山形県東根市神町中央通り 土屋薬局 薬剤師・国際中医師 土屋幸太郎
土屋薬局の漢方相談で比較的に多いご相談としまして、胃腸のトラブルに関することが挙げられます。
慢性的な下痢や腹痛などで、体重が減ってしまって太れないとか、ひどくなりますと女性のお客様では生理不順になり、子宝に恵まれないなどのお悩みや、男性のかたですと、カラダ全身も疲れやすくなり、ついつい病気がちになってしまうこともあります。
アトピー性皮膚炎などのお肌のトラブルやぜんそくやCOPDなどの呼吸器系疾患など、漢方に求められる いわゆる「体質改善」におきましても、胃腸を丈夫にしていくことは とても大切なことです。
今回の中国漢方通信では、「過敏性腸症候群」を特集しますので、参考になりましたら幸いです。
お客様からのお問い合わせ
>私は27才のサラリーマンです。
ここ数ヶ月ずっと下痢が続いており、医師の先生には「ストレス性の下痢」であると言われました。
>ただし、通院しているのですが思うように改善しないですし、とはいえ、先生の言うように「ストレスの元凶を断つ」ことも出来ませんので、そのような症状を少しでも軽くすると言いますか、
効果が期待できる(気休めでも)薬や方法など、何でも結構ですので、>何か情報がございましたら、是非ご紹介下さい。
>宜しくお願い致します。
土屋薬局からの回答
ここ数ヶ月ずっと下痢が続いており、
先生には「ストレス性の下痢」と言われ、
整腸薬をもらっているが、
「ストレスの元凶を断つ」ことは出来ないので、
症状を少しでも軽く出来る薬や方法はないか。
良く分かりました。
中国医学では、胃が弱くもたれやすい、
腸が弱く下痢をしやすいといった症状は治るものと
考えています。
中国漢方では、消火器系の中枢を五臓のうちの
「脾(ひ)」としています。
親から受け継いで「腎(じん)」に蓄えられている 「先天の気」に加え、
食べ物から「後天の気」をとり入れる
消化吸収の働きを協調して行うのが「脾」で、
胃腸が丈夫でないという体質はまず、
大本の「脾」の働きが不足した状態とみるわけです。
「脾」が働かなければ、
消化吸収が十分に行われないので下痢をしやすく、
腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下して おなかにガスがたまり、
元気(文字通り生命活動のもとになる気)が失われることになります。
胃腸を丈夫にする漢方薬に、
「健胃顆粒」を使います。
現代はストレスの時代といわれるだけに、
ストレス性の胃腸障害に悩む人が増えているようです。
ストレスはどこまでもついてまわります。
となれば、健康のために大事なことは、
ストレスと上手に付き合い、
ストレスを穏和する為の知恵、ストレスに強いからだを作り、
ストレスを予防する知識もあれば素晴らしいことですよね。
(「ストレスと中国漢方のお話」「さわやかな春を迎えるために〜春の養生法」も参考にしてください)
ストレスによって最も影響を受けやすい臓器は「肝(かん)」です。
肝は、体全体の気(エネルギー)の流れを調節し、
臓器の機能をスムーズにする(疏泄作用)をしていますが、
ストレスが溜まると「肝鬱気滞(かんうつきたい)」という
気血(きけつ)の流れの停滞を招きます。
肝の疏泄(そせつ)作用によって調整されている
消化器系(胃腸)にも大きな影響を与え、
胃炎や食欲不振、胃もたれ、腹痛、お腹の張り、
吐き気や「腸は心の窓」と言われるように、
ストレスからくる過敏性腸症候群などの下痢、
便秘、緊張性のコロコロした便の原因となります。
中国漢方では、これらの症状を引き起こす
根本的な原因である「気滞(きたい)」を改善し、
「肝気(かんき)」の流れをスムーズにする
「疏肝理気(そかんりき)」という方法を用います。
漢方薬では「肝」を補い、新陳代謝を促進させる
「星火逍遙丸(せいかしょうよがん)」を使用します。
「逍遙(しょうよう)」とは気ままに散歩するという
意味があり、気持ちをリラックスさせ、
胃腸を守りながらストレスを発散させる漢方薬です。
出来ましたら、「健胃顆粒」をベースに 「逍遙丸」と併用して、
半年は続けてみると、かなり効果が現れるものと思います。
(多くの方がこの方法で改善しております。)
ご検討下さいませ。
なお、胃痛やお腹の痛みがつらいような場合には、
「肝気犯胃(かんきはんい)」としまして、
「通じざれば、すなわち痛む」状態となっていると認識しますので、
健胃顆粒、逍遥丸にプラスしまして、
開気丸(かいきがん)の併用も検討していくべきでしょう。
参考になりましたら、幸いです。
何か分からないことなど、遠慮なくメールしてください。
春近しとはいえ、余寒はまだ続きます。
風邪などお召しになりませんよう、お気をつけ下さい。
ご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
「薬食同源」「医食同源」です。
胃腸が丈夫で、食欲があり、
毎日のご飯がおいしいことが、
健康で長生きする秘訣ですし、
あらゆる病気の改善の 「近道」になります。
健康一番。
秘訣は、「快食・快眠・快便」
漢方では一人一人の体質に合わせて相談していきますので、詳しくはご相談してください。
漢方相談は、
漢方相談室のフォーム、ファックス(0237−48−1477)、
お電話(0237−47−0033、0237−48−2550)で。