ストレスと中国漢方のお話



不安と怒りは血を固まらせる…ストレス度チェック


◎日々積もるストレス…ストレスと上手に付き合おう!


寒さや飢え、部族間の抗争、狩猟時の緊張など、
のんびり生活していたのではないかと思える古代でも、
人間はストレスにさらされて生活していました。


そして現代、ストレスの種はますます増えて、健康に悪影響を及ぼしています。

精神的な作用が、消化器の働きの不調などさまざまに影響します。


しかし、ストレスはどこまでもついてまわります。

となれば、健康のために大事なことは、ストレスと上手に付き合うことではないでしょうか。


ストレスを穏和する為の知恵、ストレスに強い体を作り、
ストレスを予防する知識もあれば すばらしいことです。





◎ストレスチェック…あなたのストレス度は、どのくらい?


大きなストレス、小さなストレス・・・。

心痛だけでなく、過度な喜びもストレスになりますから大変です。


このストレスチェック表で得点の大きい方は、
その項目が不調の原因である可能性大です。

まだ発病していない方は、予防に心がけてください。

(表にあるストレス度の数値は、その内容や個人の生い立ち、生活環境などで変わります。
ひとつの目安としてご覧下さい。)



順位 生活・事件 平均値
@ 配偶者の死亡 100
A 離婚 73
B 夫婦別居生活 65
C 拘置または刑務所に入る 63
D 家族の死亡 63
E 自分の病気、あるいは怪我 53
F 結婚 50
G 解雇される 47
H 退職 45
I 家族の病気 44
J 妊娠 40
K 性の障害 39
L 新たな家族が増える 39
M 仕事の不適応 39
N 経済状況の変化 38
O 親友の死亡 37
P 転職 36
Q 夫婦喧嘩 35
R 200万円以上の抵当か借金 31
S 担保、貸付金の損失 30
21 仕事上の責任の変化 29
22 子供の自立、独立 29
23 親戚とのトラブル 29
24 個人的な輝かしい成功 28
25 妻の就職や離職 26
26 入学や卒業、退学 26
27 環境の変化 24
28 上司とのトラブル 23
29 仕事の状況が変わる 20
30 住居や学校が変わる 20
31 社会活動の変化 20
32 200万円以下の抵当か借金 17
33 睡眠習慣の変化 16
34 食習慣の変化 15
35 休暇 13
36 ちょっとした違反行為 11





◎こんな病気と症状もストレスが影響している


ストレスは、体のさまざまな箇所、機能に影響を及ぼします。

胸がドキドキする、顔色が青ざめる、体が震える、冷や汗が出る、手に汗を握る、
目がまわるというような外面からすぐに分かるものもありますが、気がつかないうちに体の中に蓄積される作用もあります。


したがって、ストレスが関係している症状は、
単に病名がわかっただけでは、根本から治療することが困難です。

もし、ここに挙げたような症状がありましたら、
その原因にストレスも疑ってみてください。

漢方には、こうした症状に対する治療法があります。

漢方の専門家に相談してみるのも一つの方法です。





◎ストレスが引き起こす症状…あなたにも自覚する症状はございますか?


物を飲み込むとき、つかえる感じがする。
悲しくて食事ものどを通らない。
心配で胃がキリキリ痛む。
不快で吐き気を催す、怒りで腸が煮えくり返る。
お腹が張ってゲップを出そうとしてもすっきりしない。
便秘したり、下痢したりする。
お腹がゴロゴロいって、おならが出そうで出ない。
口の中が荒れたり、ただれたりすることがある。
好きなものもあまり食べる気がしない。
心臓のドキドキを感じたりする。
胸が痛くなることがある。
立ちくらみしそうになる。
手足が冷える。
背中のこりや痛み、腰痛。
頭がスッキリしない、頭が痛い。
頭痛がしたり、首筋や肩がこったりする。
側頭部痛、こめかみを指で強く押すと気持ちいい。
腕の脱力感、手指のふるえ、指の過度の緊張感。
仕事をやる気が起こらない。
人と会うのがおっくうになってきた。
寝付きが悪く、よく目が覚める。夢見が多い。
四肢のふるえ、手先がしびれる感じ。
朝の寝起きが悪く、気持ち良く起きられない。
息の詰まる感じ、喉のなにか引っかかっている感じ。
呼吸が荒くなる、息切れ、急に息苦しくなることがある。
息が速くなる、息切れ、急に息苦しくなることがある。
よくあくびをする、ため息をする。
生理前、乳房が痛いほど張っている。
生理のリズムが狂う(月経が遅れたり、早く始まったりする)。
急に体がほてり、汗がたくさん出たり、顔がカッーと紅潮する。
なんとなく体がだるくすっきりしない。なかなか疲れが取れない。
ちょっとしたことでも、腹が立ったり、イライラしそうになることが多い。
頻尿、残尿感、排尿しようとしてもすぐには尿が出てこない。
蕁麻疹(痒い部分を掻くと、さらに腫れて広がってしまう。
また、ブラジャーやパンツで圧迫されるところに多く出るのが特徴)。
眼がしばしば疲れる。
耳鳴りがすることがある。






