ドクダミ 父の日記念

01/6/17


この前(6月10日)、山形のフォーラムという映画館に行きました。

最近は、山形駅西側地域に霞城(かじょう)セントラルビルという最新型の建物の地下二階に
ソラリスという、流行の「マルチプレックス・シアター」が出来たために、
今まで 何でも封切りしていた 我が「フォーラム」は、名作を中心とする映画館になったのです。


その日は、「ミリオンダラー・ホテル」と 「ハイ・フィデリティ」という映画を 2本堪能しました。

「ミリオンダラー・ホテル」は、
「ベルリン・天使の詩」 「ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ」を撮影した 我らのヴィム・ヴェンダース監督が
我らの U2のボノに触発されて製作された映画です。





「ミリオンダラー・ホテル」

評価:★★★★★(満点)

トムトム(ジェレミー・ディヴィス)が 私の親友の顔にそっくりだった。
トムトムは、「僕のことをトムトムと呼ぶなあ〜! トムなんだ〜!」と言って、頭の弱いふりをしていた。
が、本当は 頭が良いのだと思う。
エロイーズ役の ミラ・ジョヴォヴィッチさんも素晴らしかったのですが、
この映画の為にだけに結成された ボノを中心とする 「ザ・ミリオンダラー・ホテル・バンド」の楽曲も最高!
私も、これからは、トムトムのように正直に生きていこうと 今でも思っています。
私の人生に感銘を与えた1本です。
(「ベルリン・天使の詩」 「ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ」も、私に大きな影響を与えてくれました)

「ハイ・フィデリティ」

評価:★★★★★(満点)

馬鹿にして、時間つぶしで見ていたら、びっくりしました。 傑作です!
昔の2本立てでロードショーしていた時代で言うと、1本目の看板作品ではなく、
必ず2本目にくる映画だが、いわゆる B級映画の傑作に相当します。

「失恋するから音楽を聴くのか、音楽を聴くから失恋するのか」
中古レコード店を営む ロブ(ジョン・キューザック)が、過去にふられた5人の女の子を回想する。
ストーリー的にも最高ですが、なんといっても、これは 「ロックマニア」のための映画です。
私も、昔は 「ロッキンオン」を読んでいましたので、
「キャプテンビーフハートのCDありますか?」などのセリフには笑ってしまいました。
脇役の ジャック・ブラック、トッド・ルイーゾは、バイト役で出演していますが、これも好演です。

「人の価値は、そいつがどんなに素晴らしいかじゃない。
お互いの趣味や方向性が一致するのが、人間性である。
これは、俺ら3人の共通した意見だ」 BY ロブ


注:私の映画の基準について

「がんばれベアーズ!」と 「E.T」を基準にして評価します。
ちなみに、「アルマゲドン」の評価は、★(最低)です。あの映画を良いなんて言ったら、私の真の友人ではない。
最初のシーンで、我が 「R.E.M」の「世界の終わる日」が流れてきただけで、ストーリーが分かりました。





と、素晴らしい映画を見て、満足しながら映画館を出ました。

車に乗り、駐車場をバックしようとした その瞬間、
プリメーラワゴンのバックビューモニターに、可憐な白い ドクダミの花たちが写っていました。

その2〜3日前に、父から 家の庭に連れられて、
「うちの家の庭のドクダミの花は最高だ」 と言われていましたから、
改めて 映画館「フォーラム」の周囲を見回してみると
ドクダミの花が咲き誇っています。

