04/04/07
「龍の背中に乗る子ども」
南京で 夏桂成先生の不妊症専門講座の勉強を終え、
中国滞在の最後の夜は 上海での打ち上げでした。
植民地だった過去のイギリス領土の面影が残り、
一方には中国を代表する高層ビルが立ち並ぶ
上海の過去と今が分かるベイスポットでした。
主催して頂きました中医師の一人の先生が、
中国研修旅行を総括するにあたりまして、
「先生方は、明日から日本に帰ってからは、
病で苦しんでいたり、つらい気持ちを抱いている人たちを
救える先生になってください」とおっしゃいました。
私は、その気持ちや感動を胸に抱いて帰国して
山形に戻ってきました。
同時に鮮明な記憶として残るのは、
上海蟹を食べながらの雑談だったのですが、
円卓の隣の席の もう一人の中医師の先生がおっしゃった言葉です。
「中国では赤ちゃんは、龍の背中に乗ってやってくるという
言い伝えもあります」
「中国でもコウノトリに乗って赤ちゃんがやって来るんですか?」
という私の愚問に対する答えでした。
上海のきらめく海と高層ビルを眺めながら、
龍が大きく空を駆け巡り、赤ちゃんが龍の背中に乗っている姿が
私の目に浮かんできたのです。
上海での心に残る打ち上げの宴から半年過ぎる今も、
私の心の中では、日増しに龍の存在が大きくなっています。
古来、中国では皇帝などの権力の象徴、力の象徴であり、
風を起こし雨を降らせる不思議な力をもつなど
縁起の良い生き物であり、
神聖なものとして庶民の信仰にもなっていました。
黄河の龍門(ロンメン)という激流をあえて逆上ることができれば、
川の鯉もついには龍となり 空を飛ぶことができる故事は 「登龍門」。
「臥龍(がりゅう)」という言葉は、ふだん龍はひそかに地に伏せているが、
たとえ臥せていても ひと雨あれば、一気に勢いを得て天までも駆け巡ります。
三国志の諸葛孔明も、臥龍といわれ 活躍を若くして期待されていました。
日本でも龍は神社や、たとえば東照宮などでも
さまざまなところで信仰されています。
浦島太郎の龍宮城でも有名ですね。
中医学では、陰陽五行論のなかで、
龍は 「青龍」として、四神のなかの一つであり、
東方の守り神で 東を守り、春を象徴する生き物としています。
辰年で龍が好きなかたも、けっこう大勢いらっしゃることでしょう。
当店で漢方相談するにあたりまして、
お客様たちに幸福と健康が訪れ、子宝に恵まれて頂きたい、
また私たちスタッフ一同にも 幸運と健康を授けてくれるような、
そのような願いを この新しい土屋薬局のロゴマークに込めました。
龍頭蛇尾にならぬよう方針を定め、
画龍点睛にならぬようお客様のお話を
よく聞かせて頂きたいと思います。
健康長寿の願いを龍の背中に乗る子どもに
込めたいと思います。
スタッフ一同漢方相談に日々努力していきますが、
至らないところはご指摘してください。
今後とも「土屋薬局 中国漢方通信」を
よろしくお願い致します。
2004年4月7日 白梅の咲く我が家で 土屋薬局 薬剤師・国際中医専門員A級 土屋幸太郎
「中国不妊症専門講座南京研修に参加して」も参照して頂ければ嬉しいです。