
こんにちは。
山形県東根市・土屋薬局の薬剤師、認定不妊カウンセラーの土屋幸太郎です。
今回は、月経周期が短く、遺残卵胞のため体外受精を2回見送ることになった35歳のSさまの漢方相談をご紹介します。
体外受精へ進む準備をしていたなかで、漢方を続けながら体調を整えていたところ、思いがけず自然妊娠。その後、無事に女の子をご出産されました。
「遺残卵胞が残って、また採卵を見送ることになった」
「体外受精へなかなか進めず、気持ちばかり焦ってしまう」
そのようなお悩みを抱えている方に、Sさまの体験が少しでも励みになれば幸いです。
Sさまより掲載のご承諾をいただいています。
遺残卵胞とは
遺残卵胞とは、前の月経周期で育った卵胞が排卵・消失せず、次の月経が始まっても卵巣内に残っている状態です。
月経が始まったころの超音波検査や、E2(エストラジオール)などの血液検査を参考に判断されます。
遺残卵胞があると、新しい周期の卵胞の発育やホルモン環境に影響する可能性があります。そのため、採卵や胚移植が見送りになることがあります。
ただし、遺残卵胞の大きさやホルモン値、その周期の治療方針によって対応は異なります。
遺残卵胞を指摘された場合は、自己判断せず、主治医の先生と相談しながら治療を進めることが大切です。
遺残卵胞で体外受精が見送りになったら
体外受精や採卵に向けて、薬や注射、通院を頑張ってきたのに、
「今回は遺残卵胞があるので見送りましょう」
と言われると、本当にがっかりするものです。
一度だけではなく、繰り返し見送りになると、
「次もまた残っていたらどうしよう」
「いつになったら採卵へ進めるのだろう」
「このまま妊娠できないのではないか」
と、不安になる方も少なくありません。
しかし、遺残卵胞が見つかったからといって、もう採卵できない、妊娠できないという意味ではありません。
卵巣の状態や卵胞の大きさ、ホルモン値などを確認しながら、自然に小さくなるのを待ったり、ピルなどを使って次の周期へ向けて調整したりすることがあります。
主治医の先生には、
- 遺残卵胞の大きさ
- E2などのホルモン値
- 今周期を見送る理由
- 自然に小さくなるのを待つのか
- 薬を使って調整するのか
- 次周期はいつから治療を再開できるのか
などを確認しておくと、今後の見通しが立てやすくなります。
治療を見送った周期は「何もできない一か月」のように感じるかもしれません。
しかし、次の採卵や移植へ向けて、月経周期、基礎体温、睡眠、胃腸、冷え、ほてり、疲労などを見直し、体調を整える期間と考えることもできます。
35歳、遺残卵胞で体外受精を2回見送り
Sさまは35歳。2年ほど前からお子さまを希望されていました。
最初はクロミッドを中心としたタイミング療法を3~4か月行いましたが、その後、子宮筋腫の手術のため治療を中断しました。
子宮筋腫の手術は、それまでに2回受けていらっしゃいました。
その後、大学附属病院で体外受精の準備を始め、ソフィアAやクロミッドなどを服用していました。
しかし、体外受精を予定していたものの、遺残卵胞が認められたため、体外受精は2回見送りになりました。
月経3日目のFSHは13。
月経周期も短く、ピルを服用したときには20日ほどで月経が来ることもありました。
そのほか、次のような体調をお聞きしました。
- 上半身に汗をかきやすい
- 夏は足の裏がほてる
- 肩こり、目の疲れ
- 生理前や排卵期に寝つきが悪くなる
- 排卵が早く、月経周期が短い
- 食欲はある
土屋薬局では、基礎体温や月経周期、これまでの不妊治療の経過、全身の体調などを確認しました。
中医学の視点から「気血を補うこと」と「体の潤いを養うこと」を中心に漢方をご提案しました。
漢方を始めて基礎体温に変化
漢方を始めたSさまから、次のご連絡をいただきました。
旅行先にも持参して飲み続けていますが、さっそく基礎体温に変化がみられました。
今までにないきれいな二相性で、ちょうど14日目くらいに排卵したかもしれません。
もしかすると周期が延びてくれるかもと、楽しみにしています!
