1)胸の奥やのどの奥が重苦しい感じの漢方
Yさんは、53歳の女性です。
起立性低血圧の持病がありますが、昨年の12月初頭から気分が悪くなり、大学病院で検査しても異常はありませんでした。
メトリジンという昇圧剤を服用しています。
どん脈で、脈拍数は50代も気になっています。
動くと具合が悪くなりますので、仕事も辞めました。
今現在は、胃腸の調子が悪いです。
つわりのような感じで食事があまりとれません。
ですから、もちろん食欲もありませんし、しかも便秘気味だそうです。
胸に何か重苦しい感じが午前中にあります。
また調子が悪いときには、足先が冷えてきます。
生理は、途切れ途切れでもうそろそろ閉経しそうです。
お子さんは、2人とも大学生で地方に住んでいます。
ご主人も地方への出張が多く、家を空けがちです。
さて、今年の3月が一番と最初のご相談ですが、当店からは「補気健脾薬」と「ストレスを緩和する漢方薬」をお勧めしました。
「補気健脾薬」は、補気健脾(ほきけんぴ)で胃腸を根本から丈夫にしていきます。
「ストレスを緩和する漢方薬」は、「補気健脾薬」とペアで胃腸を良くしますが、ストレス性のメンタルから来る「腸は心の窓」系に効果的です。
ですから、この2つの組み合わせは、21世紀の現代の「ストレス社会」を乗り切るお勧め漢方になります。
…
翌月の4月には、
○舌が荒れることは、以前よりも良くなっている。
○朝の沈んだ気持ちも良くなっている。
○食欲は無いが、お腹が空くような感じもでてきた。
○足の冷えは、以前は1~2時間で温かくなっていたのが、
今は30分くらいで温かくなるようになった。
その後、7月には、
○補気健脾薬を4錠くらいに増量すると調子が良くなる。
○めまいが減ってきた。
○昼間に買い物に行けるようになった。
○食欲もでてきて、食べられるようになった。
○体温も上がってきた。
と調子全般も良くなってきました。
…
8月には、ご主人がお酒を飲む機会が多く中性脂肪や尿酸値が高めで、血圧も下が高めとのことで「血行を良くする漢方薬」もお勧めさせて頂きました。
その後、2ヶ月間くらいの「血行を良くする漢方薬」の服用で、ご主人は血圧も良くなり、中性脂肪は2桁台に下がり、尿酸値も7以下になりましたので、Yさんも大喜びでした。
さすが、血液サラサラです。
さてさて、先月の9月のご相談のときに、「胸の奥やのどの奥が詰まって重苦しい感じ」を訴えられました。
またお通じも毎日出るが、便秘気味だそうです。
そこで今まで続けられていた「補気健脾薬」と「ストレスを緩和する漢方薬」に、理気剤(りきざい)というより気の流れをスムーズにする漢方をお勧めさせて頂きました。
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理気薬は、「胃痛、生理痛」など、腹部の痛みを軽減する力に優れます。
理気薬(りきやく)と呼ばれ、「通じざればすなわち痛む」ですから、気の流れがスムーズになっていけば、腹部の痛みや不快感も解消しやすいのです。
理気薬とは、「詰まっている気を植物の香りで、スムーズに流していく」ことにほかなりません。
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ということで賢明な読者の皆様はお分かりだと思いますが、
「胸の奥が詰まる、喉の奥も詰まり重苦しい感じ」
