01/7/10
梅雨空に アジサイがきれいに映えます。
雨降りが多くなるころは、心も陰鬱(いんうつ)としてきますが、
アジサイが咲いているのを見ると、ほっと 心になごみます。
日本中にアジサイが咲いて、日本中の人々が それぞれの地域、ご家庭でアジサイを楽しんでいると思いますが、
この漢方コラムでは、我が家のアジサイを紹介していきます。
6月28日撮影。
我が家の駐車場の壁の近く。
真ん中は、ご存知 アジサイ。
左側は、山吹(ヤマブキ)。右側は アケビ。
では、ちょっとだけ、タイムスリップをします。
2001年4月28日の山吹(ヤマブキ)の花をご紹介しましょう!
2001年4月28日撮影。
山吹の花
撮影者:土屋幸太郎
きれいですね。
これが、本当の 山吹色です。
子供の頃は、ペンテルの色鉛筆や 絵の具で、
12色とか、24色、36色などに憧れたものです。
あの頃は、色鉛筆や絵の具の色を いっぱい持っている友達が うらやましかった。
たしか、その頃のテレビでは
色鉛筆や絵の具のことを紹介する コマーシャルを放映していて、
そのコマーシャルの歌が、
「お空の色は、どんな色〜〜? チャチャチャチャ(伴奏)
お山の色は、どんな色〜〜?チャチャチャチャ(伴奏)」
とやっていました。
それで、コマーシャルに出演している子供たちが
「あ!山吹色だ!!」
と嬉しそうに、絵の具の 山吹色のチューブを絞るんですよね。
今、大人になって こうして
この画像を見ていると、
天然の山吹色って 美しいと思います。
山が 萌える色ですね。
さて、アジサイの右隣のアケビの成長状態を見てみます。
2001年6月28日撮影
アケビの実
うん、おいしいそう!
秋には、もっと大きくなります。
このアケビの実には、あまーい種が トロッと入っています。
食べると、おいしいんですよ。
あと、山形では このアケビの皮を料理して食べるんです。
それは、アケビの実の種を取り出して、お肉を詰めて
フライパンで ジューっと焼くんですね。
秋になったら、春に咲いた 美しいアケビの画像とともに、
この漢方コラムで 「アケビ特集」をしたいと思います。
(アケビの茎は、漢方では 「木通(もくつう)」と呼ばれ、
腎臓炎・尿道炎・膀胱炎などのむくみに使用されます)
アジサイって きれいですね。
これで、カタツムリがいれば、雰囲気があって良いのですが。。
学生時代は、薬科大学で勉強していましたので、
生化学、有機化学、無機化学、など さまざまなことを勉強しました。
その中で 思い出に残っているのが 分析化学の I教授の授業でした。
(無名コラム 「笑いと治癒力」 にも登場していますので、お暇でしたら こちらも楽しんでください)
その時の授業の内容は、「アルミニウム」
うん、今も その講義内容は 忘れません。
当然、アルミニウムは 三価の陽イオンで、酸化還元反応ではこうで、塩(えん)としては こういう存在で、、
と 真面目な講義になるのが通常ですが、 I教授の講義は ユーモアがあるというか、雑学も入ります。
(「塩(えん)」とは、「塩(しお)」という意味ではなく、安定した存在の「化合物」という意味です)
@アルミニウムは、脳に蓄積すると、「アルミニウム脳症」となり、アルツハイマーの原因となるのではないか?
