
こんにちは。
山形県東根市・土屋薬局の薬剤師、認定不妊カウンセラーの土屋幸太郎です。
「生理が始まってから10日ほど出血が続く」
「排卵期や高温期になっても茶色い出血が止まらない」
「不正出血があるため、受精卵を戻せないと言われた」
子宮内膜症や子宮腺筋症があり、体外受精に取り組んでいる方から、このような漢方相談をお受けすることがあります。
採卵や胚移植へ向けて準備してきたのに、不正出血によって治療を見送ることになると、本当にがっかりするものです。
「次の周期も出血が続いたらどうしよう」
「いつになったら胚移植へ進めるのだろう」
「子宮の状態が悪くなっているのではないか」
と、不安になる方も少なくありません。
今回は、子宮内膜症・子宮腺筋症があり、不正出血のため胚移植へ進めなかった方の相談例をもとに、中医学で考える「気虚・陽虚・瘀血」についてお話しします。
子宮内膜症・子宮腺筋症と不正出血
子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が、卵巣や卵管、腹膜など、子宮の内側以外の場所で発育する病気です。
月経痛、骨盤痛、排便痛、性交痛、妊娠しにくさなどにつながることがあります。
一方、子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮の筋肉の中に入り込み、子宮の壁が厚くなったり、硬くなったりする病気です。
子宮腺筋症では、
- 生理痛が強い
- 月経量が多い
- 生理が長引く
- 血の塊が出る
- 骨盤内に痛みや重苦しさがある
- 貧血になりやすい
などの症状がみられることがあります。
子宮内膜症と子宮腺筋症は別の病気ですが、両方を併せ持っている方もいらっしゃいます。
不正出血が続く場合は、まず婦人科で原因を確認
不正出血は、子宮内膜症や子宮腺筋症だけで起こるものではありません。
子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜炎、排卵の異常、ホルモン剤の影響、子宮頸部や子宮内膜の病気、妊娠に伴う出血など、さまざまな原因があります。
新しい出血は赤く見えますが、少量の血液が時間をかけて排出されると、茶色く見えることもあります。
茶色い出血だから大丈夫とは限りません。
不正出血を繰り返している場合や、これまでと出血の状態が変わった場合には、まず婦人科で原因を調べてもらうことが大切です。
特に、
- 出血量が急に増えた
- 大きな血の塊が繰り返し出る
- めまい、息切れ、動悸がある
- 強い腹痛を伴う
- 妊娠の可能性がある
- 性交後の出血を繰り返す
- 閉経後に出血した
といった場合には、早めに医療機関を受診してください。
異常子宮出血には子宮腺筋症や排卵異常、子宮筋腫、ポリープ、子宮内膜炎など、さまざまな原因があります。日本産科婦人科学会「異常子宮出血と不正性器出血」
不正出血が続き、胚移植へ進めない
過去に、秋田県から土屋薬局へご来店いただいたお客様がいらっしゃいました。
子宮内膜症があり、病院で体外受精を受けている方でした。
生理がすっきり終わらず、10日間ほど出血が続き、排卵期や高温期になっても茶色い出血がみられました。
そのため、予定していた胚移植へ進むことができませんでした。
一方、自然周期で治療しようとすると、前の周期の卵胞が残る遺残卵胞や、排卵しない周期があり、治療計画を立てることが難しい状態でした。
採卵や胚移植に向けて準備していても、
- 不正出血が止まらない
- 子宮内膜の状態が整わない
- 遺残卵胞がある
- 排卵しない
- 月経周期が安定しない
といったことが重なり、なかなか次の治療へ進めなかったのです。
また、この方には、生理中に下痢や軟便になりやすいという特徴もありました。
体外受精で不正出血があるときに確認したいこと
体外受精中の不正出血には、子宮や卵巣の病気だけでなく、ホルモン剤や排卵誘発剤などが影響している場合もあります。
出血がみられた場合には、自己判断でお薬を中止せず、主治医の先生へ相談してください。
受診するときには、次のようなことを記録しておくと役立ちます。
- 出血が始まった日
- 出血が続いた日数
- 赤色、茶色、ピンク色などの色
- 出血量
