あけび

02/01/18


昨年、1年間 休みの日とか、仕事で出張に行ったときの、
お花な 自然の風景を入れていた CDRが壊れてしまいました。

以前に、一度 そういうことがあって、画像が読み出せなくなって
かなり焦ったのですが、結局は スキャンデスクをかけることにより、見事に直ったのです。


ところが、今回は ぜんぜん駄目でした。

スキャンデスクをかけるところか、もう 「CD」として、パソコンが認識してくれません。。

知人に聞いてみたところ、大塚商会という会社があって、データー復元サービスをしているそうです。


でも、値段を見て あきらめました。

大体、CD1枚分で 約8万円くらい 費用がかかります。

ですから、もう少し待ってみて、データー復元の価格破壊が起こるのを 期待していましょう。


何故? お前は 壊れてしまったのかい?

昨日の晩には、正常だったのに。

皆様も、データーは 大切にしましょう!


私は、自分が撮影した自然の写真が 8万円の価値があるか?
と 自分に問いかけました。





月日はめぐります。

四季の移り変わりは、自然の法則です。


中国漢方(中医学)の基礎理論に、深遠なる 「五行(ごぎょう)理論」があります。

「五行理論」の「五」とは、すべての自然界の事物を、「木、火、土、金、水」の 5つの要素に分けたことを示します。

「行」とは、それらの相互関係、すなわち 運動と変化を意味していて、これらを合わせて 「五行」としているのです。


季節の関係でいえば、「木」は、「春」の季節で、「生」の働きをします。

春には、植物は 種から 一斉に芽を出すことが、「生」という訳です。


「火」は 「夏」の季節で、「長」の働きをします。夏には 生き物たちが 育ち始めます。


「土」は 「長夏」の季節です。

5〜6月くらいの 日の長い日を指し、「化」の働きをします。

自然界の生き物たちが、最も盛んに 成長していく季節です。


「金」は、「秋」にあたります。働きは、「収」になります。

文字通り、「収穫」の秋で、春に種から成長した生き物たちが、夏に育ち、秋には実となるわけです。


「水」は、「冬」の季節です。「蔵」する季節です。

動物たちは、冬眠し、植物たちは 種になり、春が来るのをじっと待ちます。


素晴らしいですね、中医学って。


もう少しだけ 説明しますと、実は、これらの法則が、人体にも当てはまります。

たとえば、「水」は、「冬」で、「蔵」。

人体では 「腎」になります。

冬の季節は、補腎(ほじん)と呼ばれる 生命力をパワーアップさせる漢方薬を服用していると、
次の季節の 春の疾患の予防になります。たとえば、花粉症などのアレルギーや、5月病など。


さてさて、季節は巡りますから、8万円のデーター復興は あきらめる代わりに、
今年も 自然と親しみたいと思います。(がんばって、写真を撮ろう!!)

では、CDRが壊れる前の日に、トップページ用の画像として デスクトップに残っていた 1枚だけの
あけびの花の画像と、秋に収穫された あけびの実の画像で、今回の漢方コラムを進めていきます。





場所:土屋家 日時:2001年5月の連休中 撮影者:土屋幸太郎

あけびの花は、とても きれいですね。
あまりの美しさに、自然の素晴らしさを実感します。
でも、他にも あけびの花の画像がたくさんあったのですが、
前述しましたように、消えてしまいました。
来年も、咲きますように。。


では、土屋薬局 中国漢方通信では、お馴染みの日本漢方医学の大家、
大塚敬節先生の 「漢方と民間薬百科」(昭和41年発行 主婦の友社)より、あけびを紹介します。

(大塚先生、主婦の友社さま、いつもありがとうございます)


アケビ(アケビ科)


別名 アケベ アケビカズラ アケビズル アクビ

現在、漢方で 木通(もくつう)と呼ばれているものは、このアケビである。


▲ アキビ(青森 岩手 宮城 山形 福井 山口)、イシアケビ(日光)、イシヤ、イシヤノキンタマ(長野)、エンノクソ(群馬)、オトバテンテン(福井)、カラスウンベ(鹿児島)、ゴヨウアケビ(長野北部)、ジンジンババ(長野)、ネコンウンベ(鹿児島)

花を オキアガリコボシ(静岡)


