日中補血シンポジウムに参加して


南東北中医薬研究会  土屋薬局  薬剤師・国際中医専門員A級・日本不妊カウンセリング学会会員
土屋 幸太郎



4月19日に 日本中医薬研究会主催の日中補血(ほけつ)シンポジウムが大阪で開催されました。

この日は 日本と中国、それぞれ一線で活躍されている先生方が集まり、
「補血(ほけつ)」の意味について お互いに意見を交換しあいました。

私も 日本側代表として、日本におけるイスクラ婦宝当帰膠の使用例を発表してきました。

中国側は、武漢省の同済医科大学からの婦宝当帰膠についての薬理研究と、
実際に病院で使った臨床報告でした。

要点をまとめましょう。





@ 貧血動物モデル(ねずみ)を使った実験では、貧血を改善する働きがあり、量を増加すれば著明に改善する。

人に換算すると 1回4ccよりも、1回10cc(カップ1杯)の方が より効き目が良いそうです。


A 放射線を照てた貧血動物の破壊された骨髄細胞(骨の中で血液を造る細胞)が、
婦宝当帰膠を投与することで増加することが分かった。

このことから抗ガン剤、放射線療法を行っている場合の補助剤として
婦宝当帰膠が使える可能性があるそうです。


B 婦宝当帰膠は 免疫力(病気を治す力)を上げ、身体の抵抗力を強化する。
具体的に言うと 風邪をひきにくくなる・疲れにくくなる等です。


C 婦宝当帰膠は 肝臓の働きを助けるので、身体の新陳代謝が良くなる。


D 動物実験では 子宮のけいれんを5時間位抑制し、
子宮の収縮を和らげる働きがある事が分かった。

生理痛は 子宮の収縮(けいれん)が原因のことが多いので、
婦宝当帰膠は 生理痛を抑えるであろうとのことです。


E 婦宝当帰膠は、女性ホルモンを調整する働きがあることが分かった。

更年期障害などは 女性ホルモンの乱れであるので、
更年期のつらい症状を抑えることが 期待できます。





次に同済医科大学附属病院産婦人科からの臨床報告です。


@「婦宝当帰膠の思春期無排卵性機能性出血25例の治療」


―13歳〜18歳までの子宮の異常出血が現れた患者25人に、
婦宝当帰膠を1日3回、1回15ccの投与を 6周期に渡って行った。

投与2周期から効果が現れ、月経周期、期間及び経血量は明らかな改善をみた。

80%の患者については 基礎体温が単相から 二相性に変わり、貧血の状態も正常となった。

総有効率は80%に達して、治療終了後も78.6%の患者は著効の状態が維持され、満足のいく結果となった。



A「婦宝当帰膠を用いた不妊症治療65例の臨床分析」


―全症例65例中、原発性不妊46例、続発性不妊19例。


24歳以下1例、25〜30歳34例、36〜40歳5例、41〜45歳1例。

2年以上32例、3年以上15例、4年以上11例、5年以上4例、6年以上3例。

1クールを3ヶ月とした。

1クールで妊娠が確認されたのは25例で38.5%であった。

2クール以上で妊娠が確認されたのは19例で29.2%であった。

無効は1〜2クールで妊娠しなっかたもの21例で32.3%を占め、総有効率は67.7%であった。



B「婦宝当帰膠の更年期障害における内分泌への影響」


―更年期障害20例に対して、婦宝当帰膠加減に杞菊地黄丸を補助的に使用して治療を行い、
生殖系の内分泌に対する影響を観察した。

一般婦人科外来の更年期障害患者の中から 20例を選択した。

20例の患者は 投与後すべて軽減または消失した。

そのうち 6例(30%)が治癒、重度から軽度に改善した著効12例(60%)、
中程度から軽度の改善した有効2例(10%)であった。





休憩をはさんでから、日本中医薬研究会からは3人が日本側を代表して講演しました。

題名はそれぞれ、以下のとうりです


@「更年期障害」―甲信・W薬局 W先生
A「頭痛3年」―南東北・土屋薬局 土屋 幸太郎
B「生理痛」―東京・イスクラ薬局高円寺店  種田 為重

W先生の発表は、42歳の女性の方で “耳鳴り、肩凝り、動悸、不眠、不安感、胃痛”などの更年期障害―
閉経前後症候群にイスクラ婦宝当帰膠と冠元顆粒、三仙茶(さんせんちゃ)を用いた結果、
症状の改善をみた例です。



私の発表は、3年間の頭痛のお客様がイスクラ婦宝当帰膠と逍遥丸を服用した結果、
頭の重苦しい感じが取れた経過の報告でした。


その他の症状として、目の乾燥感、耳鳴り、顔色が黄色みを帯びてきた、顔のしみ、
月経のトラブル―月経期間2日間、経血量少
などがありましたが、
すべての症状が改善されていきました。


また卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)があり、
通常2.5〜4.5cmの大きさの卵巣が 6.5cmまでになっていました。


卵巣嚢腫 とは一般的には良性の腫瘍であり、簡単にいうと卵巣に出来た 「できもの」ことです。


手術の予定が3ヶ月後だったのですが、イスクラ婦宝当帰膠と
イスクラ逍遙丸を服用後2ヶ月位から
卵巣嚢腫が 半分位に小さくなって 手術をしなくても良くなりました。(^^)


中国漢方では、子宮筋腫や 卵巣嚢腫などは 血行不良やストレスによる神経の乱れと考えます。




婦宝当帰膠を身体の栄養不足―貧血状態と血行不良を改善して、
血液の不足状態と 血液の品質を良くしていきます。

これを中国漢方では補血活血(ほけつかっけつ)と言います。




冠元顆粒で 汚くドロドロに汚れた血液をサラサラにして、
身体のすみずみまで きれいな血液が流れるようにし、血行不良を改善します。



逍遥丸は、万病のもと―ストレスから身体を守ります。

ストレスを解消すると 身体が イキイキとした健康の状態に戻ります。

特に 女性の身体はストレスに弱いので、
ストレスを溜めないように 注意していく必要があるでしょう。


A、B、Cの三つの方法をそれぞれ組み合わせていけば、
女性の方は健康を維持しやすくなるでしょう。



種田先生の発表は、ひどい生理痛に悩ませられている 29歳の女性の方に、
イスクラ婦宝当帰膠とイスクラ逍遙丸を服用してもらい、
生理痛・月経周期・便秘などが改善したことでした。





終わりに血虚(けっきょ)とは?


今回の日中補血シンポジウムでは、「補血(ほけつ)」の意味について 討論しました。

補血(ほけつ)とは その名のとうり、血液を補うということです。

中国漢方の血(けつ)とは 西洋医学の血液のほかに、さまざまな意味があります。

血(けつ)は 私たちの身体に 栄養と潤いを与えています。

健康で 若々しい身体には、きれいな血液がすみずみまで流れています。

ところが貧血状態などの血(けつ)不足―血虚(けっきょ)になると、
私たちの身体が 血液の栄養と潤いを受け取れなくなるので、
身体のあちこちで栄養・酸素不足が起こるのです。


その結果以下の症状がみられやすくなります。


○顔色が白い、または黄色味を帯びる

○髪の毛が パサパサして、抜け毛・枝毛などの髪のトラブルに悩まされている

○慢性頭痛

○肩凝り 

○腰痛 

○耳鳴り 

○めまい 

○動悸 

○不眠 

○のぼせる 

○貧血 

○手足のしびれ

○目の疲れ・夕方から夜にかけて、目がショボショボして物が見え難い

○顔や身体の皮膚が 乾燥気味で、夜にかゆみが強くなる

○爪がもろく輝きがない

○冷え性でとくに手足が冷えやすい

○生理痛・生理不順

○不妊症


このような症状が 重複するときは、中国漢方でいう 
血液不足(身体の各臓器への栄養・滋潤不足)が考えられます。

当店では、皆様の健康と楽しい生活のお手伝いの場となることを 目標としています。

いつでも気軽に御相談ください。



古来から、日本では 女性の病気は、
「血の道症」 「血の道の病」
と言われています。


お客様たちに、婦宝当帰膠やイスクラ冠元顆粒を試飲して頂きますと、
「産後に服用したときの 漢方薬と同じ味だね。」

また、奥様方には、
「うちのお母さんが飲んでいた漢方薬と 味が似ている。」

との感想を口にされることが多いようです。

初めて服用するに、懐かしい味がする漢方薬です。


中医学では、女性は 生涯の間に
「生理・妊娠・出産・授乳」と
血液を消耗してしまいますので、
女性の健康と若さは、「血(けつ)」が カギを握っていると認識しています。


「女性は、血(けつ)をもって 本となす」
と格言があります。


女性の方は、慢性的な 血(けつ)不足―血虚(けっきょ)になりやすく、
また 生活習慣の乱れ、ストレス、老化などにより、
血液の不足と同時に、ドロドロ・ネバネバと 血液は汚れやすいのです。


「血虚(けっきょ)と 「淤血(おけつ)」を解消していくことが、
美人になり、健康と若さを取り戻す 秘訣と言えましょう!



漢方では一人一人の体質に合わせて相談していきますので、詳しくはご相談してください。

漢方相談は、
漢方相談室のフォームファックス(0237−49−1651)
お電話(0237−47−0033、0237−48−2550)で。



体調に合わせながら
健康をつくる漢方相談をしていくことを誓います。