解説:
最近、新聞で アルツハイマー(痴呆症の一種で、レーガン元アメリカ大統領も闘病している疾患)の原因となる
たんぱく質を発見して、これが 有効な新薬に結びつくであろう! という記事を読みました。
素晴らしい発見だと思いますが、私は I教授のアルツハイマーは、
脳にアルミニウムが蓄積されるのが原因である!という説を信じています。
だから、アルミニウムの鍋は、あぶないと思うのです。
毎日、アルミニウムの鍋で料理していると、きっとお湯の中に アルミニウムが溶け出して、
それが 何十年も続くと、アルツハイマーになるに違いないのです。
また、胃薬の中に 成分としてアルミニウムが配合されているのがありますが、
私なら 絶対に服用を拒否します。
胃薬で 頭が悪くなったら 大変です。
Aアルミニウムは、土壌中に存在していて、アルミニウムの濃度はアジサイの色で分かる。
解説:
これが 今回のコラムの本題ですから、私も I教授に混じって解説していきます。
自然界の土壌中には、アルミニウムが溶けて存在しています。
このアルミニウム濃度は、土壌のPH(ペーハー)に左右されます。
PH(ペーハー)とは、水素イオン濃度がどのくらいあるかを基準にしているものですが、
リトマス試験紙などでも 簡単に分かるものです。
さて、PH(ペーハー)は、7を中性として 7以下は酸性、7以上だったらアルカリ性となります。
アルミニウムは、さまざまな化合物として土壌中に存在していますが、
酸性のときは、アルミニウムは溶け出してきます。
逆に、アルカリ性の土壌では アルミニウムは、化合物(いわゆる「塩(えん)」)として存在しますので、
溶け出さないことになります。
アジサイの色のもとは、アトシアン色素ですが、
この アントシアン色素とアルミニウムが結合しますと、青色になります。
酸性の土壌(酸性土)では、アルミニウムが多く溶けていますので、
アジサイの色は 青色となります。
アルカリ性では、土壌には アルミニウムは溶けていませんので、
とうぜん アントシアン色素との結合は行われませんので、今度は 赤色のアジサイとなります。
つまり、アジサイの色が 青色か赤色かを見るだけで、その土壌のPH(ペーハー)が予想がつくのです。
このアジサイは、赤い色に近いから、
土壌は ややアルカリ性に近いでしょう!
日本は、地震が多いことでお分かりの 火山灰地に覆われています。
そのため、酸性から弱酸性の土地が多いのです。
しかし、酸性が強すぎると 土壌中のアルミニウムが溶け出していきますので、
このアルミニウムが 植物の生育に必要な リン酸分を横取りしてしまいます。
また、アルミニウムの濃度が高すぎると、普通の植物たちは、
アルミニウムの「毒性」にやられて、育たなくなってしまいます。
ところが、アジサイは、詳しい説明は省きますが、
このアルミニウムを無毒化する機構が備わっているのです。
ですから、強酸性の土壌でも発育して、見事な青色になるのです。
中性からアルカリ性だと、アジサイは赤色ですから、
もし そのアジサイの品種が赤色が美しくて有名なのに、土壌が酸性で 「青色」になってしまったら、
あわてないで 石灰(せっかい)を まいてください。
石灰で 土壌がアルカリ性になりますので、
再び、きれいなアジサイの赤色が よみがえるでしょう。
リトマス試験紙は、酸性では 青色が赤色になります。
アルカリ性では、赤色が青色になります。
ちゅうど、アジサイとは、正反対ですね。
面白いですね。
(アジサイは、酸性では青色で、アルカリ性では赤色だから、リトマス試験紙とは正反対になります)
さて、インターネット上には、無数のアジサイを特集したページがありますが、
ここは 土屋薬局 中国漢方通信です。
みなさまに、なるべく漢方的な話を! と心がけております。
また、今は 西洋医学が全盛で 神をも恐れぬ領域に はいっていますが、
古来 人間は自然と調和し生きてきましたし、
花など 植物から 「薬(くすり)」は生まれてきたわけです。
自然とともに歩みましょう!
また 最近では、薬科大学では もう「生薬学(しょうやくがく)」は必要ではないのではないか!
という風潮らしいですが、そうは問屋がおろしません。(私も 許しません!)
医学とは、自然から始まって、自然に終わるのです。
薬理や有機合成学が、なんだ!(これは、プロ野球では 巨人軍のような存在です)
自然と触れ合いながら、生きていこう!
