敗者をたたえる詩(うた)
01/11/20
堂々の3位―。サッカーJ2のモンテディオ山形は、通算成績27勝6分け11敗で今季リーグを終了。前季10位と低迷したチームが、柱谷幸一監督の下で強豪チームに変ぼうを遂げた。一時は2位に上がり、J1昇格を懸けて最終戦を戦うなど、その躍進ぶりは多くの県民に感動を与えた。この快進撃を支えた要因は何だったのか。そして競技場が満員となった熱気を、これからもつなげるためには―。M山形のこれまでの戦いを振り返り、来季に向けての課題を検証する。
(報道部・金森由紀)
例年になく激しい昇格争いが展開されたJ2リーグ(全44節)。第38節(10月17日)が終了した時点でも、上位5チームが勝ち点差5の中にひしめいていた。1位から順に京都、仙台、M山形、大宮、大分。そしてM山形は、その後上位との連戦を負け知らずで乗り切り、43節(11月10日)でついに昇格圏内の2位までランクアップした。
最終節で敗れはしたが、結果は3位。堂々の成績だ。前季は10位と低迷。柱谷幸一氏を迎えてチームを一新した当初、新人監督の手腕は未知数だった。「だれもここまでとは思っていなかった」とチーム関係者。年間3億8000万円という小規模予算、ビッグネームのいない“純国産”選手だけという中でつかんだ、3位は、快挙としか言いようがない。
柱谷監督は、目指すサッカーに必要な人材を移籍リストに載った選手の中から補強。「日本人のみで、コミュニケーションがうまく図れるメリットを最大限生かした」(柱谷監督)。シーズンを通じた戦術の徹底、フィジカル面の強化で後半戦の大躍進を遂げた。
最終戦の観客数は1万7396人。県史のエポックメーキングともいえるこの数は、地元チームに期待を寄せ、応援したいという県民を増加させたことの証明だ。
「サポーターが誇りに思えることが、地域に根差すチームの理念」として、柱谷監督は、「フェアプレー」をチームコンセプトの1つに掲げた。「63」。M山形がリーグ戦で受けた警告、退場の総数。あまり目立たないが、J2クラブ中、最も少ない。こうしたチームの努力もまた、県民をひきつけた理由だろう。最終戦、大勢のサポーターが集結したスタンドには、「山形の誇り」と書かれた応援幕も掲げられていた。
山形新聞 2001年11月20日の記事より。山形新聞さん、ありがとうございます。
11月18日、本当は 私も 天童の県運動総合公園陸上競技場に応援に行こうと思っていたが、
結局は テレビの前に座っていた。
我らが モンテディオ山形が、川崎モンターレに 90分以内に勝ち越せば、
ベガルタ仙台を抜いて、憧れの「J1」へ昇格できるという 大一番の最終戦。
開始早々の佐藤悠のフリーキックでチャンスを掴んだかにみえた。
必死に攻めつづける モンテディオ山形。
放ったシュートは23本。
だが結局、ネットを揺らすことはできなかった。
J1昇格の最終戦で、超満員のスタンドを背に モンテディオ山形に重圧がかかる。
私も 手に汗を握っていた。
何度か、いや、何度ものチャンスがあったのに。
柱谷幸一監督は、ウインドブレーカーに身を包み、静かに立っていた。
紅葉がきれいに燃える山並み。
日の早い 秋の夕暮れが サポーターと選手を照らす。
京都では、一足先にJ1への昇格が決定したパープルサンガを相手に
ベガルタ仙台が、奇跡的に ラスト5分で劇的なシュートを決め、
その時点で 長いモンテディオのシーズンは終わった。
歓ぶ仙台ファン。ガッツポーズをする清水監督。
モンテディオ山形は、もう気力が残っていなかった。
自陣のネットを、川崎モンターレのシュートがゆらした。
確かに、ベガルタ仙台は、J1にふさわしいチーム。
来年は、ぜひ東北初のJ1チームとして、がんばってもらいたい。
しかし、私は 負けたモンテディオに魅力を感じるのです。
立派なサッカー競技場もないし、冬は寒くて雪が降って 練習が思うようにいかない。
お隣の仙台は、いつも いっぱいのサポーターがいるのに、
山形は いつも閑散としている寂しい環境で試合を行う。
企業もバックにつかず、県民上げての手作りのチームだ。
来年は、がんばろう。
いつの日か、この涙を 笑顔に変えよう。
雑草の強さを見せてやろう。
エリートには、ない、雑草には 雑草の強さがある。
敗者の気持ちは、いつも勝っている奴らには 分からないだろう。
●道ばたや 家のまわりの植物のむれ●
●人にふまれるところだけ はえる植物
ほそうされていない道ばたに、オオバコやミチシバが、はえているのを見たことがあるでしょう。
オオバコやミチシバは、人にふまれても元気にそだつ じょうぶな草です。
それでは、人がふまなくなり、こやしをやったりしたら、もっと よくそだつでしょうか。
そうではありません。
ほかの草に まかされて、まかされて、かれてしまうのです。
オオバコは、人がとおって、いつもふまれるようなところにしか はえないのです。
(学研の図鑑 「植物」1970年発行 169ページより)
雑草は、踏まれて育ちます。
踏まれて 踏まれて、大きくなる。
きれいなお花たちは、踏まれたら それきりで終わりです。
私たち、人間も同じだと思います。
世の中、つらいこともありますが、強く生きましょう。
雑草の、そう、「草魂」をもって、明日に向けてがんばろう。
いつの日か、この涙を 笑顔に変えよう。
エリートには、ない、雑草には 雑草の強さがあるんだ。
まだまだ これからさ。
ゲームは、始まったばかりなのだから。