ガチンコ ラーメン道

02/02/10


2月3日(日)に、東京で 日本中医薬研究会が主催する 勉強会に行ってきました。

東京八重洲口から 歩いて5分間くらいのビルです。


開始時間は、午後12時だったので、朝一番の 山形新幹線つばさを使っても良かったのですが、
私は 朝に早く起きることが 苦手な人間です。

思い切って、前日の夕方に 山形を出発して、銀座のホテルに泊まることにしました。

銀座だと、なんだか東京って感じがするし、夜は 華やかですものね。

しかも、東京駅近くのビルの勉強会であれば、山手線で1駅だけですから、
移動も楽で きっと時間的な余裕も生まれることでしょう。


有楽町の駅に降り立ったのは、午後9時10分。





私が好きな映画の一つに、「ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ」があります。

この映画は、「ベルリン天使の歌」で有名な ドイツ人のヴィム・ヴェンダースが監督をし、
「ボトルネック奏法」 「スライドギターの達人」 「USロック界の異端児」のライ・クーダー親子も出演している
忘れられていた キューバ音楽の魅力を 世界中に紹介した 傑作です。

このアルバム自信も、97年グラミー賞を獲得していますので、耳にされた方も多いことでしょう。


「ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ」は、映像も音楽も とても素晴らしく、
涙と感動なしでは 見られません。

映画のラストでは、あのニューヨークのカーネギーホールでの演奏で クライマックスを迎えます。

その前日に、イブラム・フェレーールさんや コンパイ・セグントさん、ルーベン・ゴンサレスさんなど 
80歳を超えた!バンドメンバーが 生まれて初めて、ニューヨークで観光をしているシーンがあります。


街を歩いて、ショーウインドーを覗いて、ビックリしたり、
ビルの屋上から 自由の女神像を見て、感動している場面などは、大好きなシーンですね。


そう、私も 久しぶりの東京で、夜の銀座を歩いていると、
キューバ音楽界の巨匠と 同じ気持ちになるのです。


わくわく、どきどき、まるで子供に戻った感覚。

未来を歩いているみたい。




「木村屋総本店の桜と夜の銀座」

2001年3月24日撮影 撮影者 土屋幸太郎

実は、昨年に撮影したものですが、
夜の銀座に桜が咲いているのを見ますと、日本人として生まれてきて良かった!と
しみじみ してしまいます。


ホテルの夜は静かに更け、朝になりました。

ホテルのチェックアウトは、午前10時。

出発することにしましょう。

勉強会の前に、もう一つの目的があります。


財布を購入することです。

こいつは、4〜5年間愛用していたのですが、下の札止めのところの皮がすっかり破けてしまい、
とても情けない状態になっていたのです。

財布を折り曲げている時は まだ良いのですが、
真っ直ぐに開いていると、いつ 大事なお金が 下に落ちてしまうか ひやひやものです。

お金を使って、お札が無くなる分には かまいませんが、
1枚1枚 ひらひらと消えていったら、ショックで 声も出ません。。





財布を買うところは、大丸百貨店と 心に決めていたので、東京駅の改札をくぐると、
すぐに地下1階に向かいます。

以前、今 愛用しているポーチ(小物入れ)を買う時には、
丸井とか、いろいろ下見をしたのですが、わたしの感覚では 大丸が一番と無難でした。

もう、丸井の赤いカードを持って、喜ぶような年齢では ないのですね。


大丸の地下1階のフロアは、食料品売り場の隣にあります。

向うの喧騒、華やかさにくらべると、こちらは 大人の男の売り場です。


「お財布をお探しですか?」

「このようなタイプは、いかがですか?」

と、店員さんが すぐに勧めてくれる売り場なので、
多少 一人にしてほしいとも思いますが、あっという間に お財布を買いました。

黒皮で、なかなか実用的なものを購入して、満足でした。


次に、1泊用のバッグが欲しくなり、ちょうどサムソナイトのデザインの良いものがありましたので、
それも 奮発して 購入することにしました。





レジで、新しい財布から カードを出しているときに、
目の前に どこかで見たことのある 人物が立っていました。


彼も、かばんを購入したようです。

首には マフラーを巻き、ネクタイも ビッシと決まっています。

スーツも素敵な色とデザイン。

何よりも、眼鏡(めがね)が素敵な紳士でした。


オーラが漂っています。


「あれ、誰だっけ。。確か、評論家だっけ。。」


紳士が帰った後に、店員さんに

「今のそこに居た方は、有名な人ですよね?」
と尋(たず)ねました。


「はい、料理評論家で有名な 服部幸應(ゆきお)さんです。」


「料理の鉄人」をよく見ていましたが、テレビとまったく同じ方でした。。


「服部さんは、よく来るのですか?」


「はい、よくこの売り場には、いらっしゃいます。」

「ムツゴロウ(畑正憲)さんも、買い物に 来てくれるのですよ。」

「あのう、ムツゴロウさんも、オーラを放っているのですか?」


「いえ、ムツゴロウさんは、ふつうのおじいちゃんです」


どうやら、ムツゴロウさんは 動物たちと一緒の方が、オーラが出るらしい。





新しい財布を買えましたので、12時正午の勉強会のために、食事をすることにしましょう。

かばん売り場から、そのまま地下の食品街を抜け、
ラーメンのお店が集まっているところ―「ラーメン激戦区」に移動しました。


以前、ここでラーメンを食べようと思ったのですが、どこのお店も行列が出来ていて、
入ることは出来ませんでした。


残念に思っていましたので、今日は 絶好のチャンスです。


日曜日の午前11時10分。

まだ どこも空いています。


私は、和歌山ラーメンのお店―「のりや」に入ることにしました。

(和歌山ラーメンブームのきっかけになったお店の東京支店)