の中医学的な原因の一つには「気滞(きたい)」や「気鬱(きうつ)」と呼ばれる、気の失調症があるのです。
検査しても異常がない「胸の痛み」や「のどの痛み、詰まり感」は、まさに「捕らえどころがない気の詰まり」であるわけで、そうすれば、そうだとすれば、理気薬やまた「ストレスを緩和する漢方薬」などで気を通し、気の流れを伸びやかにすれば調子は良くなっていくはずです。
さて、本日にY子さんのお話をお聞きしましたら、理気薬を併用してからは、空気を入れているような膨満感が
スッキリと解消したそうです。
のどや胸の詰まりも、爽やかに治っています。
良かった、良かったです。(*^_^*)
気の詰まりは、
1)張った感じ→たとえば生理前の胸の張りや排卵痛、生理痛なども気滞(きたい)があります。
また胸が詰まった感じや喉の詰まり感など。
2)悶々する→胸や心がモヤモヤする。のどがスッキリしないなど。
3)痛み→流れるような痛みで部位が一定しないことが多い。
などの特徴があるのですね。
…
最後に以前の内容に補足しましょう。
「女性のための漢方レッスン(2)…女性のバイオリズムとは?」より
1)中医学(漢方)の特徴
○体の機能と病気を全体的にとらえる。
例えば)
以前に日本の病院で研修しているときに、40代の女性がいた。
胸が苦しいという訴えだった。
検査の結果は心臓も肺も問題なかったので入院したけども治療法が無かった。
→本人はすごく不満であった。
部品の問題ではなくて、体のつながり。
中医学的には「気」の流れが悪かったことが原因。
↑こちらの内容は、まさに「気滞(きたい)」「気鬱(きうつ)」が原因ですので、たとえば「健脾薬」に「ストレスを緩和する薬」、「当帰を主成分とした漢方薬」などに、「理気薬」を併用すると治っていきます。
2005年10月13日撮影。
「葉山連邦をすすきに眺める」です。
…
2011年9月9日
なんとこの記事を書いてから6年後にこのコラムをお読みになったというお客様が来店されました。
「胸のつまり」のご相談でした。
養血調経にバラ科のお茶に理気剤2種類をお勧めさせて頂きました。
症状の軽減を心から願っております。
2)のどのつかえ、胃のムカつきの漢方
先週の11月24日にいつも来店して頂いているお客様が、胃のムカつき、そしてのどのつかえ感があり、ゲップや重苦しい感じもあるとおっしゃっていました。
舌ベロの状態は、舌の色は痰紅で尖紅、つまり舌ベロの尖(さき)に赤みがあって、心に熱があり、ストレスなどの症状も推測できたのでした。
苔は薄白(はくはく)でまだ白苔や白膩苔など、痰湿がいっぱい溜っている症状はありません。
胃のムカつきやのどのつかえは2~3週間続いています。
食べられるけれども食事の量が減った感じです。
朝方に目が早く覚めることがあります。
通じは問題ありません。
ここでいつもご愛用されている婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)というシロップの漢方に、プラスして痰を解消していくイスクラ温胆湯の併用をお勧めしました。
温胆湯は、体の乱れた気の流れ、とくに胃気(いき)が本来ならば下降して収まっていくところが病理的に上部に上逆している症状を改善していく処方です。
胃の気が流れがスムーズでなくて、上に上がっているので吐き気やムカつき、ゲップ、重苦しい感じやのどのつかえ感を感じるようになってくるのです。