いつかよいご報告ができることを望みつつ、体調管理をしていこうと思います。
それまでよりも排卵の時期がゆっくりとなり、基礎体温にも変化がみられました。
同じ漢方を継続していただきました。
月経周期が27日に
その後、Sさまから再びご連絡をいただきました。
前回の生理は、やはり少し周期が延びて27日でした!
一時は24日ということもあり心配でしたが、理想の28日に近づいてくれるとうれしいです。
基礎体温は、見本のようなきれいな形でした。一度もこういう基礎体温を経験したことがなかったので、うれしかったです。
月経周期が27日となり、以前よりも整ってきました。
次の周期は26日目に月経が来ました。
経血量はやや多めでしたが、生理痛はなく、夏バテもせず、体調はとてもよいとのことでした。
排卵が9~10日目から13~14日目へ
さらに漢方を継続していると、Sさまから次のようなご報告がありました。
現在、高温期に入りつつありますが、排卵日は13~14日目あたりのようです。
以前は9~10日目に排卵痛があったので、きちんと卵胞が育ってくれているのでしょうか。
来月あたり、久しぶりに病院で卵胞のエコーチェックを受けようと思っています。
凍結している胚盤胞を、そろそろ迎えに行かなくてはと思っています。
以前は月経周期の9~10日目ごろに排卵痛がありましたが、このころには13~14日目ごろに排卵していると思われる基礎体温になっていました。
凍結している胚盤胞の移植も検討され、まずは病院で卵胞やホルモンの状態を確認する予定でした。
まさかの自然妊娠
その後、Sさまから驚きのご連絡をいただきました。
今日はびっくりなご報告です!
いつまでたっても生理が来ないため、念のため妊娠検査薬を使用したところ、陽性判定が出ました。
本日病院へ行き、妊娠5週0日で、1.4センチほどの胎嚢を確認してきました。まさかの自然妊娠に本当に驚いています。
2年以上、体外受精までしても授からなかった自分には、夢のような話だと思っていました。
まだ妊娠初期なので不安もありますが、私に合う漢方を選んでくださり、いつも温かく励ましてくださって、本当にありがとうございました。
体外受精に向けて、凍結胚盤胞の移植を考えていたなかでの自然妊娠でした。
眠気や空腹時に少しムカムカする症状はありましたが、大きな体調不良はありませんでした。
無事に女の子をご出産
その後、Sさまから待望の出産報告をいただきました。
6月5日に無事、女の子を出産しました。
現在2か月になり、元気いっぱいです。
おかげさまで母乳の出もよく、夜はよく寝てくれます。
妊娠中はつわりもひどくなく、ほとんどトラブルのない順調な妊娠生活でした。
やはり自然妊娠はうれしく、できれば二人目も、と考えています。その際はまた相談させてください。
Sさま、本当におめでとうございました。
ご家族皆さまの末永いお幸せを、心より願っております。
月経周期が短い状態を中医学ではどう考える?
月経周期が短く、卵胞期が十分に確保できないとき、中医学では「気血や陰が不足し、卵胞をゆっくり育てる力が足りていないのではないか」という視点から体質を考えることがあります。
Sさまの場合は、月経周期の短さや遺残卵胞だけを見るのではなく、
- 上半身の汗
- 足の裏のほてり
- 肩こり
- 目の疲れ
- 排卵期や月経前の不眠
- 基礎体温
- 不妊治療の経過
などを総合して漢方をご提案しました。
漢方は、遺残卵胞を直接消す治療ではありません。また、自然妊娠や出産を保証するものでもありません。
しかし、病院の不妊治療を受けながら、月経周期や基礎体温、睡眠、冷え、ほてり、疲労、胃腸の状態など、体全体を整えることを目的として漢方を併用する方法があります。
遺残卵胞と漢方についてのよくある質問
遺残卵胞があると妊娠できないのでしょうか?