、しかし、このことは、後で とんでもない事態を引き起こしたのだった!





私は、その店で 食券を購入して、「半熟卵入りネギラーメン」「ギョーザ」を頼みました。

食券の隣には、中国人のアルバイトの人がいて、すぐに注文をとってくれました。

今は、東京には 働いている中国人の人は、いっぱいいるのですね。


席は、最初は 窓際の通路沿いに案内されたのですが、なにせガラス張りの店内。

ここでは落ち着かないので、カウンターの一番と奥の席にしてもらいました。

厨房では、テキパキと作業をしているようで、すぐにラーメンが出てきました。


和歌山ラーメンです。





数年前に、大阪の日本中医薬研究会に 講師として招かれました。

大阪での講演会を無事に終えた翌日は、久しぶりに 大阪の友人と会い、
和歌山に 和歌ラーメンを食べに行きました。

高速道路を使わず、下の道路で ゆっくりと和歌山にドライブです。

山を越え、和歌山市内に入って、車を 友人が走らせます。


「も〜〜う〜、和歌山の車は、トロトロ走るから、イライラしてくるのよね〜」

「はよ、行ってよ〜〜」


大阪人には、和歌山県の人たちの運転は、ゆっくりしているらしい。

黄色信号で、止まることは 許されない。



新神戸オリエンタルホテルに宿泊したときも、マッサージのおばちゃんに その和歌山ドライブの話をしたら、
うけていました。


私は、山形県民なので、関西地区の事情は よく分かりませんが、
和歌山ネタは、どうやら人気があるらしい。


ガイドブックに載っていた和歌山ラーメンのお店は、幹線沿いにあり、駐車場が無かったので
大阪ナンバーの高級車を 無理やり路駐して、店内に入ると ふつうの中華料理屋さんのような感じでした。

味は、豚骨ベースのあっさり系。


山形県民にすれば、おやつ感覚で食べられる味でした。





さて、勉強会前の腹ごしらえ。

ボーっとしながら、ラーメンを食べ、餃子(ギョーザ)をパクついていると、と、そのとき、
お店の暖簾(のれん)を 3人組みの いかつい男たちがやって来た。


鋭い眼光。

あたりをキッと、見渡す つぶらな瞳。

オールバックにした黒髪も、印象的だ。

身長は、170cm前後。

肩幅がしっかりとして、頑丈そうなボディを持つ。


男は、店員さんの制止を振り切り、自ら お水をコップに注ぐ。


ツカツカ。


男は、私の隣の席に座った。


(TBS「ガチンコ」で、ラーメンの塾生たちを叱り飛ばしていた
ラーメンの鬼
 佐野 実さんだ。。。。)



の後、一体どーなってしまうのか!?


愕の事実が、今 明らかになる!!





弟子2人とともに、私の隣の席に座った佐野さんは、
鋭い眼光を 厨房内に注ぐ。

どうやら、ラーメンの材料や作り方を、研究しているらしい。


(さすが、プロ。。。私のような、食べるだけの人間とは違うのだ。。)


中国人の店員さんたちは、佐野さんに気付かない。

彼女たちは、何事もなかったように、たんたんと仕事をしている。

厨房のマスターは、熱い視線や殺気を 感じているのだろうか?


やがて、佐野さんのところに、和歌山ラーメンがやってきた。





すっと 顔をラーメンに近づけ、香りを嗅ぐ。


レンゲを左手に持ち、スープを飲む。

そして、もう1杯。

次に、ラーメンを ズズ、ススと ラーメンを食べる。

おいしそうな食べ方。


(テレビと同じ食べ方だ。。。プロは、食べ方にも作法があるんだ。。)


弟子たちも、おいしそうに ラーメンを食べていく。





佐野さんたちが、ラーメンを食べ終わろうとする頃に、
私は 一つだけ心配なことがありました。


(テレビと同じように、店主を睨み付けながら、「お前のラーメンは、これだけの価値しかない!
と、言いながら、5円玉を置いたり、100円玉を置くのだろうか?(>_<))



本当に心配でした。

ここは、「ラーメン激戦区」

喧嘩になったら、どうしよう。


佐野さんは、和歌山ラーメンを食べ終わり、しばらく沈黙していた。


一体、佐野さんは 何を考えているのか!?


一体、佐野さんは をしよ〜うと しているのか!?