処方されている竹茹、半夏は吐き気を止めることに働き胃気を調整し、陳皮や茯苓、枳実、生姜は胃腸周りの余計な痰濁を解消して胃気をスムーズに下降させます。
酸棗仁はストレスで悩みがちや、喉のつかえ感などはストレスもありますから、そのストレスや憂鬱な気持ちを解消して、黄連は苦い味で精神を整えつつ、胃腸もスッキリとさせて心の熱を解消していきます。
総じて、のどのつかえ感など胃腸虚弱者の不眠や神経症にも応用される処方となっています。
本日の11月30日に来店されましたのでお話をお伺いしてみると、胃のムカつき、のどのつかえ感はだいぶ良くなって気にならなくなったそうです。
温胆湯は、さまざまに応用が広い処方なので、私は最近、いろいろと使い方を研究している毎日です。
<2011年11月18日 若木神社の紅葉>
3)風邪もひいていないのに常に痰が喉に絡んでいる気がします。
おはようございます。
今日は曇りの山形です。
さて先日に恩師の周軍先生から中医学についてアドバイス頂きましたので、ログさせて頂きます。
今週末に久しぶりに上京するのでなんだか緊張してきている今日この頃です。
…
30代の女性のかた
「ここ数か月間、風邪もひいていないのに常に痰が絡んでいる気がします。喉のあたりがネバネバした感じで、年よりのように咳払いを常にしています。息苦しさも最近感じてきました。春だというのに足に冷えを感じます。」
→
気分の変化
痰の量、粘り、吐きにくい
のどについている→気持ちが悪い
脳の疲れ↓→現在人→イライラ、怒りっぽい
熱、陰虚→痰のネバネバ、濃縮した感じ
cf もし痰が薄い場合には痰湿
イライラ、怒りっぽい、冷え→気持ちの波、落ち着き
八仙丸を半分、加味逍遥散を半分。→脳から調整する
補陰をすれば痰が薄くなる。
補腎と補肺
肺と腎を元気にする。
土屋からの質問 「温胆湯は使えますか?」
消化器系、嘔吐、便がゆるい、脾臓の症状もあれば
<2012年5月31日 若木山に登る道>
4)ここ数カ月、風邪も引いていないのに、常に痰が喉に絡んでるような気がします。… 現代人は仕事柄、脳の疲れが多い。
本日2回目の更新です。
中医学の勉強は楽しいです。
こちらも先日、周先生に教わったことを記録していきます。
…
30代女性のかた
「ここ数カ月、風邪も引いていないのに、常に痰が絡んでるような気がします。
喉のあたりがネバネバした感じで、年寄りのように咳払いを常にしている状態です。
また、最近息苦しさも感じます。
また、春だというのに足が冷えます。
半年ほど前に血流を計ったら50歳すぎの血流だと言われました。」
「長年パソコンの前で1日中、作業をしているせいか、肩コリが酷く、常にこっている部分にシコリがある感じで、さわると、ゴリゴリ音を立てます。
パソコン作業が多い為、眼精疲労は万年です。
月経前には必ず、イライラして必ず怒りっぽくなります。」
→アドバイス
タンの量、粘り。吐きにくい。
のどについていて気持ちが悪い。
気分の変化、たとえばイライラ、怒りっぽいなど関係するかもしれない。
現代人は仕事柄、脳の疲れが多い。
熱や陰虚が→痰のネバネバ、濃縮した感じにつながる。
うすいときには、痰湿。
イライラ、怒りっぽい、冷えにも
八仙丸を半分の量で服用して、加味逍遥散も半量で肝から調整する。
気持ちの落ち着きに。
八仙丸で補陰をすればタンが薄くなる。、補腎と補肺。
肺と腎を元気にすること。
◎土屋からの質問
温胆湯は使えますか?
