
「妊娠したことは、信じられない」
「よく赤ちゃんができたと思います」
そんな、うれしいお電話をいただきました。
こんにちは。
山形県東根市の土屋薬局、薬剤師・認定不妊カウンセラーの土屋幸太郎です。
今回は、黄体機能不全と診断され、月経量の減少や月経周期の乱れに悩んでいた30歳のKさんからいただいた、うれしい妊娠のご報告をご紹介します。
Kさんは、妊娠前から体質に合わせた漢方を続け、妊娠後も「安胎(あんたい)」という中医学の考え方を取り入れながら、身体を整えていかれました。
※個人が特定されないよう、一部の情報を変更・省略しています。妊娠の経過や漢方による体調の変化には個人差があります。
「この身体では子どもができないのでは」と不安に
Kさんが初めて土屋薬局へ相談に来られたのは8月10日でした。
当時30歳。結婚して1年で、ご主人も同じ30歳でした。
初めてお会いしたとき、Kさんは、
「この身体では、子どもができないのではないかと思っています。相談させてください」
と、不安そうにお話しされました。
パソコンを使う事務のお仕事をされており、一番のお悩みは、それまでと比べて月経量が極端に少なくなったことでした。
月経が始まっても、2〜3日ほどで終わってしまうようになったそうです。
大きなストレスをきっかけに月経周期が乱れる
Kさんは、3年ほど前に大きなストレスを経験していました。
それをきっかけに月経周期が乱れるようになり、婦人科では「黄体機能不全」と診断されたそうです。
初潮は15歳。以前から月経は不順気味で、予定より遅れることが多くありました。
生理痛はありませんでしたが、月経量の減少が強く気になっていました。
ご本人によると、もともと神経質なところがあり、嫌なことがあるとストレスを感じやすいタイプとのこと。
夜は眠れるものの夢を多く見て、冬になると足にしもやけができることもありました。
一方で、食欲はあり、胃腸の調子や便通、排尿には大きな問題はありませんでした。
土屋薬局では、このように検査結果や診断名だけではなく、
- 月経周期と月経量
- 基礎体温
- 冷え
- 睡眠と夢
- 胃腸の状態
- 便通
- ストレスの感じ方
- 日常生活や仕事内容
なども詳しくお伺いし、その方の体質を総合的に考えていきます。
黄体機能不全とは
黄体機能不全とは、排卵後に形成される黄体の働きが十分ではなく、黄体ホルモンの分泌や高温期の維持などに影響がみられる状態です。
一般的には、
- 高温期が短い
- 基礎体温が安定しない
- 月経周期が短い
- 月経前に少量の出血が続く
- 子宮内膜が十分に厚くならない
などがみられることがあります。
ただし、基礎体温だけで黄体機能不全を判断することはできません。
病院では、ホルモン検査や超音波検査、排卵の状態などを総合的に確認しながら診断や治療が行われます。
Kさんの場合は、黄体機能不全に加えて、月経量が極端に少なくなったことや、ストレスをきっかけに月経周期が乱れたことも大切な手がかりになりました。
月経量の減少を中医学では「血虚」と考えることがあります
中医学では、女性の身体について、
「女子は血をもって本となす」
という言葉があります。
女性は月経、妊娠、出産、授乳を通して、多くの「血(けつ)」を必要とします。
中医学における「血」は、西洋医学の血液だけを意味するものではありません。
身体に栄養とうるおいを与え、月経や妊娠を支える働きまで含んだ概念です。
この「血」が不足した状態を「血虚(けっきょ)」といいます。
血虚では、
- 月経量が少ない
- 月経期間が短い
- 月経が遅れる
- 顔色が青白い
- 疲れやすい
- めまいや立ちくらみ
- 皮膚や髪が乾燥する
- 手足が冷えやすい
- 眠りが浅い、夢が多い
などがみられることがあります。
Kさんの月経量の減少、月経の遅れ、夢の多さ、冬のしもやけなどから、身体を養う「血」が不足している可能性を考えました。
ストレスと月経周期をつなぐ「気」の巡り
Kさんの場合、もう一つ大切だったのが、大きなストレスを経験してから月経周期が乱れたことです。
中医学では、強いストレスや緊張が続くと「気」の巡りが滞ることがあると考えます。
これを「気滞(きたい)」といいます。
気の巡りが悪くなると、
