
【2人目不妊と多嚢胞性卵巣(PCOS)】
焦らず、温めて、整える——漢方で「いい卵」が出てこられる体づくりへ。
生後1か月半の赤ちゃんを連れて、かつて多嚢胞性卵巣症候群でご相談くださっていたお客様がご来店くださいました。
「この子が生まれたのは先生のおかげです」と言われて、胸が熱くなりました。

多嚢胞性卵巣とホルモンバランスの関係
病院では、LHが高く、卵巣にネックレスサインが見られ、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断。
ニキビ、PMSによるイライラ、生理の貧血様症状、低温期が高めなど、排卵の兆しがつかみにくいタイプでした。
ここで注目すべきは、LH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)のホルモンバランスの逆転です。
本来、FSHが優位に働いて卵胞が成熟し、その後LHが一気に上がって排卵が起こります。
しかしPCOSではLHが常に高く、FSHとのバランスが崩れるため、卵胞が途中で止まり、排卵がしにくくなります。
この状態では、排卵誘発剤の効き目が弱くなることもあり、結果として生理不順が続くこともあります。
中医学では、この「LH高値=体の滞り」を**邪気(じゃき)**として捉えます。
体に“余分な熱”や“湿(しつ)”がこもり、気血水の流れが滞ることで、ホルモンのリズムまで乱れてしまうのです。
この「滞り」を取り除き、全身のめぐりを整えることが、漢方的な第一歩です。

卵巣のネックレスサインと「痰湿」体質
超音波で見られるネックレスサイン(卵が首飾りのように並ぶ像)は、漢方では「痰湿(たんしつ)」の体質に対応します。
痰湿とは、体内の余分な水分や老廃物がたまり、代謝が落ちた状態。
この痰湿が卵巣にたまると、卵巣の皮が厚くなり、卵が外に出てこられなくなります。
主席卵胞が育たず、排卵が起こりにくいのもこのタイプの特徴です。
この場合は、痰湿を取り除き、瘀血(おけつ)を改善して血流を整えます。
血のめぐりが良くなれば、卵巣や子宮の働きも整い、ホルモンのリズムも自然に戻っていきます。
排卵を“起こす”のではなく、“出てこれるように整える”——
これが漢方の考え方です。
「腎虚」からくる排卵力の低下
もう一つ重要なのが、「腎虚(じんきょ)」です。
腎は生命エネルギーの源であり、ホルモン分泌や生殖機能を司ります。
初潮が遅い、冷えやすい、疲れやすい、腰や足がだるいといった方は腎虚傾向です。
この腎の力が弱まると、卵を育てる力が不足し、ホルモンの働きが乱れてしまいます。
そこで、養血調経+補腎薬を併用し、体の根本を立て直すことで排卵力を高めます。
「熱をさまし、巡りを整える」ことの大切さ
「ニキビがある=熱がこもっている」体質。
このようなタイプでは、温めすぎると逆効果になることもあります。
冷やさず、温めすぎず——
“ちょうど良い温もり”で整えることがポイントです。
多嚢胞性卵巣症候群では、単に「温めればいい」という発想ではなく、
体のめぐりと代謝のバランスを整えることが何よりも大切です。
体質改善の先にある“自然のリズム”
漢方を続けるうちに、生理痛が軽くなり、血塊が減り、心の波も穏やかに。
やがて自然妊娠され、元気な赤ちゃんをご出産されました。
お客様から「体が変わっていくのを実感しました」と言われたとき、本当にうれしく思いました。
実際に、当店では一人目は体外受精で妊娠された方が、漢方による体質改善で二人目を自然妊娠された例も少なくありません。
まとめ|“いい卵”を信じて、焦らず整える
どんな方の中にも、“いい卵”は必ずあります。
焦らず、温めて、整えていけば、卵は自分のタイミングでちゃんと出てきます。
土屋薬局では、多嚢胞性卵巣症候群の体質に合わせた漢方相談を行い、自然な排卵と妊娠をサポートしています。

多嚢胞性卵巣での銀の鈴の前に待っている卵たちを解説したコラムは、こちらもご参考にしてください。
こちらも多嚢胞性卵巣の関連ブログです。
多嚢胞性卵巣で悩んでいる方へ
多嚢胞性卵巣(PCOS)による排卵障害や不妊症でお悩みの方も多くいらっしゃいます。
今回のように、体の声をよく聴きながら、漢方や西洋医学のサポートを組み合わせていくことで、希望の光が見えてくることもあります。
「妊娠力を高めたい」「体調を整えながら治療を進めたい」と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
おめでとうございます。そして、これからもご家族の皆さまの健康と幸せを心よりお祈り申し上げます。
多嚢胞性卵巣の漢方相談が得意な山形県東根市の土屋薬局です。
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