◎なぜストレスで血が固まる?…ストレスであなたは、ドロドロ血液に。。


中国医学には、「気は血の帥(すい)〔管理者〕であり、血は気の母である」という言葉があります。


気と血(けつ)の間には深い関係があり、正常な生理機能を維持するためには、
気と血(けつ)とが一時も絶えることなく流れていなければなりません。

言い換えれば、気血(きけつ)の流れの停滞、渋滞は
色々な病気の原因になるわけです。


気血の停滞を引き起こす原因は色々ありますが、その最大のものはストレスです。


気血がスムーズに運行するのは、肝臓の働きのおかげですが、
肝臓はストレスに大変弱く、ストレスが溜まると肝の機能はすぐに悪くなります。

その状態を肝欝(かんうつ)―肝気鬱結(かんきうっけつ)と言いまして、
気血の流れの停滞の原因となります。


大喧嘩や激怒すると、胸苦しさ、両脇の不快感、喉が詰まる感じ、上腹部の膨満間、食欲減退、
げっぷ、ため息等の症状がすぐに起こります。

これが気滞(きたい)証なのです。


ストレスが解消されないと、気滞証は、ますます重くなり、
気滞証→淤血(おけつ)証〔血流の停滞〕にすすみます。


動脈硬化、高血圧、狭心症、脳梗塞、糖尿病、腫瘍などはいずれも淤血証で、
みなストレスに関わっています。


動脈硬化の最大の原因であるコレステロールは、情動ストレス、特に抑鬱、怒り、
恐怖等の感情によって増加することが古くから知られています。

試験のとき学生からの血中コレステロール値が上昇するという報告もあります。



重要なエネルギー源である遊離脂肪酸は、主に皮下組織に中性脂肪として貯蓄されていますが、
種々のストレスは交感神経の活動を介して、皮下組織中の脂肪を分解し、中性脂肪を血中に遊離させます。

こうした脂肪分は、すぐに利用されないと、血液の粘度を増やす要因となり、
血小板の凝集力を強め、血液を固まりやすくし、血行障害を引き起こすことになります。



この病態が中国漢方でいう「淤血(おけつ)」です。


中国漢方通信 「みんなの願い血液サラサラ健康法
中国漢方通信 「淤血度チェック
も参考にしてください。





◎ストレスに対処する中国漢方の知恵…3本柱が大切です。


ストレス病の対策は、
@ストレスに対する抵抗力の増強法
A疏肝理気(そかんりき)〔肝の働きを高める〕
B活血化淤(かっけつかお)〔血を新鮮にし、血の流れを良くする〕という3本の柱が大切です。


漢方薬の中には、ストレスに対する抵抗力を増強し、
有害なストレスによる損傷を最低限に抑えるものがあります。


例えば、朝鮮人参、西洋人参〔北米原産の薬用ニンジン〕、シベリア人参[シベリア原産の人参]、
補中益気丸、麦味参顆粒などの補気薬、補血薬、海馬補腎丸、金匱腎気丸(八味丸)のような補腎薬がよく使用されます。


これらの補益薬は、ストレスをはじめとする環境に対する適応力を強めます。


また、天王補心丹(てんのうほしんたん)といった補心薬もあります。

補心(ほしん)とはすなわち精神力(心)を強めるということです。



星火温胆湯という、痰を除き 胆の気〔胆の働き〕を補うものもあります。

中国漢方だは、胆は胆力、大胆などの言葉で示されるように、
人間の決断力に関わる内蔵とされており、
胆の気を増強するとストレスに対する抵抗力も強くなるというわけです。



疏肝理気(そかんりき)とは肝臓の機能を整え、気の流れを促進する治療法で、
処方としては「ストレスを緩和する漢方薬」や開気丸(かいきがん)などが有名です。


開気丸は鬱々とした気を開く作用にちなんで名付けられました。


活血化淤(かっけつかお)とは、血の流れを良くする治療法で、
四物湯、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散などの処方が知られています。


ここで特にお勧めしたいのが、疏肝理気と、
活血化淤という両方の効能を合わせて持っている処方の、冠元顆粒です。


ストレスによって生じる様々な淤血(おけつ)の症状改善に用いられています。


次のような非常に多くの病気と『淤血(おけつ)』は、関わりを持っています。


@ 神経痛、リウマチ、関節炎、筋肉痛
A 冷え性、肩こり
B 皮膚掻痒症、アトピー性皮膚炎、乾性湿疹、慢性じんましん
C 外傷性疼痛(ねんざ、打撲)
D 血管性神経痛、脳外傷後遺症の頭痛、半身不随
E 動脈炎、静脈炎、血栓症血管炎
F 動脈硬化症、高脂血症、高血圧症
G 月経困難症(生理痛)、不妊症
H 慢性胃炎、胃潰瘍、一二指腸潰瘍、慢性胆嚢炎、胆石症
I 腫瘍、できもの、前立腺肥大、慢性前立腺
J 慢性腎炎、ネフローゼ、浮腫
K 性機能障害(不妊など)
L 肝炎、肝硬変
M 健忘、不眠、イライラなどの精神障害





◎ストレス解消法…運動、食事、生活上の注意点。養生法ですね。


ストレスは古代からあったようで、古い本にも『心静・体動』(心は静かに、体は動かす)
といった養生の秘訣が記載されています。

現在の心身医学には自律訓練法がありますが、
最近は 特に気功、太極拳のような心静・体動が一度にできる方法がブームになっています。


気の欝滞した人に向いた気のめぐりを良くする食品には、春菊、茴香、芥子、わさび、
大根、山椒、橘皮、らっきょ、紫蘇葉、玉葱、など香りの強い食品があります。


血液の流れをよくする食品では、山査子、荷葉、菊花、くわい、米酢などがあげられます。


この他、昔からストレスの解消法として、スポーツ、散歩、種々の趣味や遊びが実行されています。


また、他人からの評価を気にせず、自分の思うままにわが道を行くという生き方も有効です。




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