
こんにちは。薬剤師・認定不妊カウンセラーの土屋幸太郎です。
今朝、庭のライラックが静かに咲いていました。
その花を眺めながら、「今日も丁寧に漢方相談をしよう」と気持ちをゆっくり整えていました。
この日は、子宮腺筋症の方、体外受精の移植を控えた方、パーキンソン病の方など、多様な体質相談が続きました。
そんななか、原因不明の腰〜股関節の強ばり、そして排尿痛・排便痛・射精痛という、深刻なお悩みのご相談がありました。
これは中医学の視点ではとても重要で、私が長く学んできた 痺証(ひしょう)・湿熱(しつねつ)・陰虚(いんきょ) がまさに関与する可能性の高い症状です。
今回、いつも助言を頂いている中医師・陶先生にも確認し、貴重な見立てを伺うことができました。
(※以下は一例の記録であり、医学的効果を保証するものではありません)
🍒 ご相談内容:腰〜股関節の強ばりと下半身の痛み
お客様の主訴は次の通りでした。
■ 主な症状
- 腰〜股関節〜下半身の強ばりと痛み
- 排尿痛・排便痛・射精痛
- 2年前から悪化、原因不明と言われ続けてきた
- 数分立つだけで痛む
- 座位から立つ瞬間がつらい
- 車の運転姿勢で悪化
- 軟便傾向、冬は尿が近い
- 頭痛あり
- 汗をかきやすく暑がり
■ 治療歴
- 膠原病科でリウマトレックス・トラムセット
- レミケードを3回 → 効果なし
排尿・排便・射精時の激痛は、泌尿器系疾患も疑われるため医療機関での検索は必須ですが、
中医学では“湿熱”の存在が強く疑われる典型例 と言えます。
🍒 中医学の見立て|湿熱・痺証・陰虚の複合タイプ
陶先生の見立てでは、この症状には大きく 2つの要素+痺証 が絡んでいるとのことでした。
① 湿熱(しつねつ)
湿気と熱が下半身にこもると、
- 排尿痛
- 排便痛
- 射精痛
- 鋭い痛み
- 下腹部の張り
など、特に「出口」に症状が現れます。
➡ 瀉火利湿顆粒 などで湿と熱を抜いていくのが基本。
② 陰虚(いんきょ)
体の潤い・滋養が不足し、
- ほてり
- 寝汗
- 手足のほてり(五心煩熱)
などが出やすくなります。
➡ 杞菊地黄丸・瀉火補腎丸(知柏壮健丸) などが候補。
③ 痺証(ひしょう)
腰〜股関節のこわばりや痛みは、中医学では 痺(風・寒・湿の停滞) と考えます。
湿が強いと 風湿痺
熱が混ざると 湿熱痺
➡ 活絡宝(かつらくほう) が中心的な処方。
陶先生の重要ポイント:
「湿熱が強い場合、独歩顆粒は刺激になりやすい。
まず湿をさばく方を優先し、独歩顆粒(独活寄生湯)は1日1包など控えめに。」
中医学らしい、体質の微妙な“さじ加減”の妙です。
🍒 中医学的まとめと方針
排尿痛・排便痛・射精痛が同時に存在する症状は、西洋医学では原因不明となりやすい領域です。
しかし中医学では、次の要因が重なるケースと考えます。
- 湿の停滞
- 熱のこもり
- 巡りの滞り
- 陰の不足
これらが重なると、腰〜股関節、骨盤周囲の“出口の痛み”に派生 します。
改善の順序は、
① 湿をさばく(利湿)
② 熱を冷ます(瀉火)
③ 巡りを通す(活血・活絡)
の3ステップです。
🍒 土屋薬局として
山形には優れた医療機関が多くありますが、原因不明の痛み、検査では異常が見られない不調には、
漢方が大きく力を発揮することが少なくありません。
とくに今回のような、
- 股関節痛
- 排尿・排便・射精時の痛み
- 下半身のこわばり
- 原因不明の慢性痛
は、中医学の 湿熱・痺証・陰虚の立体的な視点 が役に立ちます。
今回のお客様のケースも、改善の方向性が具体的に見えた、大変学びの多いご相談でした。
今後も経過を追いながら、記録していきたいと思います。
🍒 まとめ
- 腰〜股関節の強ばりは湿熱・痺証が背景に多い
- 排尿痛・排便痛・射精痛は“下焦の湿熱”の典型
- 陰虚が重なると慢性化しやすい
- 改善には「湿 → 熱 → 巡り」の順に整える
- 独歩顆粒は湿熱タイプには慎重に使用
- 活絡宝+利湿のアプローチはとても有効
🍒 同じように悩んでいる方へ
・腰〜股関節の痛みが長引いている
・検査では異常が見つからない
・排尿痛・排便痛・射精痛がある
・薬を飲んでも改善しない
・湿熱、痺証の可能性が気になる
そんな方は、無理せず漢方専門家にご相談ください。
体質を丁寧に見立てると、改善の糸口が見つかることは少なくありません。
🍒 漢方相談について
土屋薬局では、
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📞 電話・オンライン相談 0237(48)2550 漢方電話相談室へ
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📦 漢方全国発送
に対応しています。
体質に合わせて、「巡り」「冷え」「湿」「腎」などを細かく見立て、適切な漢方をご提案いたします。
🍒 おわりに
腰や股関節の痛みは、“動けない”という日常のつらさに直結します。
今回のような難しい症状も、中医学の視点を加えることで、少しずつ整理し、原因に近づくことができます。
同じ悩みを抱えている方の、一つの光になりますように。
薬剤師・認定不妊カウンセラー
国際中医師
土屋幸太郎
腰痛、股関節痛はこちらのブログも参考になりましたら、幸いです。











