04/02/03
○1月29日撮影 ○撮影者 土屋幸太郎 ○タイトル 「冬の若木山」
もともとダイエットのために、散歩をしたり、ジョギングしたり、
筋トレをしていたのですが、すっかり習慣化されてしまい、
昼休みも食後に散歩を30分間しています。
山形の冬は、長く、雪が多い!と思い込んでいた私にとって、
冬場の運動不足は 深刻な悩みでした(少々、大袈裟ですが。。)
検討した結果、冬に向けて、
昨年の夏に セントラル・スポーツに入会しました。
雨降りなどの天候不良のときに走れなかった日は、
夜に ジョギングマシーンで、1時間くらい汗を流し、
今日は 暑いからといえば、海パンに履き替えプールで泳いだりしていました。
本来ならば、冬場の雪が多い今頃の季節では、
すっかりと「セントラル漬け」になっている予定でしたが、
雨降りとは違って、雪は ふわふわと空から降ってきますので、
長靴を履いていれば、「冬の散歩道」を楽しめることに気がつきました。
私は、お昼は家で食べていますが、
我が家の2階からは、天気が晴れた日には、
パノラマのように 奥羽山脈の山並みが見渡すことができます。
一番上の写真の若木山(おさなぎやま)もそうですが、
これらの澄み切った空に、冠雪が残る山峰を眺めれれば、
こころが踊ります。
たとえカラダが疲れきっていたとしても、
清らかな環境に身を浸し、腹の底から息をしていれば、
だんだんと元気になっていくものです。
ああ、若木山に登らなければ。
こんな晴れた冬の一日は。
食事を急ぎ、ジャンパーを羽織って、一路 若木山を目指します。
若木山の神社です。
元来は山頂にあったらしいのですが、
戦争中、米軍の空襲を避けるために、
ふもとに下ろされたらしいです。
私以外にも、「若木山マニア」はいます。
冬でも、私たちは若木山を登ります。
「道程」 高村光太郎
僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちにさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守ることをせよ
常に父の気魄を僕に充たせよ
この道程のため
「冬が来た」 高村光太郎
きっぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹(いてふ)の木も箒になった
きりきりともみ込むやうな冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背(そむ)かれ、虫類に逃げられる冬が来た
冬よ
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食(えじき)だ
しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のやうな冬が来た
私は、毎年 冬になると、
ふと高村光太郎の詩集を思い出します。
冬の光景は、凍てつくような寒さばかり思い浮かびますが、
案外、思い切って
家を出てみると 楽しいものです。
雪道を歩くと、
ほんとうに、
「僕の前には道がない」
「僕の後ろには道が出来る」
ことを身をもって体験できます。
ああ、あの山並みは、
私たちの聖なる山。
葉山連邦だよ。
あの山の向こうは、
仙台があるんだ。
奥羽山脈を突き抜けろ。
夏には、さくらんぼうがなる土地だよ。
(漢方コラム「栗の花」のこの写真のところです)
山頂には、若木山の神様が鎮座しています。
山頂まで歩きますと、小さな山とはいえ、
肌着に汗を感じるくらいまでになります。
晴れた冬の陽射しを浴びて、
ほんのり冷たい風に吹かれることは、
なんて素晴らしいのでしょうか。
スポーツセンターのうるさい音楽が鳴った、
人も ごみごみしているようなところで、
運動して汗をかくことよりも、
自然と向き合っているほうがずっと好きです。
案外、冬の山道を歩くことは、
適度な斜度がありますし、
滑りやすいですから、
足腰の「筋トレ(とくに大腿四頭筋とハムストリングスに効きます)」と
雪上の滑らないようにする「バランストレーニング」に優れていると思うのです。
けっこう、毎日歩いて鍛えていたとしても、
筋肉痛になりますよ。
さてさて、ここは 「土屋薬局 中国漢方通信」です。
「起承転結」がありまして、かならず 自然の漢方の話題を入れるという
「土屋ルール」があります。
若木山の山頂には、一体何があったというのだ!