- イライラする
- 気持ちが落ち込みやすい
- 胸や脇が張る
- お腹が張る
- 月経周期が乱れる
- 排卵が安定しにくい
- 月経前の不調が強くなる
などの症状につながることがあります。
西洋医学では、ストレスと脳、視床下部、下垂体、卵巣を結ぶホルモンの働きとの関係が知られています。
中医学でも古くから、心の状態と月経周期は切り離せないものとして考えられてきました。
「補血・養血」と「養血調経」で身体を整える
Kさんには、血を補う「補血(ほけつ)・養血(ようけつ)」と、月経周期を整える「養血調経(ようけつちょうけい)」の考え方を基本に、体質に合った漢方をご提案しました。
養血調経とは、女性の身体を養う「血」を補いながら、月経のリズムを整えていく中医学の考え方です。
月経量が少ないからといって、単純に血を補えばよいとは限りません。
胃腸の働きが弱い方、冷えが強い方、ストレスの影響が大きい方、血の巡りが滞っている方では、それぞれ必要となる漢方の考え方が異なります。
Kさんは食欲や胃腸の状態には大きな問題がなかったため、月経量や周期、冷え、睡眠、ストレスなどを確認しながら漢方を選びました。
その後、Kさんは毎日しっかりと漢方を続けられ、体調にも少しずつ変化がみられるようになりました。
「妊娠したことは信じられない」という、うれしいご報告
漢方を続けていたKさんから、後日、うれしいお電話をいただきました。
妊娠が分かり、妊娠2か月に入ったとのことでした。
「妊娠したことは、信じられない」
「よく赤ちゃんができたと思います」
驚きながらも、何度もうれしそうにお話しされる声が、電話越しにも伝わってきました。
初めて相談に来られたときには、
「この身体では、子どもができないのではないか」
と、不安を抱えていたKさん。
そのときのお顔を思い出すと、私も胸がいっぱいになりました。
本当にうれしいご報告でした。
妊娠はゴールではなく、新しいスタート
妊娠が分かったあと、Kさんから、
「黄体機能不全のことも気になるので、妊娠中も漢方を続けたいです」
とご相談いただきました。
妊娠は大きな喜びですが、妊娠したらすべてが終わるわけではありません。
むしろ、お母さんの身体には妊娠前とは異なるさまざまな変化が起こります。
土屋薬局では、病院での診察を大切にしながら、妊娠後の体調や不安についてもお話をお伺いしています。
妊娠後の身体を支える「安胎」という考え方
中医学では、妊娠を穏やかに支えていくことを「安胎(あんたい)」といいます。
安胎では、妊娠中の体調や体質に合わせて、
- 血を補う
- 気を補う
- 胃腸を整える
- 冷えに配慮する
- 心身の緊張を和らげる
などを考えていきます。
Kさんには、妊娠前から続けてきた補血・養血の考え方に加えて、「血」と「気」を一緒に補う漢方をご提案しました。
中医学では「気」は身体を動かし、支えるエネルギー、「血」は身体を養うものと考えます。
気と血は別々に働くものではなく、互いに助け合っています。
血だけでなく気も一緒に補う漢方は、周期療法では、高温期が短い方や、基礎体温がギザギザして安定しにくい方などに用いることがあります。
また、妊娠中に起こりやすい疲労感や胃腸の不調なども確認しながら、その時々の身体に合わせて考えることが大切です。
「妊娠したから漢方は終わり」ではありません
土屋薬局では、
「妊娠したから、漢方はこれで終わり」
とは必ずしも考えていません。
もちろん、妊娠後に漢方を続けるかどうかは、その方の体調や妊娠経過、病院で処方されているお薬などによって異なります。
妊娠中に自己判断で漢方薬や健康食品を使用することは避け、必ず主治医の先生や漢方に詳しい医師・薬剤師に相談することが大切です。
そのうえで、
- 妊娠初期の体調
- つわり
- 食欲や胃腸の状態
- 疲労感
- 冷え
- 睡眠
- 出血や腹痛の有無
- 病院での診察結果
などを確認しながら、お母さんの身体を支えていきます。
妊娠が分かった早い段階から無理をせず、病院での診察を受けながら、身体を大切に整えていくことが重要です。
土屋薬局が妊活相談で大切にしていること
同じ黄体機能不全と診断された方でも、身体の状態や背景は一人ひとり異なります。