→消化器系、嘔吐、便がゆるいなどの脾臓の症状があれば使えます。
若木山を昇る道
5)喉や咽頭に潰瘍ができては治り、繰り返しています。
こんにちは。
薬剤師、不妊カウンセラーの土屋幸太郎です。
今日は台風が去ったせいか晴れてとても良い天気です。
朝のうちは霧がかかっていたのですが、いまは晴れやかな秋の一日となっている山形です。
さて、先日に東京に中医五官病第一回の講座「耳鳴り」を妻と一緒に連れたって山形から聴講に行ったときに、トン先生と周先生のお二人にお聞きしたことをメモしておきたいです。
土屋 「男性 40代 15年ぐらいずっと喉が痛くて、タンが出るお客様がいらっしゃいます。どのように検討していけばよろしいのでしょうか?教えてくだ
さい。喉や咽頭に潰瘍ができては治り、繰り返しています。その影響で喉の通り道も狭くなっているそうです。膠原病も疑われいろいろと検査しましたがとくに
異常はないそうです。1日1回は喉の痛みでロキソニンを服用してしまいます。」
トン先生 「男性の場合には、タバコ、酒や辛いものなどの嗜好があるかまずチェックしてください。
清熱解毒がいいです。
板藍のど飴
上半身の熱、喉の周りの熱です。
五行草、五涼華、涼解楽なども検討できます。
舌ベロは黄色くてネバネバした感じだから体の熱をとっていったほうがいいです。
2~3週間はまず試してみる。」
土屋 「先生、本治はいかがでしょうか?」
トン先生 「痛みがとれたら本治。潤肺糖漿+頂調顆粒+板藍根など。
板藍根は続けていたほうがいいです」
…
周先生にもお聞きしてみました。
「正気不足、邪気よりは免疫力不足↓
少し参蘇飲+軽く板藍茶
利咽効果が期待できます。
参蘇飲は元気になれば邪気が負ける。
一進一退は正気不足です。
戦う力があれば勝てて、邪気よりは自分の力を上げていきます」
うーん、中医学は奥が深いです。
ますます好きになりました。
中医師の先生方、どうもありがとうございました。
<2014年10月7日>
東根市、神町からの眺めです。
月山は雲隠れでした。
奥羽山脈方面もいい眺めです。
赤い屋根のある風景。と一人で名づけています。
台風のあとのラフランスです。
落ちずに立派に残っています。
これから深まる秋、山形東根でした。
6)のど、食道あたりが熱い、乾く。黄色い痰は朝に、午後から夜はのどの熱さや渇きを感じます。
こんばんは。
薬剤師、不妊カウンセラーの土屋幸太郎です。
今日の山形は天気予報通りに冬将軍が猛威を振るっていて雪降りとなっています。
これからが冬本番といったところです。
さて「のどの痛み」の漢方相談が上手にやれましたので、備忘録して記録させてください。
○女性のお客さま
平成26年11月27日
気になる症状
のど、食道あたりが熱い、乾く
声が枯れる、黄色い痰がはりついてとれません。
黄色い痰は朝に、午後から夜はのどの熱さや渇きを感じます。
声がれはずっと感じます。
2ヶ月間、クラリス錠200とカルボシスティン錠250を服用したが治らなかった。
耳鼻咽喉科2か所を受診
鼻から入れるカメラでのどを見てもらいましたが異常ありませんでした。
毎日、午後になるとのどや食道が焼ける感じになり、カラカラになるのでずっと飴をなめてまぎらわします。
<土屋の考え>
「久病多虚」「久病多淤」「久病入絡」
などと言われます。
季節は秋で乾燥しやすい季節でもありますし、また40代の女性のかたは全般的に潤い不足の傾向もありますから
このコラムのなかの一つの漢方薬+ISK-BJGの組み合わせは、胃腸も丈夫になりますし、ストレスのイライラなどにもいいですし体の中から潤ってきます。
○平成26年12月15日
その後少しずつ症状が改善してきました。
食道の熱い感じが無くなりました。
のどの違和感と声がれはまだ残っていますので続けていきたいです。
<2014年12月16日 若木山 冬の鉛色の空、コンクリートスカイ>
漢方のご相談方法は、漢方相談表、またはファックス、電話で受け付けています。
お問い合わせは、送信フォームもございます。
詳しい漢方相談の方法はこちらからで説明しています。
…
所在地 山形県東根市神町中央1-10-7
Google mapによる所在地
営業時間 第二、第四日曜日お休みです。
平日 午前9時~午後7時 土祭日 午前9時~午後6時
メールアドレス JDY00247@nifty.com
電話 0237-47-0033 漢方電話相談室 0237-48-2550 Fax 0237-49-1651
漢方相談は、
漢方相談室のフォーム、ファックス(0237-48-1477)、
お電話(0237-47-0033、0237-48-2550)で。
痛み、しびれを 中国漢方で和らげましょう!
漢方では一人一人の体質に合わせて相談していきますので、詳しくはご相談してください。
“痛み”“しびれ”のご相談は、 痛み、しびれに強い! 土屋薬局