03/04/03
とき:2003年3月24日9時16分撮影
場所:土屋家の庭
撮影者:土屋幸太郎
「福寿草の つぼみいとしむ おさな子や 夜はいろりの 火にあてており」 島木赤彦
福寿草 キンポウゲ科 福寿草、賀正蘭、側金盞花、雪蓮
フクジュソウは、その名の通り新春を迎える祝いの花として飾られる。
日本の園芸書として最古の「花壇綱目」(1681年)にも、「福寿草、花黄色、小輪也,正月より花咲。元旦草、朔日草(ツイタチクサ)とも、福つく草とも俗に言」と記載されている。
ただし、正月に飾られる花は室(むろ)での促成栽培で、
各地生地で咲くのは 早春の頃となる。
この花は向日性で、陽を追って朝から夕方まで40度も首をふる。
自生地としては、南は阿蘇、五家荘、祖母山のような深山にみられるが 数は少ない。
北にいくにしたがって標高は低くなり、数も増えてくる。
北海道では平原に自生する。
フクジュソウには全草、特に根や根茎に シマリンをはじめとするジギタリスの強心配糖体に
よく似た成分が含まれている。
誤用による事故の危険性があるので民間、家庭では使用してはならない。
「四季を彩る薬草の花 美寿実出版部編」
とき:2003年3月24日9時17分撮影
フクジュソウ(キンボウゲ科)
全草有毒。
特に、根、根茎に強心配糖体のシマリンを多く含む。
日本のほか、朝鮮、中国、シベリアに分布し、山地の陰地に野生する多年草。
花径3cm、黄金色の花は日中開き、夕刻からつぼむ習性がある。
ヨーロッパにも、これに似た西洋フクジュソウがある。
正月にフクジュソウを飾るのは、病魔よけだけではなく、
黄金色の花を黄金(こがね)に見立てて、それにあやかり、
ことしもお金にあやかたりという 気持ちを含めて飾るのが多い。
正月用に盆栽として出回るのは、促成栽培されたもの。
野生のものは、2〜3月ごろに開花する。
強心薬と早合点して、根茎をせんじて飲めば、心臓マヒを起こして死ぬ。
「薬草カラー図鑑」 主婦の友社 井沢一男著
とき:2003年3月24日12時56分撮影
我が家にも、福寿草の黄色い花が咲き、
春の訪れを告げています。
私が住む山形県はご存知のとおり雪国で、雪が多く降りますから、
春の喜びは 都会の人たちより大きいのです。
一面の雪景色の白い世界も素敵ですが、
私はお花が色とりどり咲いている姿が好きです。
土屋家の庭にも、毎年、春先になると福寿草が咲いていたのですが、
残念なことに今まで 見落としていました。
「我が庭に 春を告げる 福寿草」 幸太郎
私は、星薬科大学出身です。
学生時代の思い出ですが、「採葉(さくよう)」という宿題がありました。
(星薬科大学は、東京の五反田戸越銀座にあって、創設者は星一(はじめ)先生です。星一先生は、SF小説の巨星 星新一のお父さん、また野口英世と同郷の偉大な科学者です。星製薬でも有名です)
採葉(さくよう)は、大学一年生の前期の生薬学の単位です。
薬草となる生薬を採取し、「押し花」にして 薬効、薬理、起源などを添えて提出します。
さて、東京のど真ん中では、薬草を探すのは難しいので、
東京近郊では鎌倉あたりが 狙い目になります。
サークルや部活などで、可愛い女性の先輩たちと(むさ苦しい先輩もいましたが)
戸越銀座から 池上線に乗り、電車を乗り継ぎながら 北鎌倉の駅まで行きます。
鶴岡八幡宮、銭洗い弁天などを観光と散策を兼ねて、
「ビニール袋」を手に持ちながら歩きます。
(けっして犬の散歩をしているのでは、ありません)
5〜6月頃には、鎌倉の町全体が、植物の芳香に包まれています。
クマリン、カンファーなど、薬草の成分の香りが充満です。
楠(クスノキ)なども、素晴らしい香りを発します。
緑に覆われた鎌倉では、さまざまな薬草があり、
採葉(さくよう)に向いているのです。
ユキノシタなど、きれいな白い花を咲かせていたことなど、
昨日のように覚えています。
山形の地で暮らしいている環境からいえば、