ドクダミって、生命力が強いですね。





01年6月11日撮影。
場所:土屋家の庭
撮影者:土屋幸太郎

我が家の庭です。

昨年、亡くなった祖父が愛情を込めていました。

庭の池には、20〜30cmくらいの金魚も泳いでいます。





その日、父は皐月(さつき)や庭を手入れしていました。

その後、店に戻ってきて、
ドクダミの花が綺麗だ。

この場所が最高だ。

と、私を案内します。





確かに、駐車場で がんばって咲いているドクダミの花よりも、
こういう風情(ふぜい)があるところの方が、
ドクダミの花も いっそう可憐(かれん)に見えます。





私の父は、ホームページやインターネットなど、
全然 理解していません。

多分、このページもスクロール出来ないことでしょう。

しかし、最近は 「土屋薬局 中国漢方通信」の評判を聞いて
気を良くしています。


なんでも、父が言うには
このサイトは 「癒(いや)しのサイト」だと知人に言われたそうです。


個人的には、
無理に 「癒し」の路線を
ねらっているのではないのですが、
そのような感想は ありがたいと思います。


そこで、たまーに 店のノート型パソコンで
このサイトを 父や母に見せませす。


でも、文章は滅茶苦茶(めちゃくちゃ)だし、
恥ずかしいので、じっくりとは読ませません。


鷺草(さぎそう)の画像を見て感動しました。
初めて鷺草を見たのですが、素晴らしい写真をありがとう」

って、メールが来たよ。お母さん!

などと言いながら、母が心をこめて作った鷺草を見せては
喜んでいるのです。


妹は妹で、
「兄ちゃんの作ったサイトは、評判がいいよ」

と、妹もホームページを見ないで言っています。


なんでも、この 土屋薬局 中国漢方通信は、
ほかの薬局のサイトが、目先の利益に走り
「カタログ販売」のようなことを 一生懸命やっているので、
うちのサイトのようなところは、珍しいのだそうです。

うーん、単に 自分がサイトを更新するにあたって、
日中は 一生懸命働いて
夜に ビールを飲みながらとか、
音楽を聴きながらとか、
楽しみながら 作成しているので、
自然と このようなサイトになっていくのだと思います。


自分が楽しくなければ、読者の皆様も楽しくないと思うのですが。。


ですから、企業系のサイトなのですが、
実は 個人サイトの意気込みで作成しております。





父は、我が家の庭のドクダミの花を案内した後は、
漢方の本を持ってきて、
ドクダミには 和漢薬としては こういう使い方があり、
漢方では このような使い方で、
そして 中医学(中国漢方)では、このような認識があると、
この ドクダミの花で 今度のホームページの内容にしたらどうかと
私に 熱く語ります。


しかも、今度は 土屋家の薬草で
ホームページを更新していこうと言います。


真面目な話ですが、
確かに 外に遠征しなくても
家の敷地内のお花たちで、このサイトは
ずーっと更新していけるのですが。。


6月17日は 「父の日」です。


「父の日記念」として、「ドクダミ」を皆様と一緒に検討していきましょう!




ドクダミ
 (ドクダミ科) 生薬名 十薬


名前の由来 生の全草には 特有の臭気があるので、何か毒でもはいっているのかと、
ドクダメ(毒溜め)の名から、つづいて これがドクダミに変化した。

「わが国の馬医 これを馬に用いると、十種の効能があるので、
十薬(じゅうやく)と言う」と 「大和本草(やまとほんぞう)」(1708)に出ている。


以上の文章は、薬草カラー図鑑(著者 星薬科大学名誉教授 井沢一男先生 且蝠wの友社)より、
引用させて頂きました。ありがとうございます。





次は、漢方と民間薬百科(大塚敬節先生 且蝠wの友社)より ドクダミを引用させて頂きます。
(大塚先生、いつもありがとうございます)


ドクダミ
 (ドクダミ科)


別名 重薬(じゅうやく) 十薬(じゅうやく) ドクダメ


▲ イヌノヘ(青森 秋田) インノヘ(平戸) カミナリノヘソ(静岡) カラッパグサ(鹿児島) サンカクソウ(山口)
ジゴクソバ(東北 関東) シビトグサ(大分) ジビョウグサ(長野) ジャコロシ(宮崎) ドクダン(新潟)
トベラ(宮崎 鹿児島) ニュウドウグサ(山口) ハッチョウグサ(大分) ヘビグサ(千葉)


薬用部位 全草(乾燥して たくわえるときには、花の咲いているときに採集したほうがよい)


薬効

痔 高血圧症 便秘 たむし(頑癬) 陰部のただれ はれもの かぜ(感冒) 梅毒 淋疾 腰痛 
蓄膿症(副鼻腔炎) 冷え性 帯下(こしけ)