、しかし、食券を最初に、購入する店なので、その心配は要らなかったのだ。。。


私の心配しすぎだった。。。


佐野さんたちが、お店を後にすると、店内に 再び会話が戻り、しばらく どよめきが残っていたのでした。


私は、静寂がつつむ店内を後にして、勉強会へ向かいました。





中医学では、患者さん一人一人の体質を見極めていきます。

この方法は、「弁証論治(べんしょうろんち)」と言います。

「証」を「弁(わ)」けて、「治療法」を「論」ずるという意味になります。


「弁証論治」は、中医学の確信の部分で、私たち中医学を学ぶ仲間たちは、
みな これを共有しています。


「弁証論治(べんしょうろんち)」をするにあたっては、四つの診察方法を用いて、患者さんから情報を収集し、
その情報を分析していきます。


四つの診察方法は、「望(ぼう)・聞(ぶん)・問(もん)・切(せつ)」と呼ばれ、「四診(ししん」と言います。

「望診(ぼうしん)」は、全身や局所の状態 あるいは舌の状態をみることで情報を収集します。


今回は、服部幸應さんと 佐野実さんを、実際に この目で見ることができました。


では、望診(ぼうしん)の結果を “土屋薬局 中国漢方通信”を ご覧の読者の皆様に、報告しましょう!





料理の鉄人 服部幸應さん…痰湿(たんしつ)タイプ


美食家に多いタイプです。

普段から、美味しいものを食べているので、体の中に 「痰湿(たんしつ)」と呼ばれる 「水液」の汚れがたまってしまいます。

服部さんは、肉付きがよくて、少し ポチャとしています。

この余分な贅肉や、丸々とした お顔は、「痰湿(たんしつ)」が体の中に存在していることを示します。


雨降りの日や、梅雨時などの、ジメジメとした天候は、「外湿(がいしつ)」と呼ばれる邪気が
容易に 体内の 「内湿―痰湿」と結びついて、体調が悪くなりがちです。

「湿気」が 体調不良を引き起こしますので、からだが重だるくなってしまったり、
食後に すぐに眠くなってしまいます。


健康診断で言えば、コレステロール、中性脂肪が高いなどの高脂血症、尿酸値が高い痛風、
脂肪肝などの肝臓病なども、からだの中に 「痰湿(たんしつ)」が存在しているからです。

この場合は、「痰湿」のことを、「脂濁(しだく)」とも言います。


漢方薬では、星火温胆湯(せいかうんたんとう)や 星火健胃錠(せいかけんいじょう)などを服用して、
胃腸機能を丈夫にして、からだの 「水はけ」を良くすると、体調が改善されていきます。

日常生活では、半身浴で発汗したり、運動などで積極的に体を動かし、
新陳代謝を良くしていきましょう!


ラーメンの鬼 佐野実さん…肝火上炎(かんかじょうえん)タイプ


佐野さんは、服部さんとは 逆で、無駄な贅肉がありません。

スマートと言って、良いでしょう。

さて、痩せ型の体質は、からだの水液や血液は減りやすく、気は 相対的に余りやすくなってきます。


「水液」や「血液」が安定していれば、「気」も逆上したり、「気鬱(きうつ)」と呼ばれるような、
精神疾患には なりません。


ところが、痩せている人は 体の物質的基礎である 「水液」や「血液」が不足しているので、
「虚火(きょか)」と呼ばれる 相対的な仮の興奮が起こりやすくなります。

人間の体は、水冷式ですから、水分や血液などの陰液の減少は、
「陽気(ようき)」を引き止めることができずに、イライラなどの「気の鬱結」が生じやすいのです。


ストレスや、イライラなどの精神的な情緒面は、中医学では 五臓の「肝臓」が関係していると認識しています。

怒りやすい、いつもイライラしている人は、「肝臓」に熱がこもり、「肝火上炎」となりやすいのです。


このタイプの人は、いつもイライラしていたり、貧乏ゆすりをしたり、激しい頭痛や偏頭痛、突然の耳鳴り、難聴、目の充血、口が苦い、口渇感、不眠症などの自覚症状があります。


漢方薬では、潟火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)を服用したり、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)、潟火補腎丸(しゃかほじんがん)、婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)などを 潟火利湿顆粒に併用して より効果を上げていきます。


日常生活では、ストレスを発散して、こころに余裕を持ちましょう。

お酒、タバコ、コーヒー、また辛いものなどは、余計に 「熱」を助長させますから、控えましょう!



まとめ


「肥人多湿、痩人多火」という、中医学の格言があります。


太っている人は、「湿邪(しつじゃ)」に犯されやすく、やせている人は、「火邪(かじゃ)」に犯されやすいです。


この世の中で、絶対的な健康は ありませんので、上手にバランスを取りながら 生活していきましょう。


注:服部さんと佐野さんの中医学的な「望診(ぼうしん)」は、あくまでも 喩えであり、
実際に そのような「証(しょう)」であると言っているわけでは ありませんので、ご了承してくださいね。