- 血の塊の有無
- 腹痛や腰痛の有無
- 出血が月経前、排卵期、高温期のいつ起きたか
- 服用しているホルモン剤
- 採卵や胚移植の日程
- 基礎体温
- 生理中の下痢や軟便
- めまい、息切れ、疲労など貧血を疑う症状
出血の状態をカレンダーやスマートフォンに記録しておくと、主治医や漢方相談の担当者へ説明しやすくなります。
不正出血を漢方では「気虚・陽虚・瘀血」から考える
中医学では、「不正出血には、この漢方薬」と病名だけで一つのお薬を決めるわけではありません。
出血の色や量、続いている期間、月経周期、痛み、冷え、疲れ、胃腸、睡眠、基礎体温などを総合して考えます。
子宮内膜症や子宮腺筋症があり、不正出血が長引いている場合には、「気虚」「陽虚」「瘀血」などが重なっていないかを確認します。
出血をとどめる力が不足する「気虚」
中医学の「気」には、体を動かすエネルギーとしての働きだけでなく、血液が血管の外へ漏れ出さないように保つ働きもあると考えます。
この働きが不足した状態が「気虚」です。
気虚の傾向がある方には、
- 疲れやすい
- 朝から体がだるい
- 食後に眠くなる
- 胃腸が弱い
- 下痢や軟便になりやすい
- 声に力がない
- 息切れしやすい
- 出血が少量ずつ長く続く
- 月経がすっきり終わらない
などの特徴がみられることがあります。
中医学では、気が不足すると、血液を一定の場所に保つ「固摂(こせつ)」の働きが弱くなり、出血が長引きやすくなると考えます。
ただし、不正出血がすべて気虚によるものという意味ではありません。
婦人科で原因を確認したうえで、その方の全身状態を判断します。
気虚が進み、冷えを伴う「陽虚」
気虚が進み、体を温める力まで不足した状態を「陽虚」と呼びます。
陽虚の傾向がある方には、
- 手足や下腹部が冷える
- 寒さや冷房が苦手
- 生理中に下痢や軟便になりやすい
- 温めると体調が楽になる
- 疲れると出血が増える
- 基礎体温が低め
- 高温期の上昇が弱い
- 腰や膝が冷えてだるい
などがみられることがあります。
基礎体温が低いだけで陽虚と判断することはできません。
冷え、疲労、胃腸の状態、月経周期、出血の様子などを一緒に確認することが大切です。
中医学では、体を温める陽気が不足すると、血液を巡らせ、適切な場所に保つ働きも低下すると考えます。
子宮内膜症・子宮腺筋症で重視する「瘀血」
瘀血(おけつ)とは、中医学で使われる「血の巡りが滞っている状態」を表す言葉です。
血液検査の数値や、一般にいわれる「血液がドロドロ」という意味だけではありません。
瘀血の傾向として、
- 刺すような生理痛
- 痛む場所がはっきりしている
- 夜になると痛みが強くなる
- 経血に血の塊が多い
- 経血の色が暗い
- 茶色い出血が長引く
- 月経前から下腹部が張る
- 子宮内膜症や子宮腺筋症などがある
といった状態を参考にします。
子宮内膜症や子宮腺筋症では、中医学的に瘀血が関係していると考えることが多くあります。
しかし、不正出血が続いているときに、単純に血を巡らせる漢方だけを使えばよいとは限りません。
出血している時期や出血量、その方の気血の状態によっては、まず出血を落ち着かせ、体力を補うことを優先する場合もあります。
出血の状態を確認しながら、月経周期の時期に応じて漢方の組み立てを考えることが重要です。
気虚・陽虚・瘀血が重なっている場合
子宮内膜症や子宮腺筋症が長く続いている方では、一つの体質だけで説明できないことがあります。
例えば、
- 長く続く痛みや血の塊は瘀血
- 出血がだらだら続く状態は気虚
- 冷えや生理中の下痢は陽虚
というように、複数の要素が重なっていることがあります。
中医婦人科には、
「久病多瘀(病気が長引くと瘀血を伴いやすい)」
「久病多虚(病気が長引くと体の不足を伴いやすい)」
「久病入腎(病気が長引くと腎の働きにも影響しやすい)」
という考え方があります。
長期間にわたって子宮内膜症や子宮腺筋症、不正出血、不妊治療に悩んでいる方では、瘀血だけでなく、気血や腎の不足も一緒に考える必要があります。
生理中に下痢・軟便になる場合
今回ご相談いただいた方には、生理中に下痢や軟便になりやすいという共通点がありました。