使用法


1 痔

痔核(いぼ痔)には、生の根をおろし、1日3回、1回に 3〜4gずつ飲む。

また、全草を陰干ししたもの 20gを、1日分としてせんじて飲む。

また、生の葉を蒸し焼きにし、ゴマ油でねって、寝るときに患部にはる。


葉を入れて ふろをたて、腰湯をしてもよい。

また、生の葉の しぼり汁をぬってもよい。


2 高血圧症

陰干ししたもの 10〜20gをせんじ、毎日お茶がわりに飲む。

狭心症、動脈硬化を予防し、脳出血の予防にもなる。


3 便秘

便が固くて快通しないときには、乾燥したもの 10〜20gをせんじて飲む。


4 たむし 陰部のただれ

せんじた汁で洗う。


5 はれもの

俗にいう ねぶと(せつ)や、その他の はれものに、生の葉を和紙に包んで炭火であぶり、
紙がこげるころ とり出し、よくもんで やわらかくして患部にはる。

膿を吸い出す効がある。


また、もんで やわらかくしたものに ハコベのしぼり汁を加えてねり、患部にはってもよい。


生の葉を もんでつけても、根をすりつぶしてもきく。


6 かぜ

乾燥した葉をせんじ、汁をとって あたたかいうちに飲む。

また、生の葉の しぼり汁にショウガのしぼり汁を加え、砂糖を加えて飲んでもよい。


7 梅毒 淋疾

解毒の効、尿の出をよくする効があるので、長期にわたって服用するとよい。


8 腰痛

生の葉でも乾燥した葉でもよいから、これで ふろをたててはいるとよい。


9 蓄膿症

乾燥した葉を お茶がわりに飲むとともに、生の葉をもんで鼻腔にさしこんでおくと、
膿のような鼻汁が たくさん出る。

これを たびたび、くり返すとよい。


10 冷え症 帯下

全草でふろをたてて はいると、よく あたたまり効がある。



ドクダミによる 蓄膿症のなおし方


加古清子さんの経験は、次のようである。

「ドクダミの葉20枚ばかりをつんできて、水で泥を洗い落として、すぐにぬか漬けの中へ、
キュウリやナスをつけるのと同じ方法で、30時間ほどつけます。


それを、夜床につくときに出し、鼻孔に ちょうどはいるくらいの大きさに指で丸め、
左右いずれか一方の鼻孔に さし入れて、そのまま寝ます。


そして、約5時間ほど経過したら とり、鼻をかむと、悪臭のある膿液が出ます。


その後、もう一方の鼻孔を同じようにして寝、翌朝 起床のときと同じように鼻をかんで、膿液を出します。


1回だけでも、翌日は更生したような さわやかな気分になり、3、4日後には、
吐く息にも不快な悪臭がなく、膿液も きわめて少なくなっていきます。


軽症なら 約2週間、どんな重症でも 3週間つづけて行えば、膿汁はすっかりとれてしまいます」






ちょっと一休み

この画像にも ちらっと写っている百合(ゆり)のアップです。

私たちの食卓には、「百合(ゆり)の根」がならび、
茹でて おいしく食べますが、
実は 漢方薬なのです。

百合(びゃくごう) 

性味:甘、微寒 帰経: 心・肺

@潤肺止咳(じゅんはいしがい)

痰がつまったり、空咳、体が痩せている、手足がほてりやすい陰虚証の体質の人の肺を潤し、咳を止めます。


A清心安神(せいしんあんしん)

高齢者、体が痩せている、のぼせやすい、口渇、ほてり、寝汗をかきやすいタイプの
焦燥感、動悸、不眠症、夢が多いことなどに効を奏します。




では、本題の ドクダミに戻ります。

漢方の本場 中国では、ドクダミを どのように認識しているのでしょうか?

