カラスビシャク

02/07/01


パソコンを新しくしたのです。

以前、使用していたパソコンは、中身が腐ってしまい、
ほとんど動かなくりました。

この “土屋薬局 中国漢方通信”を始めとする
大切なデータが紛失してしまっては、
泣くに泣けませんので、買い替えなければなりませんでした。


いつものように、仙台のヨドバシに行ったのですが、
今回は迷いました。


欲しいパソコンが、ありませんでした。


デザインも、性能も、今のパソコンは もうどれを買っても同じでしょう。


パソコンでテレビを見たり、DVDも見ませんので、
結局 NECのVL300/3という、デスクトップ型で
188,000円の安いのにしました。


今まで使っていたパソコンは、ウインドーズ2000でした。

それで、満足していたのですが、
ウインドーズ XPという最新バージョンに変わっていました。

素人なりに思うことは、ウインドーズ XPとは
いままでのパソコンの概念を 変えていくシステムなのだと思います。


パソコン初心者のころは、真面目に参考書のようなものを購入して、
勉強していたものですが、今の私には時間がありませんし、
もう面倒くさいですね。

だから、ノーガード戦法で、新しいパソコンは、適当に使用することに決めました。


古いパソコンから、全部インストールするのも大変ですから、
メーラー(メールを読むシステム)や、ホームページビルダー(ホームページを作成するソフト)、
また漢方専門用語などのユーザー辞書など必要なものだけ 引越しすることにしました。


ホームページビルダーも、今まで 「ホームページビルダー2000」という
4年前のソフトを使用していたのですが、
とうとう 新しいバージョン 「6.5」にしてしまいました。





という訳でして、
最近 この “土屋薬局 中国漢方通信”の更新が滞っていたのも、
新しいパソコンのシステム、打ち慣れないキーボード、
慣れないホームページビルダー最新版に苦戦していたからです。


早く このパソコンにも、慣れていきたいなあと思う、今日この頃です。


では、今回は 古いパソコンから引越ししてきた画像を元に、
「漢方コラム」を展開することにします。






我が家の庭です。

2002年5月12日に撮影しました。

5月の日差しが まぶしいでしょう。

この池の金魚は、冬の間は引越しします。

水槽に移し変えて、春の雪解けを待つのです。

「半年間、金魚って餌も食わねで生きてるなんて、すごいね」
と、ばあちゃんが言いますが、私もその通りだと思います。





仕事が忙しくて、こころが疲れたとき、
休みの日に暇でボーっとしているとき、
私は この庭を眺めます。

自然の色や、太陽の光、風の流れ、花々や木々の匂いは、
感性を豊かにしてくれます。

私は、この庭を愛します。





さつきも、美しいですね。

蜂や、蟻さんたちも、蜜を吸いに上がっていくんですね。

蜂さんたちは 空から舞い降りますから 簡単に蜜を吸えると思います。

それに比べると、蟻さんたちは 地上から、
自分の身長の何億倍?もの高さに登ります。

君たちは、スパイダーマンを超えています。





漢方コラムでは、いつか見た光景ですでも、
デジャブー現象ではありません。

ドクダミ 父の日記念日」でも、同じような時期に
我が家の庭を特集しました。

その時は、2001年6月11日ですから、
この5月の季節の後の風景なんですよね。

ドクダミは、今回特集する カラスビシャクの後に
入れ替わるように、生えていくのです。





さあ、近寄ってみましたよ。

カラスビシャクです。

見事な群生ですね。


青々とした緑色。

すくっと伸びた直線。

微妙な曲がり具合。


猫背の私としては、
カラスビシャクに親近感を抱きます。





パソコンが新しくなったとしても、
ホームページビルダーが新しくなったとしても、
漢方の世界は普遍です。


大塚敬節先生の「漢方と民間薬百科」より、カラスビシャクを紹介しましょう!