月経量が少なく血虚の傾向が強い方もいれば、冷えが強い方、胃腸が弱い方、ストレスの影響が大きい方もいます。
そのため土屋薬局では、診断名や検査結果だけで漢方を選ぶのではなく、
- 年齢
- 月経周期と月経量
- 基礎体温
- 排卵の状態
- 冷え
- 睡眠
- 胃腸の状態
- ストレス
- 病院での検査や治療内容
などを丁寧にお伺いしています。
妊娠前から妊娠後まで、その時々のお気持ちや身体の変化に寄り添うこと。
それが、土屋薬局の「がんばらせない漢方」です。
まとめ|黄体機能不全・月経量減少でお悩みの方へ
今回ご紹介したKさんは、黄体機能不全と診断され、月経量が極端に少なくなったことに悩んでいました。
中医学では、月経量の減少や夢の多さ、冷えなどから「血虚」を考え、ストレスによる「気」の巡りにも注目します。
Kさんには、
- 血を補う「補血・養血」
- 月経周期を整える「養血調経」
- 妊娠後に気と血を補う身体づくり
- 妊娠を穏やかに支える「安胎」
という考え方で漢方をご提案しました。
そして、
「妊娠したことは、信じられない」
「よく赤ちゃんができたと思います」
という、うれしいご報告をいただくことができました。
妊娠の経過や結果には個人差があり、漢方を服用すれば妊娠できると断定できるものではありません。
しかし、不安を一人で抱え込まず、病院での検査や治療を大切にしながら、ご自身の月経周期や体質を見直していくことは、妊娠に向けた身体づくりの一つの選択肢です。
改めまして、このたびは本当におめでとうございました。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 黄体機能不全でも妊娠できますか?
黄体機能不全と診断された場合でも、妊娠の可能性がなくなるわけではありません。
原因や状態は一人ひとり異なるため、病院でホルモン値や排卵、子宮内膜の状態などを確認し、適切な治療を受けることが大切です。
漢方では、病院での治療を基本としながら、月経周期や基礎体温、冷え、胃腸、睡眠、ストレスなどを確認して身体づくりを行います。
Q. 月経量が少ないと妊娠しにくいのでしょうか?
月経量には個人差があり、月経量が少ないという理由だけで妊娠しにくいとは判断できません。
ただし、以前より急に月経量が減った場合や、月経期間が極端に短くなった場合には、ホルモンバランスや子宮内膜の状態などが関係している可能性があります。
気になる変化がある場合は、まず婦人科へ相談することをおすすめします。
Q. 中医学の「血虚」と貧血は同じですか?
同じものではありません。
貧血は、血液検査によってヘモグロビンなどを確認して診断されます。
一方、中医学の血虚は、月経量、顔色、冷え、めまい、睡眠、皮膚や髪の状態などを総合的にみて判断する体質の考え方です。
血液検査で貧血がなくても、中医学では血虚の傾向があると考えることがあります。
Q. 黄体機能不全と漢方は相性がよいですか?
漢方では、黄体機能不全という診断名だけで処方を決めるのではなく、高温期の長さや基礎体温、月経周期、月経量、冷え、疲労、ストレスなどを確認します。
病院でのホルモン治療などと漢方を併用される方もいらっしゃいます。
服用中のお薬との兼ね合いもあるため、主治医の先生や薬剤師に相談しながら進めてください。
Q. 妊娠が分かったあとも漢方を続けられますか?
妊娠中でも使用される漢方はありますが、すべての漢方が妊娠中に適しているわけではありません。
妊娠が分かったら、自己判断で継続や中止をせず、産婦人科医や漢方に詳しい医師・薬剤師へ相談してください。
土屋薬局でも、病院での診察結果や妊娠経過を確認しながらご相談を行っています。
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「この身体では妊娠できないのではないか」
「月経量が急に少なくなった」
「高温期が短く、黄体機能不全と診断された」
そのようなお悩みを一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。
「がんばらせない漢方」を大切にしながら、妊娠前から妊娠後まで、お身体づくりをお手伝いいたします。