「中医臨床のための中薬学」 (神戸中医学研究会編著 医歯薬出版社)より、引用させて頂きます。
(ありがとうございます)


魚腥草(ぎょせいそう)


〔処方用名〕 魚腥草・重薬・十薬・ジュウヤク


〔基原〕 ドクダミの花期から果実期にかれての全草。


〔性味〕 辛、微寒

〔帰経〕 肺・腎・膀胱


〔効能と応用〕


@ 清熱解毒(せいねつげどく)・消廱(しょうよう)

痰熱壅盛(たんねつようせい)の肺廱(肺化膿症)で 咳漱・腐臭のある膿血痰・胸痛などを呈するときに、
芦根(ろこん)・貝母(ばいも)・桔梗(ききょう)・冬瓜仁(とうかにん)などと用いる。

方剤例 加味魚桔湯


廱瘡(ようそう)腫毒(皮膚化膿症)に、単味を内服するか 新鮮品を搗(つ)き砕いて外用する。

外痔核の腫張・疼痛に、煎汁で外洗(がいせん)する。


A 利水通淋(りすいつうりん)

湿熱(しつねつ)の淋証で 排尿痛・排尿困難・尿の湿濁などを呈するときに、
車前子(しゃぜんし)・木通(もくつう)などと用いる。

湿熱(しつねつ)の下痢・テネスムスなどにも使用してよい。


〔臨床使用の要点〕

魚腥草(ぎょせいそう)は辛寒で、宣肺散結(せんぱいさんけつ)・清熱解毒(せいねつげどく)に働き、
外廱内廱(がいようないよう)を問わず 廱腫(ようしゅ)を消散(しょうさん)する。

熱毒廱腫(ねつどくようしゅ)・痰熱壅肺(たんねつようはい)の肺廱吐膿(はいようとのう)
・肺熱の喘咳(ぜんがい)痔瘡(じそう)などに有効であり、肺廱(はいよう)の要薬である。


〔用量〕 9〜30g、 煎服、外用は適量。

〔使用上の注意〕

@ 新鮮品は倍量を用いる。
A 長時間煎じてはならない。


著者ワンポイントアドバイス(薬剤師 土屋幸太郎の解説)


〔性味〕 辛、微寒

辛味が 「発散作用」があるので、毒を蹴散らす働きがあるということです。

漢方コラム「イカリソウ」を参照してください)

微寒とは、やや体を冷やすということで、要するに 体に炎症があったり、熱っぽい人に向きます。
冷え性の人は、ドクダミは 体を やや冷やすので あまり真剣には飲まない方が良いでしょう。


〔帰経〕 肺・腎・膀胱 

「肺」に効くということは、咳や痰に効果があるということです。

ちなみに、ドクダミは 微寒ですから、「熱っぽい咳、痰」に向いています。

中医学では、黄色い痰は 熱証と考えますので、いわゆる抗生剤を投与するような
細菌に化膿した 炎症性の咳に ドクダミは効果があるということです。

これとは逆に、水っぽい痰や白っぽい痰は 寒証ですので、ドクダミは 証に合っていません。


「腎・膀胱」ときたら、中医学では 通常は利尿作用があるということになります。

ドクダミは、微寒ですので、熱の症状がある小水に向いています。

尿の診断方法は、「黄色い尿、甘たるい臭いがある尿、ネバネバした感じの尿」は、「熱証」になりますので、
ドクダミは このような 「熱証」タイプの 尿のトラブルに向いています。

逆に、「寒証」の 「透明で水のような 寒さを感じる尿」のトラブルには、向きません。


このような考え方が、いわゆる民間薬と 私たち臨床家の中医学的認識に基づく違いとなります。

ですから、ドクダミを一生懸命飲んで健康になる人と、
逆に 副作用を起こしてしまう人が出てしまうのです。


日本中医薬研究会は、中医学の専門集団ですので、困った時は どうぞご相談ください!









父は、我が家の庭のドクダミの香りが とても良いと言う。


私も 後から写真を撮影するついでに、
こそっと匂いを嗅いでみましたが、
鼻が悪いせいか 
その良い香りが分かりませんでした。


でも、こうして我が家の庭に咲き誇るドクダミたちは、
けっこう恵まれた環境にあるんだな と思います。


今回の漢方コラムは、「ドクダミ」をとおして、
「父の日」の贈り物に させて頂きます。


後から、ドクダミの庭のドクダミを
ホームページにアップしたよ!
と 機嫌の良いときに サーッっとスクロールさせて見せよう。


あ! このページを読んだ読者の皆様は、
父には 内緒にしてくださいね。
(恥ずかしいから。。)

(ちなみに、一度も「父の日」の贈り物をした覚えがないですし。。)