耳鳴りの漢方相談|実証・虚証と養生を山形の薬剤師が解説

症状・お悩み別(目・耳・鼻・のど・舌)痛み・耳鳴り・気になる不調・ダイエット耳鳴り

2026年9月8日

こんにちは。土屋薬局の薬剤師、不妊カウンセラーの土屋幸太郎です。

今回は、耳鳴りや耳の閉塞感を中医学ではどのように考えるのか、漢方相談で確認していることや、日頃の養生についてご紹介します。

先日、次のような耳のお悩みについて漢方相談を受けました。

  • 耳がふさがったように感じる
  • 耳に閉塞感がある
  • つばを飲み込むと「ガサッ」という音がする
  • 「ピー」という高い音の耳鳴りがする

耳鳴りといっても、聞こえる音や強さ、発症した時期、左右の違い、聞こえ方、めまいや耳の閉塞感の有無などは、人によって異なります。

中医学では、耳だけを切り離して考えるのではなく、睡眠、ストレス、胃腸、疲労、血流、年齢、月経の状態などを含め、身体全体を確認しながら耳鳴りの原因を考えていきます。


突然の耳鳴りや聞こえにくさは、まず耳鼻咽喉科へ

耳鳴りの漢方相談で、最初に確認しておきたいことがあります。

突然耳鳴りが始まった場合や、片方の耳が急に聞こえにくくなった場合、耳の閉塞感やめまいを伴う場合には、まず耳鼻咽喉科を受診してください。

特に突発性難聴は、突然の聞こえにくさだけでなく、耳鳴り、耳が詰まった感じ、めまいなどを伴うことがあります。治療を始める時期が大切とされているため、「しばらく様子を見よう」と自己判断せず、早めに検査を受けることが重要です。

漢方相談は、耳鼻咽喉科での診察や検査を受けたうえで、体質や全身状態を整える方法の一つとして利用していただくのが基本です。


中医学では耳鳴りを身体全体から考えます

中医学には、「耳為宗脈之所聚、十二経絡皆通于耳」という言葉があります。耳は多くの経脈が集まるところであり、身体のさまざまな働きと関係している、という考え方です。

また、中医学では「腎は耳に開竅する」と考えます。ここでいう「腎」は、西洋医学の腎臓だけを意味するものではありません。成長、発育、生殖、老化、骨、脳、耳などに関係する、より広い働きを表しています。そのため、耳鳴りでは腎の状態を重視しますが、腎だけを考えればよいわけではありません。

ストレスと関係する「肝」、食べたものから気・血・津液をつくる「脾胃」、精神活動や睡眠と関係する「心」など、ほかの臓腑の状態も耳に影響すると考えます。


耳鳴りは大きく「実証」と「虚証」に分けて考えます

中医学で耳鳴りを考えるときには、大きく「実証」と「虚証」に分けます。

ただし、実際の漢方相談では、実証と虚証のどちらか一方だけではなく、両方が重なった「虚実夾雑」の状態も少なくありません。

1.実証の耳鳴り

実証は、身体にとって不要なものや滞りが、耳の働きを妨げていると考えるタイプです。
中医学では、おもな原因として次のようなものを考えます。

  • 風
  • 火
  • 痰湿
  • 瘀血
  • 気の滞り

実証の耳鳴りには、比較的急に始まる、音が大きい、張ったように感じる、ストレスや怒りで強くなる、頭重感やめまい、耳の閉塞感を伴う、といった傾向がみられることがあります。

「痰湿」とは、胃腸の働きなどが弱ることで、身体に余分な水分や重さがたまっている状態です。身体が重い、頭がすっきりしない、むくみやすい、胃がもたれる、痰が多い、舌の苔が厚いといった体調が参考になります。

「瘀血」とは、血の巡りが滞っている状態です。耳鳴りが一定の場所に固定している、頭痛や肩こりを伴う、顔色や唇の色が暗い、月経痛や血の塊があるといった体調を確認することがあります。

2.虚証の耳鳴り

虚証は、身体に必要な気・血・陰・精などが不足し、耳を十分に養えなくなっていると考えるタイプです。

徐々に始まった、かすかな音が続く、疲れると強くなる、休むと少し楽になる、体力の低下や加齢とともに気になるようになった、といった傾向がみられることがあります。

虚証の耳鳴りでは、次のような体質を考えます。

  • 腎精不足・腎気不足
  • 肝腎陰虚
  • 脾胃気虚
  • 気血両虚
  • 心神不寧

腰や膝がだるい、足腰が弱くなった、疲れやすい、冷えやすい、眠りが浅い、口や喉が乾く、食欲がない、軟便になりやすい、顔色がすぐれないといった全身の状態も大切な判断材料になります。