薬用部位 つる 葉 実 根


薬効 突き目 浮腫(むくみ) 尿利減少(尿の出が少ない) 淋疾(りんしつ) 膀胱炎 月経不順 血の道症 頭痛


使用法


1 突き目

実を干して、こまかく砕いたものをせんじて、その汁で 1日3回 目を洗う。


2 浮腫 尿利減少

つる、または根を日光に当てて 干したもの10〜20gを 1日量とし、せんじて飲む。


3 淋疾

つるも葉もいっしょに、せんじて飲む。

または、実を黒焼きにして飲んでもよい。


4 月経不順 血の道症 頭痛

つる20gほどを1日量とし、せんじて飲む。




2001年10月2日撮影

きれい紫色の花が、緑色の実になりました。
自然って、不思議。


では、次にご紹介する本は、南東北中医薬研究会でお世話になっている
貝津好孝先生の 名著 「日本の薬草」(鰹ャ学館 1995年発行)より、
あけびの中医学的な認識を紹介しましょう!

(貝津先生、小学館さま、ありがとうございます)




アケビ(木通 もくつう) アケビ科


地方名: アケビカズラ、アクビ。山野に普通に生える つる性大木。


薬用部位:茎(木通)、果実(八月札)。

茎は開きに、果実は 8〜9月に成熟したものをとって天日乾燥する。


薬効:茎、果実ともに 内臓の熱をとり、尿を出す薬草である。

茎は むくみ、膀胱炎。果実は 尿管結石、睾丸腫痛。


使用法:

患部に熱感があり、おしても すぐもとに戻るむくみ、おへそのまわりや下が温かく、
排尿時に熱感があるときの膀胱炎には、茎1日5〜10gを600tの水に入れ、
30分ほど煎じて 3回に分けて服用する。

患部に熱感のある尿路結石、赤く腫れて 熱感のある睾丸の痛みには、
果実1日10gを水600tに入れ、30分ほど煎じて 3回に分けて服用する。

尿路結石には ウラジロガシを加えて煎じるとよい。

妊婦や胃腸が冷えやすい人、患部が冷えている人は服用しない。




神町小学校の校歌は、
「たわわに実る果樹園の〜」とありますが、
まさに “たわわ”という感じですね。


最後に、我が母校 星薬科大学の大先輩の 井沢一男先生の 「薬草カラー図鑑」(主婦の友社 1978年発行)より。

(井沢先生、主婦の友社さま、ありがとうございます。生薬学は、不滅です!)


薬効と用い方


腎臓炎・尿道炎・膀胱炎などのむくみに

輪切りにして乾燥した茎(木通 もくつう)10〜15gを 1日量としてせんじ、3回に分けて服用する。

カリウム塩の効果と考えられる。


おできに

木通1回15gをせんじ、この せんじ汁で患部を洗うとよい。


料理に

果実の皮を油でいためて 食べる地方が多い。

また春先に若葉や若枝を 木の芽と呼んで、ひたし物、ごまあえなどにしても風味がある。





パックリと割れました。
まさに食べごろであります。

あけびは、井沢先生が著書で指摘しているように、
食べるものなのです。

上記のあけびの中身に 白いものが見えますね。

甘くて おいしいんですよ。

なんて言うのでしょうか?

バナナの大人の味とでも、言いましょうか。

洗練させた 甘味に、渋さを感じる味です。


あけびの中の甘さを味わったら、
次は この皮の中に お肉を詰め込みます。


よく ピーマンなんかに、お肉を入れて油で炒めて食べますね、
あんな感じになります。


あけびの皮は、苦味があって、もう これは大人の味ですね。


そこで、口の中に お肉あけびの皮が充満して、
歯ごたえが最高です。


私が 小学生だったころに、
東京から 薬品会社のセールスさんが来て、晩御飯を家族と一緒に食べました。


その時の 「山形自慢の料理の一品」が あけびです。


東京出身のセールスさんは、生まれて初めて あけびを食べたそうで、
うちの母親は、
「あけびを食ったごと、ないんだがした〜」
と言って、喜んでいました。


県外の方で、山形に遊びに来たら、ウソでもいいから、
食べ物は ほめてくださいね。

山形人は、古里の味に こだわる人種ですから。。




それにしても、あけびの花は 何回見ても きれいですね〜。
春に美を感じ、秋には食べましょう!