生殖医療の歴史。不妊治療はどのように発展してきたか

06/09/26


山形県東根市神町 土屋薬局 薬剤師・不妊カウンセラー、国際中医専門員A級(中国政府認定)・
NPO法人日本不妊カウンセリング学会会員 土屋幸太郎

第18回不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座

第18回不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座

2006年5月27−28日 会場 ニッショーホール

主催 日本不妊カウセリング学会 運営 日本生殖医療研究協会

前日の金曜日が「日本不妊カウンセリング学会 第5回総会・学術会」で、
土日の2日間が不妊カウンセラーや体外受精コーディネーターの受験資格を得る養成講座でした。

金曜日のときは、日本の薬剤師で参加した人は多分私一人だけです。
(ちょっと自慢)

この土日の大会には、私の知り合いの薬剤師の先生たちも来ていましたので、
気分的には楽でした。

その中の一人の先生は、もう15年以上前からの知り合いで、
すでに不妊カウンセラーの資格を持っていらっしゃる立派なかたで、
一緒に一番前の席で講義を聞きました。

私が参加したときのプログラムの紹介です。

1日目

2006年5月27日(土)


生殖医療の基礎知識

「生殖医療の歴史:不妊治療はどのように発展してきたか」

国際医療技術研究所IMTCollege 荒木重雄先生


「はじめに」

旧約聖書の創生記には「産めよ増えよ地に満ちよ」という言葉が記載されている。

この文章は多くの子どもを得ることは
人類にとって価値のあるものという考えを反映したもので、
人々は不妊を大きな災いと見なしていた。

また、創生期には「私に子どもを授けて下さい。

さもないとわたしは命を絶ちます」という意味の言葉も記載されている。


不妊は古代文明の時代から大きな悩みの一つで、
神に頼るほかにすがるものがない時代から、
非科学的医療の時代を経て、今日の体外受精の時代に至った。

不妊をめぐる医療の変遷をたどることによって、
今日の生殖医療に対する認識を深めることができるのではないかと思われる。


1969年 イギリスでヒトの卵を体外で受精させることにはじめて成功する。(受精卵は実験後すぐに廃棄された)


きっと悩んでいたのであろう。

余談ですが、これは、裁判沙汰になった。

なんで私の卵を戻さなかったのか?戻したら妊娠できたのではないか?と裁判を起こされて、結局医療側が敗訴した。


1978年

イギリスで世界初の体外受精児 ルイーズ ブラウンが誕生する。

当時「試験管ベイビー」として大いに話題になった。

余談ではあるが、当時のイギリス社会ではカトリックが強かったために、
宗教界の反発が強く、最初はブラウンちゃんは人間として認められなかった。

ところが、ローマ法王のお許しがでて、事態は収まった。


このときの体外受精は、LHを2時間ごとに確認してから、35時間後に採卵した。

自然採卵。


これでは医師の負担が大変なので、体外受精は世界に広まらなかったが、
経膣超音波などの科学技術の発達により医療側の負担が減ったので、
体外受精は普及することとなった。

ルイーズ ブラウンさんは、一昨年に子どもを元気に出産したので、
ちょうどARTにおける世代が巡ったので、実に感慨深いことである。


「ICSI(卵細胞質内精子注入法) ホールディングピペットで卵を支えます」

こうして不妊治療の過去からの歴史とエビデンスについて学びました。

最近話題の「着床前診断」についても勉強しました。


明日の生殖医療を学ぶ

「習慣性流産における着床前診断の展望と限界」

名古屋市立大学大学院医学研究科

生殖・発生医学分野 杉浦真弓先生

(名古屋市立大学は、習慣性流産を研究している日本でも有名なところです)



カウンセリングとケアの基礎

「不妊カウンセリングに求められているもの<V─3>

〜心理カウンセリングの事例から考える〜」

心理カウンセラー 赤城恵子先生


特別講演 「親になること、家族になること」



2日目

2006年5月28日(日)


生殖医療の基礎知識

「一般不妊治療の基礎知識」

聖路加国際病院女性総合診療部・生殖医療センター

佐藤孝道先生


最新の海外の文献より、エビデンスを勉強していきます。

婦人科の先生たちと一緒に勉強します。

明日の生殖医療を学ぶ

「男性不妊治療とART」

帝京大学医学部泌尿器科

岡田弘先生


「TESE(精巣精子採取法)などの勉強をしました。とても有名な先生です」


生殖医療の基礎知識

「目で見るエンブリオロジー」

高度医療技術研究所

荒木康久先生


カウンセリングとケアの基礎

不妊カウンセラーの活動報告


以上のようになります。

また、機会をみつけて感想などをアップできたらと思っています。


講演された先生たちは、教科書を執筆されていたり、
日本でも名前が通っている先生方ですので、
あらためて最新の医療の話、エビデンスを聞くと同時に、
私は良い機会に恵まれたと感謝しております。


