不妊治療で月経周期、生理周期が短いことへの漢方対策
昨日に、お客様と電話相談をしていましたところ、
その方は周期が以前は25日周期だったのが、
最近では23日周期になったとのことでした。
今現在は、体外受精をしていますが、
成功させるためにも、周期のことなどもできれば、
もう少し長めに、たとえば26〜27日周期にはもっていきたいですねと
お話をさせて頂きました。
昨日のお電話でそのお客様と約束したのは、
先月から企画していた「月経周期が短いことへの漢方対策」のコラムを作ることです。
実は、先月からアップしようと思っていたのですが、
なかなか業務が忙しくて更新もままならずにいましたので、
今日はがんばって作成します。
よろしくお願い致します。
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生理の周期で気になることは、やはり25日周期など短いと
やはり授かりにくいのではないかということです。
通常は、「低温期14日間」+「高温期14日間」で合計「28日周期」ですから、
周期が短いかたの場合には、排卵までが早すぎるか、
高温期が短いなど何かの問題があるわけです。
先月の10月に私が「中医婦人科専門講座」で勉強した内容をもとに
話を進めていきましょう!
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Jさんは、38歳です。
身長163cmで体重が47キロでやや痩せ気味です。
結婚2年目です。
今現在は、婦人科に通院していません。
漢方でまずは、しっかりとした体作りをしていきたいと思っています。
再婚で以前にも(10年以上前)にも不妊治療をしていました。
そのときの検査結果は異常ありませんでしたが、
子宝に恵まれませんでした。
毎月、生理はありますが、月経周期が短いです。
以前よりも短くなってきて、23〜25日周期です。
(今回のJさんの話はここの「23〜25日周期」と短いことが漢方の改善目標です)
排卵期のおりものは少ないです。
生理痛は、2〜3日目に痛みがありますが、
さほど痛くはありません。
血塊があります。
生理前後に頭痛になりやすいです。
冷え性が強く、とくに足が強く冷えます。
冬はしもやけになりやすいです。
口渇やイライラ、乳房が張って痛くなりやすいです、
基礎体温表では→
1)排卵日が早いです。
10日前後で毎周期排卵しています。
2)生理期にも関わらず基礎体温が高めで、
上がった感じで生理を迎えます。
(通常は、生理のときはもちろん
基礎体温は低めのままです)
3)高温期も短めで不安定です。
…
さて、この情報などからの漢方の各地区の先生方と
中医師の先生との討論会です。
私のノートを中心に紹介していきます。
ポイント
1)生理期に基礎体温が上昇して、生理に塊があること
→淤血(おけつ)があり、したがって、
Jさんは子宮内膜症があるかもしれない。
2)高温期が短い、不安定、下がりが早い。
→陽気不足(腎陽不足)
3)排卵が早いこと
→卵子の質が悪い→高温期が短くなる原因でもある
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中医学の分析では?
A)先天的な体質が悪いこと。→腎虚(脾虚)
B)心肝火旺(しんかんかおう)→神経の使いすぎ、脳の使いすぎ→排卵が早くなってしまう
→LHが高いかも。→心腎不交(しんじんふこう)
C)気滞血淤(きたいけつお)→ストレスがあり、血行不良で淤血(おけつ)になる。
神経の使いすぎ、脳の使いすぎは、性腺軸加速、陰長不足(卵胞発育不良、気血不足のため)→
陰虚(いんきょ)は陽虚(ようきょ)に及ぶ、黄体不全→陽虚不化(ようきょふか)、淤血内停(おけつないてい)
◎排卵が早い人
1)30代後半
2)不妊歴が長い
3)ストレスが多い、イライラしている
などの人に多く見られる。
心火(しんか)が安定しないと、腎陰(じんいん)が安定しない。
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月経周期が短い人への漢方対策法としては?
