
こんにちは。
山形県東根市・土屋薬局の薬剤師、認定不妊カウンセラー、国際中医専門員A級の土屋幸太郎です。
先週の土曜日、山形市から12歳のお子さまの起立性調節障害(OD)の漢方相談がありました。
朝起きることが難しく、最近は体重も少し減ってきているとのことでした。
よくお話を伺うと、夕食を食べすぎたときに吐いてしまうことがあり、翌朝も気持ちが悪くて起きられない。
朝食も食べられず、さらに元気が出ないという悪循環がありました。
「朝起きられない」というと、自律神経の問題だけを考えがちですが、胃腸の状態や睡眠、心身の緊張なども一緒にみていくことが大切だと思います。
※個人が特定されないよう、一部の内容を調整して掲載しています。
朝起きられないのは、怠けではありません
起立性調節障害のお子さまを持つ親御さんから、
「何度起こしても起きられません」
「学校へ行く時間が迫ってきて、毎朝焦ってしまいます」
「どう接すればよいのか分かりません」
というお話をよくお聞きします。
本人もつらいですが、毎朝そばで見守るご家族も大変だと思います。
起こしたほうがよいのか、休ませたほうがよいのか。励ますべきなのか、そっと見守るべきなのか。
迷ってしまうこともありますよね。
でも、朝起きられないのは、怠けや本人の努力不足とは限りません。
お子さま自身も「起きたいのに起きられない」「学校へ行きたいのに身体が動かない」と悩んでいることがあります。
まずは、ご本人もご家族も、自分を責めすぎないことが大切です。
起立性調節障害とは
起立性調節障害は、自律神経による身体の調節がうまくいかず、朝起きられない、立ちくらみ、めまい、頭痛、動悸、倦怠感などが現れる病気です。
思春期のお子さまにみられることが多く、午前中は調子が悪いものの、午後になると少し元気になることもあります。
そのため、周囲からは「夜は元気なのに、なぜ朝だけ起きられないのだろう」と思われることもあります。
しかし、気持ちだけで解決できるものではありません。
ご本人を責めず、医療機関や学校とも相談しながら、焦らず見守っていくことが大切です。
胃腸の不調が、翌朝まで残っていませんか?
今回のご相談では、
- 夕食を食べすぎる
- 胃もたれや吐き気が残る
- 翌朝、気持ちが悪くて起きられない
- 朝食を食べられず、元気が出ない
という流れがありました。
胃腸の不調が、起立性調節障害そのものの原因とは限りません。
ただ、夕食後の胃もたれや吐き気が翌朝まで残っていれば、ますます起きるのがつらくなります。
朝食を食べられない状態が続けば、午前中に必要なエネルギーも補いにくくなります。
とくに成長期のお子さまですから、体重が減っていないか、食べられる量が少なくなっていないかも気になるところです。
夕食に何を食べたかだけでなく、
- どのくらい食べたか
- 何時ごろ食べたか
- 食後に気持ち悪くならなかったか
- 翌朝に食欲があるか
なども一緒にみていくと、身体の状態が分かりやすくなります。

夕食の食べすぎから、翌朝起きられない悪循環につながることも
中医学で考える「消導」とは
中医学には「消導(しょうどう)」という考え方があります。
食べすぎなどで胃腸に残った飲食物の消化を助け、胃腸の負担を軽くしていく方法です。
夕食後の胃もたれが翌朝まで残る場合は、
- 夕食の量を少し控える
- 夕食の時間を少し早める
- 脂っこい料理や甘いものを続けて食べない
- よく噛んで食べる
- 寝る直前まで食べ続けない
といったことから始めてみるのもよいと思います。
そのうえで、そのお子さまの体質や状態に応じて、漢方や消導の考え方を取り入れた胃腸ケアを検討していきます。
寝る前の胃腸ケアが役立つ場合もありますが、すべてのお子さまに同じ方法が合うわけではありません。
年齢や体格、症状、服用中のお薬なども確認しながら考えることが大切です。

翌朝を少し楽に迎えるために、まずは胃腸から整えていきます
「朝起きられない」だけで漢方を決めません
土屋薬局では、「起立性調節障害だから、この漢方」と最初から決めることはありません。
食欲や体重、便通、睡眠、めまい、立ちくらみ、冷え、のぼせ、疲れやすさ、心の緊張などを伺います。
舌の色や形、苔の状態も参考にします。
同じ「朝起きられない」という症状でも、胃腸が弱っているお子さま、エネルギーが不足しているお子さま、緊張や熱がこもっているお子さまなど、体質は一人ひとり異なります。
今回のお子さまは、舌先の約3分の1に赤みがあり、舌質はやや痩せた印象でした。
思春期ならではの心身の緊張や焦りも重なっているように感じられ、中医学では「陰虚内熱(いんきょないねつ)」「心火旺(しんかおう)」の状態も考えました。
胃腸だけでなく、睡眠や心身の緊張も含めて、身体全体をみていくことが大切だと思います。
まずは、食べられること、眠れることから
お子さまが朝起きられない日が続くと、
「早く元に戻さなければ」
「明日こそ学校へ行かせなければ」
と焦ってしまうこともあると思います。
でも、一度に全部を変えなくても大丈夫です。
まずは、食べられること。
眠れること。
そして、朝を少し楽に迎えられることから始めていけばよいと思います。
夕食の量を少し減らしてみる。食べる時間を少し早めてみる。朝に食べられそうなものを用意しておく。
そのくらいの小さなことからで十分です。
昨日より少し食べられた。
今日は自分から起き上がれた。
午後から学校へ行けた。
そのような変化も、立派な一歩だと思います。
焦らず、その子のペースを大切にしながら見守っていきましょう。
嘔吐や体重減少が続く場合は、医療機関へ
嘔吐を繰り返す、体重減少が続く、水分も取れない、強い腹痛がある、意識がぼんやりするといった場合は、漢方相談だけで様子をみず、早めに小児科などの医療機関を受診してください。
起立性調節障害が疑われる場合も、まず医療機関で診断を受け、ほかの病気が隠れていないか確認することが大切です。
漢方は医療機関での診療と併用しながら、体質や日常生活を整える方法のひとつとして考えていきます。
お子さまも、ご家族も、頑張りすぎないでください
朝起きられない日が続いても、お子さまの将来が決まってしまうわけではありません。
学校へ行けない日があっても、これまで頑張ってきたことがなくなるわけでもありません。
親御さんの接し方が悪かったからでも、お子さまの意志が弱いからでもないと思います。
毎朝、お子さまを起こし、食事を用意し、学校へ連絡しながら見守っているご家族も、十分に頑張っています。
どうぞ、ご家族だけで抱え込まないでください。
この文章を読んで「うちだけではないんだ」と、少しでも気持ちが楽になっていただけたら幸いです。
山形・仙台で起立性調節障害にお悩みの方へ
土屋薬局では、ご本人とご家族のお話をじっくり伺い、食欲、体重、睡眠、胃腸の状態、舌の様子などを確認しながら、その方に合った漢方や養生法をご提案しています。
朝起きられない、立ちくらみやめまいがある、学校へ行きづらい、食欲が落ちているなど、お子さまの体調でお悩みの方はご相談ください。
山形県内はもちろん、仙台など遠方の方は、お電話やメールでも漢方相談を承っています。
「このようなことを相談してもよいのかな」ということでも大丈夫です。
焦らず、今できることから一緒に考えていければと思います。
薬剤師
土屋幸太郎












