土屋薬局のあゆみ

土屋薬局は、昭和１４年に初代社長土屋幸次郎が山形県東根市神町に開設いたしました。
開業以来、「この町になくてはならない店」を目指して 奉仕の心で接客に努めさせていただいております。

初代社長 幸次郎は、太平洋戦争では陸軍に召集され静岡の部隊に所属していました。
戦争中は畑の中でグラマンの機銃掃射をうけ、３０cm横を弾丸が通り過ぎたこともあったそうです。
やがて昭和２０年８月１５日の終戦を迎え、夏の暑い日に静岡から汽車で山形まで無事生還することができました。
そして、幸次郎はこの地「神町」で戦後の荒野から再び商売を始めることとなったのです。

現在の神町は山形空港があることで有名ですが、太平洋戦争末期に海軍が飛行場を建設したことから、戦後は米軍キャンプが設置されていました。
その当時、駐留軍が土屋薬局に来店した際に、幸次郎は初めて見る外人たちに驚き「お金は要らないから、商品を持っていけ!」と言ったそうです。
また、自宅にアメリカ人たちが訪ねてきたときには、日本の風習を知らない彼らは靴を履いたまま土足で茶の間に上がってしまったそうです。

そのような中、幸次郎は夜行で東京馬喰横山のエトワール海渡に洋品やスーツケースなどを仕入れに行ったり、ガラス職人や写真現像（ＤＰＥ）など商魂を発揮し、現在の土屋薬局の基礎を築き上げました。スーツケースなどは米軍相手に飛ぶように売れ、東京仕入れの翌日はシャッターを開ける前からお客様の行列が待っていたものでした。 生前、初代社長 幸次郎は、当時アメリカから手紙を送る際は「JAPAN JIMMACHI」と住所を書くだけで届いた、と昔を懐かしみながら語っていました。

現在、米軍キャンプの跡地は、陸上自衛隊第六師団となり、東北地方の司令部となっております。
平和とは有り難いものです。

この文章を作成している土屋幸太郎は三代目にあたりますが、平成１１年に亡くなっ た祖父ーー初代 幸次郎の苦労と心意気を忘れずに、遺言である土屋薬局の創業１００周年に向けて、これからもお客様の立場にたって努力することを宣言いたします。

1960年（昭和35年）当時の店舗写真。
関山街道に面した入口に「全医薬品と 洋品雑貨冩眞材料DPE」「TSUCHIYA DRUGSTORE」の文字が見えます。

もちの木のある薬局です。末永くご愛顧ください。
皆様のご来局を心より、お待ちしております。