02/10/03
2002年8月18日撮影
場所:大石田
撮影者:土屋幸太郎
今年の夏に、偶然に 蓮を見つけたときには、喜んだものです。
それ以来、毎週、わくわくしながら 蓮を見に行きました。
八月の太陽とともに、蓮を眺めては楽しみます。
彼岸花もそうですが、神秘的な世界を体験できるのです。
誰も歩かない昼下がり。
蝉の鳴き声。
湧き上がる入道雲。
空は青く、夏の色に染まっていく。
日本の夏が、晩夏が過ぎていきます。
蓮の群生に向かって行くと、蛙たちが キー♪ と鳴き声をあげ、
ドボンと蓮池に 一斉に飛び込みます。
キー♪。
ドボン。ドボン。
キー♪。ドボン。
トンボたちは、蓮の蕾に 同じ方向を向きながら
考え事をしているかのように休んでいます。
夏の静かな時間が ゆっくりと流れていきます。
頭の中を 幻想がよぎります。
以前、漢方コラム第45話 「誰も知らない小さな国」でコロボックルに関する
オマージュを捧げました。
なんだか この蛙たちは、
コロボックルが 着ぐるみを着て 中に入っているような感じがします。
真夏の陽炎か。
夢か 幻か。
冬は、大きなフキノウトウの下で。
夏は、ハスの大きな葉の下に コロボックルたちは ひそんでいるかもしれません。
ルルルルルルルルル。
ルルルルル。
ルルルル。
ルルルルルルルルルルルルル。
(セイタカさん、元気でやってる?)
(ぼくたちも、今は日光浴をしながら楽しんでるよ)
(でも、最近は 戦争の話が多いから、人間の世界を平和にしなきゃだめだよ)
(じゃ、また今度 いつ日か会おうね)
漢方ダイエット茶 三爽茶の原料にもなる 荷葉です。
新陳代謝を活発にしますので、ダイエットに効果的。
体脂肪が燃焼していきます。
私は、あの世には行ったことがありませんが、
極楽浄土とは、このような世界でしょうか?
きっと、お釈迦様も蓮を観賞しているに違いありません。
さて、蓮は、「仏教の花」として有名です。
ここは、「土屋薬局 中国漢方通信」の漢方のコラムですが、
仏教における「蓮」を考察していきましょう!。
蓮は、泥の中に根をはり、きれいな花を咲かせます。
「泥中の蓮華」とも言われています。
この「泥」というのは、私たちの住む煩悩の世界の「象徴」でもあります。
苦しみ、悲しみ、不安、恐怖、欲望、嫉妬、妬みなど
私たちの住む世界は、邪念だらけです。
蓮の華は、この泥の中から咲いた「さとり」を示し、
「不撓不屈」の精神をも表します。
つまり、この世のつらさ、苦しさも決して無駄ではなく、
いつの日か 必ず 「華」を咲かせるということを、
蓮の華は 教えてくれるのです。
泥から、「純粋」な華を咲かせる蓮は、
私たちに人生の歩みを考えさせてくれます。
また、どんなに汚れた泥の中で立ち上がったとしても、
蓮の花は 決して、
泥の汚れには染まりませんね。
苦しい思いや、悲しさを経験したことは、
決して無駄にはならないことを
蓮の花に 私たちは 教えられます。
西方浄土の極楽に咲く花、蓮。
お釈迦様は、蓮の素晴らしさや美しさを知り、
「蓮華経(れんげきょう)」というお経を残しました。
「蓮華(れんげ)」というのは、蓮の花のことです。
「蓮華経」の教えは、
「どんなに苦しくとも つらい目にあったとしても、その先には必ず 「悟り」がある。
泥が濃いほど、蓮は 「美しく」「大きく」花を開かせる」ということでした。
人生は、楽しいことばかりではないですけれども、
蓮の花のように 生きていきたいものです。
人生、楽あれば苦あり。
「泥中の蓮華」
泥中に、一厘の蓮の 可憐な花が咲きます。
(漢方コラム第17話 「彼岸花」も、お時間がありましたら
お楽しみ頂ければ、望外の喜びです)
さて、ここは「土屋薬局 中国漢方通信」です。
大塚敬節先生の、「漢方と民間薬百科」より、蓮(ハス)を紹介していきましょう。
ハス 蓮 (スイレン科)
別名 ハチス
▲ハスの実を、アンポンタン(静岡)
薬用部位
根 葉 実
薬効
出血 カニの中毒 酒の悪酔い 下痢 かぜ(感冒) 熱 頭痛 のどの痛み しゃっくり(吃逆) 歯痛 口内炎 淋疾 やけど うるしかぶれ 夜尿症(寝小便) 痔 滋養強壮 はれもの
使用法
1 出血
喀血(かっけつ)、吐血、下血、鼻血などに、根の汁がよくきく。
黒い節のままを おろして汁をしぼり、湯飲みに一杯ほど飲む。
なかなか とまらない喀血が これでとまることがよくある。
2 カニの中毒 酒の悪酔い
根をおろして、湯飲み一杯ほど飲む。
3 下痢
根のしぼり汁を飲む。
また食塩を少し加えて、せんじて飲んでもよい。
4 かぜ 熱 頭痛 のどの痛み
ハスの生の根と、ダイコンとネギの白根を一本ずつおろし器でおろし、
それを半分ほど湯飲みに入れ、その中に梅干を一つ つぶして入れ、
そこに、別に わかしたヘチマ水(なければ塩水)を湯飲みに いっぱいになるまで入れて、
一回に飲むと、かぜひきで、熱が出、頭痛がし、のどの痛む場合によくきく。
5 しゃっくり
乾燥した根の粉末を飲む。
また、実を黒焼きにして白湯(さゆ)で飲んでもよい。
6 歯痛
歯ぐきがはれて痛む場合は、葉の黒焼きの粉末を、
すりつけるとよい。
また、葉にみそをのってから、黒焼きにして つけてもよい。
あるいは、ハスの葉とクヌギの皮とを、
ともに黒焼きにして 等量まぜたものでもよい。
7 口内炎
口内のただれに、葉の黒焼きを布に包んで 水にひたしてから、
口にふくんでいるとよい。
8 淋疾
葉の黒焼きを、一回に2gずつ 一日三回飲む。
また、乾燥した葉10〜20gを、せんじて一回に飲む。
9 やけど
葉の黒焼きを粉末にして、ゴマ油で ねってつける。
10 うるしかぶれ
乾燥した葉を せんじた汁で、たびたび洗う。
11 夜尿症
陰干しにした葉二枚に、甘草(かんぞう)を少し入れてせんじ、
一日に飲む。
12 痔
葉10gに、同量のイチジクの葉を加えて せんじた汁を、一日に飲む。
13 滋養強壮
実の黒い堅い殻をとり去るか、そのままなら こまかく砕いてから、
一日量10〜20gを せんじて飲む。
実には、滋養強壮の効がある。
14 はれもの
葉の黒焼きを飯粒でねってつけると、膿を吸い出す効がある。
来年も、蓮を見にいこう。
夏なんだな。
夏が過ぎていくんだな。
ガマ(蒲)とトンボ
(漢方コラム第39話「天高く馬肥ゆる秋(カリンとガマ)」もご覧になってください)