生理中の下痢は、月経に伴うホルモンやプロスタグランジンの影響などでも起こります。また、子宮内膜症が腸管周辺にある場合には、排便痛などの症状がみられることもあります。
中医学では、
- 生理のたびに下痢をする
- 冷えると悪化する
- 温めると楽になる
- 普段から胃腸が弱い
- 疲れやすい
- 経血が長引く
といった状態が重なる場合に、脾気虚や脾腎陽虚などを検討します。
生理中の下痢だけで体質を決めるのではなく、全身の体調を確認することが大切です。
土屋薬局の漢方相談で確認すること
土屋薬局では、不正出血という症状だけで漢方を決めません。
ご相談の際には、次のようなことを詳しくお聞きします。
- 子宮内膜症、子宮腺筋症の診断
- 超音波、MRIなどの検査結果
- 不正出血の色、量、期間
- 月経周期と月経日数
- 生理痛や排卵痛
- 経血の塊
- 貧血の有無
- 基礎体温
- 採卵、胚移植、凍結胚の状況
- 遺残卵胞や排卵障害の有無
- ホルモン検査値
- 病院から処方されているお薬
- 冷え、疲労、胃腸、睡眠
- 舌の色や状態
病院の検査結果やお薬手帳、基礎体温表をお持ちの場合は、漢方相談の参考にさせていただきます。
体外受精中でも漢方相談できますか?
病院で体外受精を受けながら漢方を利用される方もいらっしゃいます。
ただし、採卵周期、移植周期、ホルモン補充周期、自然周期では、使用するお薬や体の状態が異なります。
土屋薬局では、
- 現在の治療段階
- 採卵・移植の日程
- ホルモン剤や注射
- 出血の状態
- 子宮内膜の厚さ
- 卵胞の発育
- 胃腸や睡眠などの体調
を確認したうえで、その時期に合わせて漢方をご提案します。
病院から処方されているお薬は、自己判断で中止・変更しないようにしてください。
不正出血と漢方についてのよくある質問
茶色い出血が続いていても大丈夫ですか?
茶色い出血は、少量の血液が時間をかけて排出されている場合にみられます。
しかし、茶色だから問題がないとは限りません。出血が長期間続く場合や、繰り返す場合には、婦人科で原因を確認してください。
子宮腺筋症があると不正出血が起こりますか?
子宮腺筋症では、月経量の増加、強い月経痛、生理の長期化などがみられることがあります。
ただし、不正出血にはほかの原因もあるため、「子宮腺筋症があるから」と決めつけず、婦人科で確認することが大切です。
不正出血があると胚移植できませんか?
出血があっても必ず胚移植できないとは限りません。
出血の原因、子宮内膜の状態、ホルモン値、治療方法などによって、主治医が総合的に判断します。
胚移植の日程や処方薬については、主治医の指示に従ってください。
子宮内膜症・子宮腺筋症の不正出血を漢方で相談できますか?
はい、ご相談いただけます。
まずは婦人科で出血の原因を確認することが大切です。そのうえで、土屋薬局では、気虚、陽虚、瘀血などの中医学的な視点から、月経周期や全身の体調を一緒に考えます。
子宮内膜症・子宮腺筋症で胚移植へ進めずお悩みの方へ
体外受精では、採卵や胚移植の日程に合わせて、仕事や家庭の予定を調整し、薬や注射を続けて準備をします。
それにもかかわらず、不正出血や遺残卵胞、排卵障害などによって治療が見送りになると、気持ちがついていかなくなることもあると思います。
「一周期見送るだけ」と簡単に片づけられることではありません。
土屋薬局の妊活漢方相談は、病院の不妊治療に代わるものではありません。
病院の治療方針を大切にしながら、
- 子宮内膜症や子宮腺筋症がある
- 不正出血が長引いている
- 生理がすっきり終わらない
- 胚移植へ進めない
- 遺残卵胞を繰り返す
- 排卵が安定しない
- 生理中に下痢や軟便になる
- 次の採卵や移植へ向けて体調を整えたい
という方のご相談を承っております。
「なぜ、この不調が続いているのか」を中医学の視点から一緒に考え、困りごとの解決に向けて、お一人おひとりに合った漢方と養生法をご提案します。
山形県内はもちろん、県外からの漢方相談も承っております。
子宮内膜症・子宮腺筋症の不正出血や、体外受精で胚移植へ進めずお困りの方は、どうぞ土屋薬局へご相談ください。
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