桜です。
冬の山桜。
おお、君は、りんとして大空に手を広げ、
春を待っているのかい。
雪の重みにも、身をしだね、
じっと耐えているのかい。
君のエネルギーは、
今ここで清らかに養われ、
来るべき春への希望、
そして冬への身が引き締まる
喜びに満ち溢れている。
桜皮(おうひ)です。
では、お馴染みの、お約束の
日本漢方の父 世界に誇る 大塚敬節先生の「漢方と民間薬百科」より。
サクラ・・・と思いましたら、すでに過去の漢方コラムで、
大塚先生の文章は紹介させて頂いていました。
漢方コラム第43話 「坂町の寺桜(熱海桜)」です。
このコラムは、私の恩師 高橋相談役に対することがメインのコラムです。
来月には、熱海ではサクラが咲いているんですよね。
日本って、国が南北に長いですよね。。
私のサイトの愛読者には、
北海道や東北、長野県や富山県など、
雪が降る地域の人たちも、多いですから、
みなさん、一緒に春を待ちましょうね。
春遠からじ。
気を取り直しまして、では、
私の出身大学で一番と世間では有名だと思われる、
星薬科大学名誉教授 伊沢一男先生の「薬草カラー図鑑」より。
53ページから。
サクラ(ソメイヨシノ) バラ科
江戸末期、江戸の駒込染井の植木屋が初めて売り出したというので、
この名があるが、
植物としての発祥の地が長らく疑問になっていた。
あとになって、伊豆半島のエドヒガンと、
この地方に多い オオシマザクラとで、
自然にできた雑種であろうということになった。
サクラじゅうの絢爛豪華さにおいて、
その右にでるものはない。
佳人薄命の例のように、
病害虫に侵されやすく、短命なのが欠点。
野生種の代表はヤマザクラで、
若葉と同時に花が咲き、各地に分布するが、
特に奈良吉野山、京都嵐山が名所。
調整法
6〜8月、樹皮をはがして日干しにする。
成分
桜もちは サクラの葉独特のクマリンの芳香で賞味されるが、
オオシマザクラの葉を潮漬けにして1ヵ年保存する間に、
葉のクマリン配糖体が徐々に分解され、
芳香物質が生じる。
クマリン配糖体そのものは方向性ではない。
サクラのほとんどの種類の葉に、この物質を含む。
薬効と用い方
せきに
樹皮1日量3〜5gを煎服。
おできに
右と同じように煎服。
また煎液で患部を洗う。
ああ、この蕾(つぼみ)を眺めていますと、
春への希望、そして命の持つ不思議さを
感じてしまうのです。
春になったら、若木山の山頂の桜が咲いたら、
そのときには、
きっときっと素晴らしい桜の写真を撮りますから、
それまでお待ちしてくださいね。
この漢方コラム第60話「冬の若木山(桜皮)」は、
満開の桜で締めくくることとしましょう。
ではでは、
SEE YOU NEXT TIME. バイバイ。
04/04/22追記です。
2月には、雪景色だった若木山も、
すっかりと雪が解けて 春が訪れました。
「Spring has come」ですね。
私の昼休みの散歩コースには、若木山があり、桜の木を見ては
「花が咲くのが楽しみだなあ〜」といつも期待していました。
桜前線も山形を通過し、
若木山の桜たちも
一斉に 春の喜びを歌いはじめました。
ところが、とても残念なことに
数日前に、暴風雨が一晩中吹き荒れていまい、
1年間かけて開花した桜の花びらたちも
飛び散ってしまいました。
淡い春の色である桜色の風景が、
緑まざりの初夏の景色に変わり、
すぐに葉桜のようになってしまったのです。
花の命は短いものです。
あまり桜が咲いている景色を楽しめなかったのは
残念ではありますが、また来年にも春が訪れます。
そうこうしているうちに、
さくらんぼも、あけびも、桃も、イカリソウも
いっせいに花を咲かせてきました。
目のやり場に困ります。ああ、忙しい。忙しい。
今日も、風が強く、桜の花びらは揺れていました。
というわけで、来年には ここ神町の陸上自衛隊第六師団や若木山の桜たちの
勇姿をお見せしましょう!
SEE YOU NEXT TIME. バイ、バイ。
また来年、ここの漢方コラムでお会いしましょう。