最後に、「生殖医療の歴史:不妊治療はどのように発展してきたか」を講演された
荒木重雄先生の「おわり」から文章を引用させて頂きます。


「旧約聖書に「産めよ増えよ地に満ちよ」という言葉が記載されているように、
多くの子供を得ることは人類にとって極めて重要なことで、
人々は不妊を大きな災いと見なしていた。

不妊の女性は「わたしに子供を授けて下さい。さもないとわたしは命を絶ちます」
という意味の言葉に現されているように、
重い重圧を背負っていた。

生殖は神の手にあった長い期間を経て、
17世紀には精子が発見され
、女性の生殖器の解剖学的研究が進み、
18世紀には近代的な不妊治療へ一歩が踏み出された…


旧約聖書の時代から、体外受精(ART)に至るまでのお話を伺っていますと、
私まで長い人類の歴史をタイムマシーンで旅したような気持ちになりました。

深遠な世界です。




6月の中医不妊症専門講座より

おはようございます。

土屋です。

今週の火曜日の夜に、テレビ電話での勉強会がありました。

東京と山形や長崎、静岡など全国を結んで、
双方向性の勉強会です。

お店にいながらにして勉強できますので、良い時代になったものです。

さて、私たち「百合チーム」の勉強会の今回の進行役は
友人のK先生の番でした。

テューターは、陳志清先生です。

今日は、その時の勉強会の私のメモの整頓です。
(ですから、分かりづらいと思います、すみません。
私の勉強の清書です)

A子さんの症例


1)プロラクチン↑なのに、排卵が早いのは何故か?

2)基礎体温は、高温期で37度を越え、低温期も36・5度台で、
上半身は火照るのに、下半身は冷えるのは何故か?


これがその日のメインテーマです。


A子さんは結婚3年目で、テルロン0・5錠とクロミッドを服用しています。

生理の周期は、24−27日です。

(生理の周期も24日だと短いので、改善したほうがいいですね)


自覚症状は、

寒がり、冷え性、不眠不安、眠りが浅く多夢、生理前に乳房が張る、生理前に頭痛、めまい。

ストレスが多く、仕事が忙しい。



プロラクチンは高すぎると排卵を抑制する。


高プロラクチン血症の中医学的な考察。


1)気鬱(きうつ)

このタイプは排卵が遅れることが多い。

つまり月経周期が長めになりやすい。


2)肝火(かんか)

気鬱が長期化すると、気が鬱滞して「熱」になる。

「肝火タイプ」は、排卵が早まりやすい。

ベースの体質的には、血虚(けっきょ)があると肝欝化火(かんうつかか)になりやすい。


化火(かか)を抑制すれば、プロラクチンが下がる。

化火(肝火)の治療はプロラクチンの治療になる。


☆月経周期が短いこと

1)卵胞の発育↓

2)子宮内膜↓


☆月経のこと

血塊(けっかい)

1)大きい血塊→淤血(おけつ)

2)小さい血塊→気滞(きたい)


☆生理の量が少ないときには、血塊は大きくない。


☆基礎体温が高いこと

1)陰虚(いんきょ)

2)湿熱(しつねつ)(著者注:血熱(けつねつ)もあります)


☆手足が冷たいのに、のぼせる。クラクラする。

→これらは肝欝気滞(かんうつきたい)


寒がり=陽虚(ようきょ)ではない。

血虚(けっきょ)や気滞(きたい)もある。


血虚の冷え性はたとえて言うと、「暖房の温水が足りない」こと。


このA子さんの基礎体温から分かること。

1)生理期は、排泄不暢(はせつふよう)

2)排卵障害

3)BBTが高いこと→陰虚鬱熱(いんきょうつねつ)


体外受精のときの点鼻→内因性のFSH、LHを抑える。

その後、外因性のHMGの効き目が良くなる。

ロングプロトコール(ロング法)



その日の講義のまとめ


1)気血不足(きけつぶそく)の体質のうえに、ストレスによる肝欝化火(かんうつかか)があった。

ホルモン療法による陰虚火旺(いんきょかおう)が最大のポイント。


2)治療は、補気養血(ほきようけつ)をベースに、疏(清)肝寧心(そかんねいしん)、滋陰降火(じいんこうか)が必要。

月経期は、活血調経(かっけつちょうけい)