カラスビシャク(サトイモ科)


別名 半夏(はんげ) スズメノヒシャク シャクシソウ ヘブス

▼ヒャクショウナカセ(鹿児島) ヘソクリ(長野 岐阜 熊本) ヘソビ(岐阜) ヘソベ(静岡) ヘベス(山形)


薬用部位

球根(夏の土用のころ掘りとり、皮を去り、塩水で洗ってから、日光に当てて乾燥して用いる。
漢方で半夏という。掘りたての生のうちに皮をとらないと、とれなくなる。
この皮のものをかじると、ひどく のどを刺激するから、決してかまないこと。せんじたものには、この刺激はない)


薬効

嘔吐 つわり せき(咳漱) 利尿(尿の出をよくする) くつずれ 毛はえ薬 肛門のかゆみ のどのはれ 

使用法



1:嘔吐 つわり

吐きけがあって、何を食べても吐き、薬を飲んでも吐くようなとき、
刻んだ球根5gに、皮のまま刻んだ 根ショウガ5gを加え、
200ccの水に入れて半分に煮つめ、
かすを こしてから、一口ずつ冷たいのを飲む。

まことに よくきく。

つわりにもきく。


漢方で黄土(おうど)と呼ばれている、
かまど焼け土を20gほど加えると、いっそう効果がある。

また、この黄土を水にとかし、その上澄みだけをとって、
その液で、カラスビシャクと根ショウガを せんじてもよい。

このとき、漢方薬の茯苓(ぶくりょう)を5gほど加えると、
なおよくきく。


2:せき

たんのからまるせき、たんの切れにくいせきに、
いろいろの漢方薬といっしょにせんじて飲む。

とくに、妊娠ぜきといって、妊娠中にせきが出はじめると、
なかなか とまらないものだが、
こんなときに半夏のはいった 麦門冬湯(ばくもんどうとう)という処方を用いると、
奇妙になおる。


3:利尿

尿の出をよくするため、球根5gと茯苓4g、根ショウガ4gを加えたものを、
漢方で 小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)といい、嘔吐をとめる目的で用いるが、
これには同時に利尿作用があって、肋膜にたまった水がとれたり、
蓄膿症の膿が消えたりする。


5:毛はえ薬

球根を粉末にして、
毛の抜けたところに すりこむ。

まゆ毛の薄い人も、粉末をすりつけるとよいが、
目に はいらないように注意する。


6:肛門のかゆみ

肛門のかゆいときには、
肛門を洗ってから、球根の粉末をショウガの汁でねってつける。


7:のどのはれ


扁桃(へんとう)がはれて痛むときに、足の裏を土ふまずに、
球根を粉末にして 飯粒でねったものを すりつけると、
不思議に のどのはれがとれる。





のどのはれにきく 半夏末(はんげまつ)


「東京医事新誌」第201号(明治15年2月)に、
伊勢の国 安濃郡の医師 細川元隆は、次のような一文を寄せている。


「このごろ当地方には、小児に のどのはれる者が多く、
その患者は、薬も乳汁も飲むことができない。

私の祖父はこんな患者に、外用薬を用いて よくなおした。

その方法は、半夏の粉末4gを、麦飯で適宜ねり合わせて、
夜寝る前に左右の足の裏にはっておく。

すると翌朝は、のどのはれが減退して、
いつものように乳汁を自由に飲むことができるようになる。

私も、この方法で13名の患者をなおしたが、
なぜよくきくのかわからないので、教えてもらいたい」


以上のような報告であるが、私も郷里にいるころ、
テンナンショウの球根を足の裏にはって、
扁桃炎をなおしたことがあった。

テンナンショウも、やはりサトイモ科に属する植物で、
その作用が似ていて 同じ効果があったのであろう。





すくっと生えて、背筋を伸ばします。
この微妙な曲がり具合に、憧れます。



へそくり金の由来


ないしょにためた金を、へそくり金というが、
このへそくり金の名の由来は カラスビシャクに関係がある。


カラスビシャクは、その球根が人のへそのようで 栗の形をしているので、
ヘソクリの別名がある。

ところで、このヘソクリは生活力の強い雑草で、
畑にはえたものは作物の生育のじゃまになり、
なかなか とりつくせない。

今日でも、東京の近郊の畑や路傍にはえている。

先日も吉祥寺辺で見かけた。


百姓は畑仕事のとき、このヘソクリを掘りとり、
あつ程度たまると、漢薬の仲買人に売って、
なにがしかの金をもらうので、
これがへそくり金といわれたわけである。




すくっと伸びて、ヘソマガリ。

カラスビシャクは、偉大です。