更年期を楽に過ごす秘訣だと思います。

また、35〜40代の人も、今から体調や生活を見直し、体の状態を整えておくことが、
老化と更年期をゆるやかなものとすることでしょう。



「漢方で更年期を上手に過ごす」


安定剤や入眠剤ばかりに頼るよりも、
自然の生薬の力で、気持ちの良い生活をしていきませんか?

ココロとカラダの健康を考える、山形の土屋薬局。


漢方では一人一人の体質に合わせて相談していきますので、詳しくはご相談してください。