1)卵胞期の対策がポイントになる。
排卵が早い傾向のために、卵胞期に補陽(ほよう)と活血(かっけつ)のものは控えめに。
2)疏肝のみならずに、清火寧心(せいかねいしん)の薬も必要
(たとえば天王補心丹、酸棗仁湯など)。
イライラには、天王補心丹が良い。
酸味のものは、収斂作用があるので、酸棗仁湯なども。
他には、芍薬甘草湯、沙棘精→天王補心丹や酸棗仁湯錠、芍薬甘草湯、沙棘精
卵胞期が短いことの対策に。
EX)
中医師 陳先生の患者さん。
36歳の人で排卵が早い人がいた。
→安神の天王補心丹や酸棗仁湯を卵胞期を中心に周期療法をしたら、半年後に妊娠できました。(*^_^*)
これらの漢方薬は、月経期の後半から服用して早めに調節することは可能である。
酸味のものは、収斂作用があるので、周期が短いときに効果的。
3)臭いのあるオリモノに検査と相応する対策が必要かもしれない。
4)精神的なストレスが溜まりやすい方なので、カウンセリングも大切。
卵胞期が短い人の養生法としては、夜更かししないことが大切。
7〜8時間は寝ること。
睡眠不足は、夜は「陰」だから、
からだのホルモンである「陰」も成長しない。
またイライラやストレスが多いことも、
同時に「体の陰」を消耗することにつながる。
(著者解説:「卵胞期」と「月経期」の「低温期」は「陰」の属し、「高温期」は「陽」に属します。
ですから「卵胞期」の「陰」が短い場合には、夜は早寝で午後10〜11時には眠りにつき、
気持ちもリラックスしてイライラしないで、大事な「陰」を消耗しないことが大切です)
(ついでにもっと養生法をこのコラムをご覧の方だけにスペシャルで述べていきますと、
コーヒーやお酒、辛いものなどの刺激物も避けたほうが懸命です。
コーヒーは「陰」や「陽」を消耗しますので、周期が早めの人は飲まないほうがいいです。
漢方は「食事の延長」ですから、睡眠や食事などのふだんの心がけ、養生も大切です。
「機能性胃腸症(NUD)と漢方療法〜左の腹部の痛みで検査異常なし」も参考になりましたら、幸いです。
あとタバコも大事な体の「陰」を消耗しますから止めたほうが懸命ですね)
…
最後のまとめ。
肝欝気滞(かんうつきたい)の場合の卵胞期の基礎体温
1)基礎体温が不安定で、全体的に低い(36度以下のときもある)、抑うつ、冷え─
炒麦芽、シベリア人参、星火逍遥丸、参茸補血丸
2)基礎体温が不安定で全体的に高い(36・5度以上が多い)、イライラ、のぼせ、オリモノが少ない─
加味逍遥散、瀉火補腎丸
3)基礎体温が不安定で、排卵が早い、イライラ、のぼせ、オリモノが少ない─
天王補心丹、酸棗仁湯、芍薬甘草湯
…
最後に個人的に思うこと。
最近、当店でも無排卵に著効のケースがありますが、
今回の勉強会でも薦められていたように「ストレスを緩和する漢方薬」は
ストレスの心(しん)と排卵をつかさどる腎(じん)の2つの臓腑のバランスをとっていくので、
今後とも私も研鑽を積んでより精度の高い漢方相談をしていきたいです。
最後に、最近撮影した写真を紹介してお別れです。
10月30日撮影で、蔦温泉から蔦沼へ向かう道。
蔦沼です。
東京に3週連続で行っていたときに、いつも東京駅のポスターを眺めては、「はあ〜早く僕も蔦沼の紅葉が見たいよ〜」と思ったものです。宣伝ポスターほどの真っ赤な紅葉ではありませんでしたが、すごく満足した一枚です。
月沼の紅葉です。
蔦沼からは、トレッキングコースになっていて、
ぐるっと周囲を散策することができます。
青森は良いところです。