合歓の花

04/07/25



夜になると葉が合わさって眠るようになるので、ネムノキと呼ばれています。
樹皮は 合歓皮(ごうかんぴ)、花は 合歓花(ごうかんか)として、いずれも不眠、不安に用います。自然とは不思議ですね。
「象潟や雨に西施がねぶの花」 奥の細道 芭蕉 (04/07/04撮影 阿賀野川沿いで撮影しました)

(この一枚は、04/07/2時点での、トップページを飾りました)






合歓(ねむ)の木の花は、いつ見ても鮮やかです。

緑の木漏れ日の中に、
まるで簪(かんざし)をかざしているかのようですね。


初めて、合歓の花を見たときは、
鶴岡の国道7号線沿いでした。

真夏の暑い陽射しをいっぱいに浴びて、
合歓の花が 紅色に輝いていました。

ちょうど海水浴のシーズンで、
私は 仲間とともに海辺のキャンプに出掛けていたのでした。


それ以来、夏が近くなると、
毎年のように 「今年はどこで、合歓の花が見られるかな?」と気になるようになりました。


合歓の木が繁殖するのは、大体において
川の流れの近くや海沿いなど、
わりと水分が多いような土壌です。

ですから、ちょうど夏の行楽シーズンでは、
海や川沿いを走ることが多くなりますので、
同時に 合歓の木も 多く見かけられるようになります。

必然的にと言っても、いいかもしれません。


高速道路でも見かけますし、
この前は 鳴子の江合川でも 合歓の木の花を見ました。

とてもきれいでした。


さて、全国各地で合歓の木が美しく花を咲かせる季節ですが、
今回の漢方コラムで私が選んだ 合歓の木は、
新潟県の阿賀野川沿いです。


温泉ファンである私にとって、新潟県は大好きなところです。

とくに阿賀野川沿いの麒麟山温泉や咲花温泉は、
雄大な川の流れを温泉に入りながら眺められますので、
心の保養にも とても良いと思っています。


49号線を走りながら、阿賀野川を見て、
会津から新潟に向かっていると、
なんとも言えない気持ちの良さがあります。

磐越自動車道は、早く目的地に到着するかもしれませんが、
会津から新潟に行くには、「心の青春 日本の夏」を感じる 49号線に限ります。

(磐越自動車道では、高速ですから、阿賀野川は眺められません)





04/07/04に撮影しました。

左側に、私が愛する 阿賀野川が流れています。

ここは、「国道459号線」。


飯豊連邦近くの福島県の山都(やまと)町と新潟県鹿瀬(かのせ)町を結ぶ国道です。


山都町を訪れた訳は、もちろん全国的に有名な 「水そば」を食べるためです。


山都町の山奥では、宮古地区という村落があり、
そこの民家では 蕎麦屋さんをやっている集落となっております。

全32戸中13戸が、蕎麦屋さんという「そばのメッカ」です。


私は、一番手前にあった 「いしいのそば」に入り、
民家の居間を改装した畳敷きの部屋で、
宮古川から流れ来る 風鈴を鳴らすそよ風にうっとりとしながら、
「水そば」を食べました。

夏向けのサッパリとしたお味でした。

日経流通新聞でも、特集されていたお店でしたので、
もともと興味があったのです。

(漢方コラム第51話「最上川三難所そば街道 そばの花」もお読み頂けましたら嬉しいです)





山都町宮古に来るときには、
秘境と言ってもいいかもしれない道路を難儀して走ってきましたので、
このまま 蕎麦を食べてから、再び 喜多方方面に引き返す気がしなくなりました。

地図を読みますと、「国道459号線」で、
新潟県の鹿瀬町に抜けられそうです。


そうしますと、鹿瀬町には 長年憧れていた 「鹿瀬温泉 赤湯」があります。
(「熊谷温泉」さま、ありがとうございます。いつもお世話になっています)

ここの温泉は、お湯が赤色ですし、源泉槽は 高温ですので、
赤い色好きや、お熱いのがお好きなかたには、お勧めです。

私も初チャンレンジしましたが、
なんと 高温槽に入れてしまい、
地元のおじいちゃんに褒められてしまいました。





ここまで読んでいますと、
「蕎麦を食べに行って、会津から新潟の温泉を目指しているうちに、
たまたま 合歓の木の花が 偶然にもあったかのような話の展開」ですが、
実は 実は違うのです。

私は、数年前から憧れていた合歓の花を
撮影するために、この日 早朝より ぐるーっと会津地方を一回りし、
只見川沿いよりも、やはり阿賀野川が良いだろうとのことで、
この 合歓の花に辿り着いたのです。


どうでしょう、とてもきれいな花ですね。

素晴らしいです。


この季節は、梅雨時でもありますから、
タイミングを逃すと、
雨降りで 合歓の花が散ってしまいます。

散り気味や散ってしまった後の合歓の木は、
とても寂しいものです。

「夏の終わりのハーモニー」の状態になってしまいます。


一瞬の美しさを、永遠の美しさに撮らえられたらと思っています。





さて、ここは「土屋薬局 中国漢方通信」です。

コラムの内容の展開は、「起承転結」方式で、
この「転」のところでは、漢方ホームページでありますから、
最後のエンディングに向けて、漢方的な話をしております。


私の師匠 福島県在住の貝津好考先生の名著 「日本の薬草」より。





ネムノキ(合歓 ごうかん) 

マメ科。地方名:ネブノキ、ネブタノキ。

山野に生える落葉小高木。

夜になると葉が合わさって眠るようになるので ネムノキの名がある。


薬用部位:

樹皮(合歓皮)、花(合歓花)。

いずれも夏に採集して天日乾燥する。


薬効:

樹皮、花ともに不眠、不安。


使用法:

樹皮、花ともに1日5〜10gを600ccの水に入れ、
30分ほど煎じて3回に分けて服用する。

いらいらして怒りっぽくなる不眠、不安によい。






合歓の木の樹皮です。


なんだか、木漏れ日といい、
夏を感じますね。





自然とは、不思議です。

この葉っぱが、夜になると 眠るかのように、閉じるのですね。


そのネムノキと言われる由来のある花や、樹皮を
また 人間の不眠や不安感に使用することは、
漢方の世界も 不思議で、とても深い世界だと思います。


自然とは、偉大ですね。





いつの日か、夜の「眠っているネムノキ」も撮影したいと思います。

そのときは、またこのコラムでお会いしましょう!

皆様、どうぞ素敵な夏をお過ごしください。

See you later. さようなら、バイバイ。