遺残卵胞が見つかったことだけで、今後妊娠できないと決まるわけではありません。
ただし、その周期の卵胞発育やホルモン環境に影響する可能性があるため、採卵や移植が見送りになる場合があります。
今後の治療方針については、主治医の先生とよくご相談ください。
遺残卵胞は自然に消えますか?
時間の経過とともに小さくなることがありますが、卵胞の大きさやホルモン値によって対応は異なります。
自然に経過を見る場合もあれば、ピルなどを使って次の周期へ向けて調整する場合もあります。
遺残卵胞を繰り返していても漢方相談できますか?
はい、ご相談いただけます。
土屋薬局では、遺残卵胞だけを見るのではなく、月経周期、基礎体温、排卵時期、ホルモン検査値、これまでの採卵歴、服用中のお薬、睡眠、胃腸、冷えやほてりなども一緒に確認します。
主治医の治療方針を大切にしながら、次の採卵や移植へ向けて体調を整えることを目指します。
体外受精を続けながら漢方を服用できますか?
病院で不妊治療を受けながら漢方を利用される方もいらっしゃいます。
現在服用しているお薬や注射、採卵・移植の日程などを確認したうえで、その方の体質や治療段階に合わせてご提案します。
病院から処方されているお薬は、自己判断で中止・変更しないようにしてください。
遺残卵胞や体外受精でお悩みの方へ
体外受精が見送りになったとき、周囲からは「一周期休むだけ」と言われるかもしれません。
しかし、ご本人にとっては、薬や注射、通院を続け、採卵に向けて心身を整えてきた大切な一周期です。
落ち込んだり、焦ったりするのは当然のことだと思います。
現在は、不妊治療の保険適用が進み、早い段階から人工授精や体外受精へ進む方が増えています。
土屋薬局の妊活漢方相談は、病院の不妊治療に代わるものではありません。
クリニックで治療を受けながら、
- 遺残卵胞を繰り返している
- 月経周期が短い
- 卵胞が早く育ちすぎる
- 採卵へなかなか進めない
- 採卵しても卵子が得られにくい
- 胚盤胞まで育ちにくい
- 移植を繰り返して疲れている
- 次の採卵や移植へ向けて体調を整えたい
という方のご相談も承っております。
これまでの治療経過や検査値、基礎体温、現在服用しているお薬などを確認しながら、一緒に考えていきます。
遺残卵胞や体外受精でお悩みの方は、どうぞ土屋薬局へご相談ください。
※本記事は、お客様ご本人から掲載許可をいただいた体験談です。漢方による効果や、すべての方の妊娠・出産を保証するものではありません。不妊治療や遺残卵胞への対応については、主治医の先生とよくご相談ください。
遺残卵胞・卵巣機能・体外受精の関連記事
遺残卵胞や卵胞発育、FSH高値などで体外受精に苦戦している方は、こちらの体験談も参考にしてください。
遺残卵胞を乗り越えて双子をご出産
FSH高値や遺残卵胞に悩みながら、自然周期での胚移植に取り組み、双子をご出産された漢方相談例です。
▶︎ 【双子をご出産】FSH高値・遺残卵胞を乗り越えて自然周期の胚移植へ
卵巣機能低下で卵胞が育たない方へ
クロミッドやタイミング療法に取り組んでいるものの、卵胞が育ちにくい方へ。卵胞発育と漢方の考え方を紹介しています。
▶︎ 卵巣機能低下で卵胞が育たない方へ|タイミング療法・クロミッドと漢方
FSH25から7.3へ変化し、体外受精へ
FSH高値のため体外受精へ進みにくかった方が、漢方相談を続けながら採卵・移植へ進んだ体験談です。












