00/12/11
北京便りの第2弾。今回は、お金の話。
1991年、初めて訪中したときに戸惑ったのは、
人民元と兌換券(だかんけん)の二種類があったことだ。
人民元は、中国人の人たちが使用する通貨。
兌換券は、私たち日本人、つまり旅行客である外人が使用する通貨。
兌換券は、あまり使用されていないせいか、きれいな状態の紙幣が多かったが、
人民元は、使用期限を過ぎたのではと思われるものも数多く目についた。
北京の街中を散歩をしているとしよう。
日本人だと分かれば、
「チェンジマネー、チェンジマネー」と寄ってくる。
私は何のことやら さっぱり分からなかった。
「マネー」 を 「チェンジ」して 一体どうなるのだろう。
大体、私たちは 「円」を 「元」に両替しているのだ。
しばらくして その謎は解けた。
あの人たちは 「兌換券」が欲しかったのだ。
兌換券は、価値がある。
「ブラックマーケット」で、兌換券を人民元に交換すれば、
生活費が稼げるらしい。
高級品など、兌換券でしか手に入らないものがあるから、
人民元より相場が高い。
私たちは 「チェンジマネー」には応じなかったが、
あまり気分のよいものではなかった。
1つの国で、違う紙幣が流通していることは、奇妙な感じもするし、
それを目当てに 違う経済が成り立っているのも 不思議な感じだった。
そういえば、当時の日本人留学生なども お小遣い稼ぎのため、
「ブラックマーケット」 をよく利用していたそうだ。
その制度も4〜5年前に廃止された。
すべての現金は、人民元に統一された。
人民元と兌換券の2つの紙幣が存在していた理由を、
知り合いの中国人の先生に聞いてみたが、
詳しい理由は分からないそうである。
理由として考えられるのは、
「元が外貨に交換できなかったので、兌換券を作ったのだろう」
兌換券が廃止された理由は、私個人の考えでは、
「中国の経済が豊かになったから」
知り合いの先生は、それに付け加え、
「一国で2種類の紙幣が流通しているのはおかしいから、
改善されたのだろう」 と意見を述べていた。
ちなみに、現在でも 「中国元」は 国外への持ち出しは禁止である。
今回の訪中では、私たちも同じ人民元を使用できた。
昔の人民元は、汚いものが多かったが、今は違う。
ほとんどきれいな紙幣だ。
あまり汚いお金だとお店やタクシーで拒否されることもあるらしい。
タクシーのおつりで、チマキのような結ばれている紙幣を受け取った仲間がいた。
中国では、1角など細かい紙幣をまとめる時は、
チマキのように結んで1元にするのだ。
日本には そのような習慣はないので、
初めて 「チマキ」をつり銭として受け取ると
びっくりしてしまう。
「円」でたとえるなら、
ちょっと値段が高いが、
千円札で一万円にまとめているという感じだろうか。
手先が器用でないと作れないので 私には無理だが、
同じ通貨や紙幣を たとえ 「チマキ」のようであっても
おつりを受け取れるのは素晴らしいことだ。
真の友情も沸いてくるではないか。
なかなか、北京での研修の話に入れませんが、次号予告。
(しばらくは、追憶モードで 「中国漢方通信」を展開できそうです)