【原因不明の腰・股関節の強ばり】排尿痛・排便痛・射精痛の漢方相談|湿熱・痺証・陰虚の中医学的アプローチ

痛み、しびれ股関節痛と漢方ケア腰痛と漢方ケア

2025年12月15日

原因不明の腰や股関節の強ばり、排尿痛・排便痛・射精痛について、中医学の視点から「湿熱・痺証・陰虚」を整理した解説イラスト。漢方相談での考え方をわかりやすく示している。

こんにちは。薬剤師・認定不妊カウンセラーの土屋幸太郎です。

今朝、庭のライラックが静かに咲いていました。
その花を眺めながら、「今日も丁寧に漢方相談をしよう」と気持ちをゆっくり整えていました。

この日は、子宮腺筋症の方、体外受精の移植を控えた方、パーキンソン病の方など、多様な体質相談が続きました。

そんななか、原因不明の腰〜股関節の強ばり、そして排尿痛・排便痛・射精痛という、深刻なお悩みのご相談がありました。

これは中医学の視点ではとても重要で、私が長く学んできた 痺証(ひしょう)・湿熱(しつねつ)・陰虚(いんきょ) がまさに関与する可能性の高い症状です。

今回、いつも助言を頂いている中医師・陶先生にも確認し、貴重な見立てを伺うことができました。

(※以下は一例の記録であり、医学的効果を保証するものではありません)


🍒 ご相談内容:腰〜股関節の強ばりと下半身の痛み

お客様の主訴は次の通りでした。

■ 主な症状

  • 腰〜股関節〜下半身の強ばりと痛み
  • 排尿痛・排便痛・射精痛
  • 2年前から悪化、原因不明と言われ続けてきた
  • 数分立つだけで痛む
  • 座位から立つ瞬間がつらい
  • 車の運転姿勢で悪化
  • 軟便傾向、冬は尿が近い
  • 頭痛あり
  • 汗をかきやすく暑がり

■ 治療歴

  • 膠原病科でリウマトレックス・トラムセット
  • レミケードを3回 → 効果なし

排尿・排便・射精時の激痛は、泌尿器系疾患も疑われるため医療機関での検索は必須ですが、
中医学では“湿熱”の存在が強く疑われる典型例 と言えます。


🍒 中医学の見立て|湿熱・痺証・陰虚の複合タイプ

陶先生の見立てでは、この症状には大きく 2つの要素+痺証 が絡んでいるとのことでした。


① 湿熱(しつねつ)

湿気と熱が下半身にこもると、

  • 排尿痛
  • 排便痛
  • 射精痛
  • 鋭い痛み
  • 下腹部の張り

など、特に「出口」に症状が現れます。

瀉火利湿顆粒 などで湿と熱を抜いていくのが基本。


② 陰虚(いんきょ)

体の潤い・滋養が不足し、

  • ほてり
  • 寝汗
  • 手足のほてり(五心煩熱)

などが出やすくなります。

杞菊地黄丸・瀉火補腎丸(知柏壮健丸) などが候補。


③ 痺証(ひしょう)

腰〜股関節のこわばりや痛みは、中医学では 痺(風・寒・湿の停滞) と考えます。

湿が強いと 風湿痺
熱が混ざると 湿熱痺

活絡宝(かつらくほう) が中心的な処方。


陶先生の重要ポイント:

「湿熱が強い場合、独歩顆粒は刺激になりやすい。
まず湿をさばく方を優先し、独歩顆粒(独活寄生湯)は1日1包など控えめに。」

中医学らしい、体質の微妙な“さじ加減”の妙です。


🍒 中医学的まとめと方針

排尿痛・排便痛・射精痛が同時に存在する症状は、西洋医学では原因不明となりやすい領域です。

しかし中医学では、次の要因が重なるケースと考えます。

  • 湿の停滞
  • 熱のこもり
  • 巡りの滞り
  • 陰の不足

これらが重なると、腰〜股関節、骨盤周囲の“出口の痛み”に派生 します。

改善の順序は、

① 湿をさばく(利湿)

② 熱を冷ます(瀉火)
③ 巡りを通す(活血・活絡)

の3ステップです。


🍒 土屋薬局として

山形には優れた医療機関が多くありますが、原因不明の痛み、検査では異常が見られない不調には、
漢方が大きく力を発揮することが少なくありません。

とくに今回のような、

  • 股関節痛
  • 排尿・排便・射精時の痛み
  • 下半身のこわばり
  • 原因不明の慢性痛

は、中医学の 湿熱・痺証・陰虚の立体的な視点 が役に立ちます。

今回のお客様のケースも、改善の方向性が具体的に見えた、大変学びの多いご相談でした。

今後も経過を追いながら、記録していきたいと思います。


🍒 まとめ

  • 腰〜股関節の強ばりは湿熱・痺証が背景に多い
  • 排尿痛・排便痛・射精痛は“下焦の湿熱”の典型
  • 陰虚が重なると慢性化しやすい
  • 改善には「湿 → 熱 → 巡り」の順に整える
  • 独歩顆粒は湿熱タイプには慎重に使用
  • 活絡宝+利湿のアプローチはとても有効

🍒 同じように悩んでいる方へ

・腰〜股関節の痛みが長引いている
・検査では異常が見つからない
・排尿痛・排便痛・射精痛がある
・薬を飲んでも改善しない
・湿熱、痺証の可能性が気になる

そんな方は、無理せず漢方専門家にご相談ください。

体質を丁寧に見立てると、改善の糸口が見つかることは少なくありません。


🍒 漢方相談について

土屋薬局では、

📍 山形県東根市での対面相談 0237(47)0033でご予約お願いします。
📞 電話・オンライン相談 0237(48)2550 漢方電話相談室へ

漢方メール相談はこちらです。


📦 漢方全国発送

に対応しています。

体質に合わせて、「巡り」「冷え」「湿」「腎」などを細かく見立て、適切な漢方をご提案いたします。


🍒 おわりに

腰や股関節の痛みは、“動けない”という日常のつらさに直結します。

今回のような難しい症状も、中医学の視点を加えることで、少しずつ整理し、原因に近づくことができます。

同じ悩みを抱えている方の、一つの光になりますように。

薬剤師・認定不妊カウンセラー
国際中医師
土屋幸太郎

腰痛、股関節痛はこちらのブログも参考になりましたら、幸いです。