中国のメッセンジャー

01/01/17


これは、中国の自転車の話である。


最近は、当たり前だと思っているので、
なんとも感じないが、
私が 初めて中国に行ったときに 
強烈な印象を受けたことがある。


それは、自転車だ。



遥か彼方から、自転車の大群がやって来る。

自分が乗車しているバスの周りでも、自転車が まるで車のように堂々と走っている。


それだけなら、まだ良い。

中国では、信号は有ってないようなものだから、
こちらの車が青信号で走っていても、これまた堂々たるもので、自転車が横切ってくる。

よく事故に 遭(あ)わないものだ。


1991年当時の通訳に そのことを聞いてみた。


「中国人の自転車の乗り方は 上手ですよ。日本人と違います。だから、事故は少ないですよ」


言ってる傍(そば)から、自転車と車が衝突して 喧嘩していたりするが。

しかし、実際に 中国人の自転車の乗り方は 上手だと思う。

みな、背筋が ピンと張って、真っ直ぐに走っていく。



日本人のおばちゃんたちのような、頭に来るような乗り方をしている人は 一人もいない。

あの、おばちゃんたちは、自分が中心なのだ。

歩いている歩行者に遠慮すれば良いのに、

「チリン、チリン」と ベルを鳴らしまくって、ドケドケばかりに違う意味で直進していく。



実は、そういう私も 東京に住んでいたときには、いつも自転車だった。

大学へ行くときや、通勤するとき、遊びにいくときなど、いつも ママチャリで懸けていく。

その自転車は、かれこれ7年間は使用していたが、未だに戸田公園の友人宅で健在である。

なんと、丈夫なのだろう。



自転車で 気持ちよく そう!まるで 映画 「メッセンジャー」のように、
颯爽(さっそう)と 走る日常だったのだが、これは 日中までの話だ。

夜になると、事情が変わる。


深夜、中原街道沿いの「アニーズ」や 武蔵小山の「デニーズ」などで、ケーキセットを注文して、
延々と 恋愛や勉強のこと、テレビ、映画のことなどを話して 夜が更けていく。


それから 帰るときが問題だ。

私は、いつも頭にきていたが、必ずと言っていいほど、警察官に 職務質問されるのだ。



その決り文句は、

「無灯火ですね。ライト点かないんですか?」



それからは、私は 自分の自転車に乗っているのに、
自分の自転車の登録番号を控えられて、盗難自転車でないかとチェックされる。

その番号を、しかも無線で 調べられるには いつも参った。

これは、あまり誉められたものではないだろう。


それからは、いつもライトを点けていないから、警察官に呼び止められるのだろうと学習したので、
いつも ライトを点けて走ることにした。


それでも、

「すみません。ちょっと、いいですか?」



これは、ひどい話である。馬鹿にしている。


「メッセンジャー」の 加山雄三警部のように、軽い気持ちで笑って見逃してもらいたいものだ。



私は、悪いことは していません。



自転車を しかも 勝手に 盗難自転車と決め付けて、取り調べするくらいなら、
そこの、路上駐車している車の方が、問題あると思うのだが。



さて、中国の自転車の話だ。

何故? 自転車に乗っている人は、
あれほど交通規則を無視しているのに、
事故に遭わないのだろう。

再び、通訳さんに登場してもらおう。



「中国では、自転車が第一優先です」


これは、もっともな話だ。

日本では、歩道と車道の二つあるが、中国には 更に 「自転車道路」がある。

ちなみに、日本でいうと、3〜4車線くらいの素晴らしい広さだ。

これは、本当の話である。


「実は、自転車を乗っている人は、信号は見ていないのですが、
車の車輪を見て、どちらに曲がるのか判断しています。
だから、滅多に轢(ひ)かれないのです」


なるほど、これで理解できた。








 「北京便り」を作ろうと思ったきっかけは、
昨年に 北京研修に行きましたので、
その 北京中医医院での研修内容や
現在の北京の姿を報告したいと思ったからです。

ところが、行き当たりばったりで
文章を作成していますから、
現在は 初めて訪中した 「1991年」の時代に遡(さかのぼ)っています。

この時に 嬉しくて嬉しくて
バシャバシャ 写真を撮りました。

今回 紹介している
一連の自転車が写っている画像も
その時のものです。

舞台は 北京ですが、
今から10年ぐらい前のものですが、
最近は あまり見ないような風景も
けっこう目に映ります。

懐かしい故郷といったところでしょうか。

今時の北京は、
もう 東京なみですから、
「古き良き 中国」を探すのは 
難しいのです。

次回のオリンピックは、
間違いなく 大阪ではなくて
北京でしょうから
もっと どんどん開発が進んでいくと思います。

ですから、
この写真たちは、
実に 貴重なものなのです。





それで、本当は、いえ 本当に
この 「北京便り」 のシリーズは
話をどんどん進めていきたいのですが、
あっちこっちに飛んでしまって
収拾がつかない状態になっております。