という訳で、私の大学の大先輩 井沢一男先生の名著 「薬草カラー図鑑」(主婦の友社 昭和60年発行)より。
アジサイ (ユキノシタ科)
わが国で古くから栽培されていた植物。
房総・伊豆半島、伊豆七島などの海岸にある日本原産のガクアジサイが母種となって改良された園芸品で、
野生にはない。
各地で山林や高原に これを植えて観光地にしているが、すべて人工栽培品で、
陰気な梅雨期に濃淡さまざまのコバルト色が、見る人の心を明るくしている。
花は初夏 大きい球状の散房花序につく。
一つの花は装飾花(かざりばな)からなり、4〜5片の がく片が大きく、
淡青紫色で花弁様になっており、本物の花弁は非常に小さく、4〜5個あるが目立たない。
雄しべが10本ほど、雌しべは退化していないので果実はできない。
名前の由来
万葉のころには 味狹藍、安治佐為で アヂサヰと発音していた。
「和名抄(わみょうしょう)」(932)にも 安豆佐為と出ている。
語源については、「大言海(だいげんかい)」では 「集真藍(アヅサヰ)」の意から来ているとしている。
アヅは集まること、サイは真の藍、花が青く、たくさん集まって咲く意味である。
古く日本から中国に渡ったアジサイは、中国では 天麻裏花、瑪哩花と名づけられた。
本家の日本では 紫陽花や八仙花をアジサイの漢名としたが、これは中国産の別の植物であると指摘されている。
アジサイはさらに、中国からヨーロッパに渡り、西洋アジサイとか、ハイドランジアと呼ばれ、
多くの栽培品の変わり種ができて、日本に逆輸入されている。
同植物
アジサイ類の仲間のアマチャ(甘茶)は、長野県柏原などで栽培するが、夏にこの葉を採取し、
半発酵品を発酵させてから青汁が出るまで手でもみ、乾燥させると甘味が出てくる。
フィロズルチンによるもので、甘味料に用いるが、4月8日の潅仏会(かんぶつえ)になくてはならないもの。
採取時期と調整法
花の盛りに花を採集し、日干しにする。
薬効と用い方
解熱に
1回に乾燥花 2〜4gをせんじて服用するとよい。
酸性雨(さんせいう)という言葉をご存知ですか?
雨が降ると 目がチカチカしたり、ストッキングに穴が開いた、近頃 家のコンクリートがボロボロになってきたり、、、
そんな経験がありますか?
これは、全部 酸性雨の仕業(しわざ)です。
工場の排気ガスや自動車排気ガスに含まれている SO2やNOxが 硫酸や硝酸になり、雨を酸性にします。
空気のきれいな田舎に降る雨の PH(ペーハー)は6程度で、ごく弱い酸性なのですが、
東京などの空気の汚れた都会では、ときにはpHが4近くにもなることがあるそうです。
最近は、ぜんぜん忘れられたかのように 「酸性雨(さんせいう)」という言葉は出てきませんが、
私が 学生生活を東京で過ごしていた頃は、いつも 「酸性雨」という言葉がマスコミに登場していたものです。
星薬科大学で、ボーっと眠い目で授業を受けていると、ザーっとこの時期、雨がたくさん降ります。
「あ、しまった! 下宿の窓を全開にしてしまった!」
「あ!しもうた!!洗濯物をベランダに干してきちまった!」
と、ありこちで悲鳴が上がります。(私も よく失敗しました)
授業も終わり、戸越銀座の 今は潰れてしまった「ユアーズ」というゲーセンにみんなで行くときも、
雨が ザーっと 私たちの頭の上に降ります。
「やばえ〜〜 酸性雨だ〜〜。頭、はげちまう〜〜」
と、知的な会話をしていたものです。
さて、空気の汚れたところでは、酸性雨がやたら降ります。
ということは、土壌も 酸性になります。
あなたの周りの アジサイさんたちは、青色をしていませんか?
アジサイは 酸性の土壌では 青色になりますから、青色のアジサイが多いということは、
土壌は 「酸性」ということが推測できるわけです。
青いアジサイがいっぱいあるところは、空気が汚れていて、酸性雨が あなたの頭の上に降ってくるのです。
私の住む 東根市(ひがしねし)でも、
道路わきの 排気ガスがいっぱい出そうな場所のアジサイは、みーんな青色です。
ですから、あまり青色のアジサイを見て、「きれいだな〜」と思ってはいけないのです。
この漢方コラムで私が撮影した アジサイのような色ならば まだ大丈夫ですが、
もし あなたの家の周りのアジサイが ほとんど青色でしたら、気をつけてください。
雨が降ったら、必ず 傘(かさ)をさしましょう。
あなたが 男だったら、酸性雨で リアップを購入しないといけないような頭になったら大変です。
空気のきれいな場所に住みたいものです。