3)排卵が早い人は、卵胞期の活血(かっけつ)に気をつける。


4)瀉火補腎丸、加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蠣湯、炒麦芽など適用。

帰脾湯は平性。

瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)の知母や黄柏は、心熱(しんねつ)をとっていく。


炒麦芽は周期が長い人に良い。

周期が短い人には、清火(せいか)+炒麦芽


5)その他

夫婦同時服薬、カウンセリング、生活習慣の見直しも必要。睡眠時間、仕事の調整など。



私の意見のまとめ


1)周期が24.25日だと妊娠が難しいので、周期が延長になるように考えていく。

2)基礎体温が高めだと、子宮内膜が熱いので、
卵が「サウナ状態」もしくは「半熟卵?」になるので、
基礎体温はできるだけ下がるような方向性で漢方を検討する。

3)顔色や唇の色を良くするなど、「美人になる」漢方を。

お肌の色艶が良くなることも重要です。

4)夜の睡眠も大切なので、夢を減らしてグッスリと眠れるように、
安神薬が周期の改善とともに必要だと思います。

5)夫婦の足並みを揃えることも大切。



<6月13日に草津に泊まりました。高砂館の近くにあるお地蔵さん。

高砂館に泊まったのですが、地蔵の湯は強酸性なのに
肌にまとわりつくやさしい感じで感激しました。

私は草津が大好きです>



<湯畑から上がっていくと神社があり、そこにも やさしい顔のお地蔵さんがいました>




<「菊に眠り地蔵」 このお地蔵さんの顔が好きです>







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平日の漢方相談大歓迎です。一人一人に時間をじっくり割いて相談しています。
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中医学、とくに中医学漢方の痺証と中医漢方婦人科に詳しい薬剤師 土屋幸太郎 (国際中医専門員)、不妊カウンセラー(NPO法人不妊カウンセリング学会認定)による親切な相談。じっくり話を聞いて一人一人の体質や年齢、症状に応じて相談しています。どうぞお気軽にお声をかけて下さい。

土屋幸太郎のプロフィールはこちらです。

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<2015年7月30日 土屋薬局店内 漢方勉強会>

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壁面にはお客さまから寄贈された赤ちゃんの写真やお手紙で明るい活気に満ちた店頭です。

ご主人さま、ご実家のお母様と赤ちゃんと家族4人でのご来店でした。

こちらのコラムもぜひご覧になってください。


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こちらも2015年7月30日現在の土屋薬局の外観です。

連日の猛暑、旧国道13号線沿いに当店がございます。

地理的には村山市、河北町、天童市、寒河江市、山形市、仙台市から来店しやすいです。

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<2013年11月4日 郡山市ビッグパレット 薬剤師 土屋幸太郎の漢方相談の風景>

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土屋薬局 中国漢方通信/漢方専門の薬剤師、不妊カウンセラーが相談します。

漢方体験ドットコム…土屋薬局のお客様体験談です。ぜひご覧になってください。

土屋薬局 中国漢方通信メールマガジン…毎月5日と15日の月に2回スタッフと力を合わせて発行しています。約360名の読者の方々がいらっしゃいます。ぜひご購読のご検討を!


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<2015/09/30 送子観音菩薩像を漢方コーナーに移動しました。オーラがでています>

中国の民間の信仰では、送子観音菩薩は日本でいう「子授け観音」として大変に有名です。

中国で不妊治療の名医、老中医は「あの先生はまさに送子観音菩薩です」とも言われたりしています。

当店も私も送子観音菩薩のエピソードにあやかりながら、お客様たちと喜び、悲しみを共有していきたいです。


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漢方のご相談方法は、漢方相談表、またはファックス電話で受け付けています。
お問い合わせは、送信フォームもございます。
詳しい漢方相談の方法はこちらからで説明しています。

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所在地 山形県東根市神町中央1-10-7
Google mapによる所在地

営業時間 第二、第四日曜日お休みです。

平日 午前9時〜午後7時  土祭日 午前9時〜午後6時

メールアドレス JDY00247@nifty.com

電話 0237-47-0033 漢方電話相談室 0237-48-2550 Fax 0237-49-1651


仙台方面からのご来店の場合には、お車でのご来店、または仙台駅前の旧仙台ホテル跡の複合商業施設のEDEN前のバス停から「山形新庄行き」48ライナーの山形交通のバスをお勧めしています。さくらんぼ東根駅下車です。1時間に1本あります。約1時間15分です。

さくらんぼ東根駅に到着されましたら、当店のスタッフがお迎えにまいりますので、お気軽に前もってご予約のうえご来店頂けたらと思います。

福島県からのご来店のお客様も増えてきています。

郡山市から東根市までは約2時間ぐらいで当店に到着しますし、山形新幹線で息子さんと一緒にさくらんぼ東根駅経由で来店されたお客様もいらっしゃいました。


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漢方では一人一人の体質に合わせて相談していきますので、詳しくはご相談してください。




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体調に合わせながら
健康をつくる漢方相談をしていくことを誓います。