このままだと、
いつ終わるのか、
私にも 予想がつかないことになっています。

できるだけ、完成の形にしたいと思っていますので、
どうぞ 暖かく見守ってください。





ほら、この上の写真の映画の立て看板なんて、
今時 見ない感覚でしょ。

ケ小平の経済開放前の時代ですからね。

この時は、上海にも行ったのですが、
上海では
「周恩来(しゅうおんらい)」の自伝の映画を上映していました。




映画といえば、自転車が活躍する映画で 
私が思い浮かぶもの。

まずは、「E.T」です。

中学生の多感な時期に、
映画館でロードショーを見たので印象深い1本です。

E.Tを自転車の籠(かご)に乗せて、
エリオット少年は 必死に 自転車で小高い丘を 
逃げる、逃げる。

ああ、もう掴(つか)まる!
と、手に汗 握ったところで、
夜空を 自転車が 空に浮かび上がり、
きれいな 満月をバックにして 夜空に融けていく。

映画史上に残るシーンですね。

私は、小学校の頃に テレビで見た
「がんばれベアーズ」 も 未(いま)だに愛しているのですが、
「E.T」 も心に残ります。


最近では、「ニュー・シネマ・パライダス」

老映写技師のアルフレッドが
映画好きの少年 サルバトーレを ちょこんと 抱え込むように
自転車を乗っていました。


「ライフ・イズ・ビューティフル」でも、
自転車が効果的に使われていました。

「イタリアの宝」 ロベルト・ベニーニ(グイド役で出演)が
後の奥さんとなる 小学校教師のドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)を
乗せて 自転車が止まらなくなる場面。

息子が生まれてからは、
息子を自転車の籠(かご)に置いて、
二人で キスするシーン。


「運動靴と赤い金魚」

イランの映画ですが、今の日本が忘れてしまった
「こころ」 のある映画ですね。

貧しい父親が お金を稼ぐために
息子を自転車の荷台に乗せて、
金持ちの住宅街を回り、
植木を剪定(せんてい)する仕事をします。

念願のお金を手にし、ニコニコと帰宅するときに
自転車のブレーキが止まらなくなってしまいます。

手に汗 握る スリルあるシーンでした。

私は、この映画を見て、
たとえ 予算が少なくても
このような素晴らしい映画が生まれるのだ と
感動しました。


こうして考えてみると、
映画の中で 自転車が効果的に使われていれば いるほど
傑作になるという方程式が成り立つと思うのです。

自転車って
誰でも乗れて、身分や
男性女性、大人子供 を問わず、
手軽で 身近にあって 
どこへでも行ける
そんな 素晴らしい乗り物ですね。





さあ、お昼ですよ。

中国のお昼の時間帯のひとコマ。

なにか、スピードを感じるでしょ。

午前中の仕事が終わって、
待ってましたの 「お昼」 の時間。

私が 1991年 当時に聞いた話では、
中国では 会社でお昼を食べません。

みな、おうちに帰って
ゆっくりと 食事をするそうです。

その後は、ちゃんと 「お昼寝」をします。


だから、昼休みは 「2時間」たっぷりありますよ。


これが 人間らしい 生活だと思うのですが、
みなさまも どう考えますか?





「中国のメッセンジャー」 のサブタイトルを
ここで 読者のみなさまに
こっそりと 教えましょう。


「何故? 中国の自転車には ライトが付いていないのか?」


不思議です。

暗闇を走っていても
無灯火で もくもくと 走ります。

上の写真は、実は
上海の自転車たちです。

北京の自転車も そうですが、
全部 ライトは ありません。

ベルは あるんですけどね。

不思議でしょ。


通訳さんに そのことを尋ねてみたら、

「中国の何千万台とある 自転車にライトを付けたら、国家の損失になります」

と 笑いながら、
言っていましたが
本当のところは どうなんでしょうか。

もし、理由を知っている方は、
ぜひ、情報を提供してください。

気になります。





清水直美(飯島 直子) と横田(矢部) 鈴木(草薙 剛)が活躍する日本映画の
「メッセンジャー」


芝浦にある会社 TOKYO EXPRESSが舞台。


 「たかが自転車じゃない」と直美に言われ、

「チャリンコ」とバイク便に馬鹿にされ、

「本当は分かっているんでしょ。自転車便なんて無理なのよ」 と由美子にまで言われる。


「世界中で書類を届けるので バイク使っているのは日本だけやねん。 
俺らががんばったら、日本だって自転車便が当たり前になるんや」。
と、横田が入院しているベッドの上で 反論するが。


「子供の頃 初めて自転車に乗ったことを覚えているか?」

「それまで体験したことのないスピードで、、行けない所なんてない、今でもそうさ」


そうだよね、鈴木。


子供の頃の感覚って 忘れたらいけないよね。

僕も 自転車で 日本一週をしたかった。


この映画は、そんな 熱い「こころ」を持った男に
ビジネスを知っている 直美が絡んで
面白くなっていくんですよね。






自転車は、排気ガスを出さないし、
運動になります。

最近 中国は豊かになってきているので
物凄く 自動車が増えているのです。

私は 公害にならないだろうか?
と 隣の国ながら 心配しています。


また、中国人は 昔は
太っている人なんて ほとんど 居なかったのに、
最近は 目立っているんです。

自転車に乗らないで、自動車ばっかり乗っているからじゃないですか。


30分とか、1時間くらいは
中国では 自転車の 通勤圏だったのに。

文明が豊かになると
失うこともあるかもしれない。


SAFE RIDE!