鎌倉や関東の自然と触れ合えたことは、
私の財産になっていると思います。
実際に、山形などの東北地方では、楠(クスノキ)は自生していないので、
あのツーンと周囲に漂う 「クスノキの香り」が嗅げないのです。
クスノキからは、樟脳が精製されます。
あのツーンとくる「芳香感」が天然の防虫、防腐剤の役目を果たしますが、
その化学的成分は上述した 「カンファー」です。
ちなみに 「クマリン」という化学物質は、桜の葉などの匂いのもとであり、
抗菌作用があります。
桜の葉で包んだ桜餅などで、殺菌作用を発揮します。
先人の生活の知恵は偉大だと思います
もう一つおまけに述べますが、檜(ひのき)では、
ヒノキチオールが主成分です。
これも殺菌効果などあり、頭髪剤や水虫の薬の成分などに配合されます。
クマリン、カンファー、ヒノキチオールなど、
これらは森林浴の代表的な香りとなります。
私が大学の1年生の時の生薬学の試験で、
「クスノキの成分は何か?」という問題がありました。
その当時、留年していた1学年上の先輩が「楠木正成(まさしげ)」と書き、
教授から大目玉をくらったという 伝説的な話があります。
星薬科大学の構内にも、多数 クスノキの老木があり、
毎年5月を過ぎると、
体を包み込むような 「カンファー」の香りが漂っていました。
私は、クスノキの香りが大好きです。
森林浴しろと言われたら、間違いなく クスノキを選びます。
もう一度、学生時代に戻りたいなあ。
さて、テーマが福寿草から クスノキへ違うほうへ話が飛んでしまいました。
「大学のときに、採葉という宿題があった。東京に下宿していた私は、夏休み前には、鎌倉などの散策に行っては「押し花」をつくっていた。待望の夏休みなると、山形の田舎へ帰り、そこで私は山形の自然の素晴らしさに触れたのであった。。。それらの採葉を通した体験は、私の現在の薬草好きへの道しるべとなり、今年はやっと一年間待ちに待った福寿草の花に巡り合えたのだ。福寿草の黄色い花が、我が家に春を届けてくれた。」
以上が、本来書きたかったことの粗筋です。
とき:2003年3月26日9時26分撮影
「我が母に 福寿草の花 教えられ」 幸太郎
福寿草の花を、ここ1週間以上毎日観察していますが、
朝は 寒いし、お日様が射さないので、つぼみのままです。
日中にお日様が射し、自然光が差し込めると黄色い花を開きます。
夕方に、福寿草を観察しますと、またつぼみに戻っています。
頭がいいんですね。
曇りや雨の日は、お花は開きません。
つぼみのままです。
向日葵(ヒマワリ)や百日紅(サルスベリ)などは、「日」という言葉がついていますが、
福寿草も、福「日」寿草などの名前が 付いてもいいかもしれません。
とき:2003年3月26日11時23分撮影
「福寿草 西風吹く 夕暮れ」 幸太郎
テレビや新聞では、桜の開花など花便りのニュースで連日賑わっています。
北の大地に根ざす我が家では、福寿草が咲き、ふきのとうも顔を出しています。
早春を感じる山形からの漢方コラムでした。
列島の花便りの中、我が家の庭には、福寿草に、ふきのとう。素晴らしいです。
「雪を割り 目にまぶしき 福寿草」 幸太郎
04/03/17追記です。
昨日、夕方に我が家の庭を見ていましたら
小さな黄色い福寿草の花が咲いているのを見つけました。
仕事が大変忙しくて、少々疲れ気味でしたが、
福寿草の姿に 心も体も解きほぐされました。
最近、お客様への漢方薬には、
福寿草の葉書を同封していました。
お客様の中には、「とても励みになりました。」「勇気づけられました」という声もありまして、
私たちスタッフ一同としましても、希望や喜びにつながることでしたら、
とても嬉しく思いました。
闘病されているお母様に寄り添い、語りかけるように看病されている娘様。
長い不妊治療などで 心や体が疲れている人たちもいます。
どうぞ神様、みなさまに幸せを運んできてください。
福寿草の黄色い花に願いを込めまして。