耳鳴りの漢方相談で確認すること

土屋薬局の漢方相談では、耳鳴りの音だけで漢方を決めることはありません。

次のようなことを詳しくお伺いします。

  • いつから耳鳴りが始まったのか
  • 突然始まったのか、徐々に始まったのか
  • 右耳、左耳、両耳のどこで聞こえるのか
  • 高い音か、低い音か
  • 音の大きさや聞こえる時間帯
  • 常に聞こえるのか、ときどき聞こえるのか
  • 難聴や耳の閉塞感があるか
  • めまい、ふらつき、吐き気があるか
  • 発症前に風邪、疲労、強いストレスなどがなかったか
  • 睡眠時間と睡眠の質
  • 食欲、胃もたれ、軟便、下痢、便秘などの胃腸症状
  • 頭痛、肩こり、のぼせ、冷え、むくみ
  • 女性の場合は月経周期、月経痛、経血の状態
  • 現在服用している薬や治療の内容
  • 舌の色や苔の状態

耳鳴りは、耳だけの問題ではなく、睡眠不足や過労、ストレス、胃腸の弱り、血流、身体を養う力の不足などが重なっていることがあります。

そのため、その方の耳鳴りが「実証」「虚証」、あるいはその両方が重なった状態なのかを見極めながら漢方を考えます。


耳鳴りとストレス、睡眠不足

耳鳴りのご相談では、仕事や家庭でのストレス、睡眠不足、過労が続いている方も少なくありません。中医学では、ストレスによって「気」の流れが滞ると、身体のさまざまな場所に不調が現れると考えます。

イライラする、気持ちが落ち込む、ため息が多い、眠りが浅い、夢をよく見る、胸や喉が詰まる、肩や首がこるといった体調が、耳鳴りと一緒に現れることもあります。耳鳴りが気になると眠れなくなり、睡眠不足によってさらに耳鳴りが気になるという悪循環に入ることもあります。そのため、漢方だけでなく、できるだけ早く休むことも大切です。

まずは日付が変わる前に布団に入り、可能であれば午後11時ごろまでに休むことを目標にしてみましょう。完璧に実行しようとする必要はありません。忙しい日が続いているときこそ、少しでも睡眠時間を確保し、自分の身体を休ませてあげてください。


耳鳴りの食養生

耳鳴りの食養生に取り入れたい香りのよい食材セロリ

食養生も、その方の体質に合わせることが基本です。ストレスや気の滞りが気になる方には、香りのよい食材を普段の食事に取り入れることがあります。

例えば、

  • セロリ
  • せり
  • 三つ葉
  • 春菊
  • しそ
  • ねぎ
  • 柑橘類

などです。

香りのよい紅茶や花茶を、気分転換として楽しむのもよいでしょう。胃腸が弱く、身体に余分な水分がたまりやすい方は、冷たい飲み物、生もの、甘いもの、脂っこいもの、アルコールなどの摂りすぎに注意します。

一方、気・血が不足している方には、胃腸に負担をかけない食事を基本に、米、いも、豆類、きのこ類、魚、肉、卵などを体調に合わせて取り入れます。ただし、特定の食材だけで耳鳴りが改善するわけではありません。食養生は、身体を整えるための毎日の積み重ねとして考えていきましょう。

なお、グレープフルーツなど一部の食品は、服用中の薬と相互作用する場合があります。治療中の方は、医師または薬剤師にご確認ください。


自宅でできる耳のセルフケア

耳鳴りの漢方相談と耳つぼマッサージを紹介する手描きイラスト

耳の周囲をやさしく触れることは、緊張をほぐすためのセルフケアになります。耳たぶや耳の縁を指で軽くはさみ、痛くない程度にゆっくり動かします。耳の付け根を人差し指と中指ではさみ、上下にやさしくさする方法もあります。

また、中医学の導引法には「鳴天鼓(めいてんこ)」と呼ばれる方法があります。
両手で耳を覆い、人差し指を中指に重ねてから軽く滑らせ、後頭部をやさしく弾くように刺激します。
ただし、耳のマッサージや鳴天鼓は、病気を治療するものではありません。痛みやめまい、気分不良などを感じた場合は中止してください。
突然の耳鳴り、聞こえにくさ、耳の閉塞感などがある場合には、セルフケアだけで様子を見ず、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳鳴りのセルフケア「鳴天鼓」で後頭部を指で軽く刺激する方法

耳鳴りは「耳だけ」を考えないことが大切です

中医学の耳鳴りについて、少し難しい内容も含めてご紹介しました。

耳鳴りの漢方相談では、「高い音だからこの漢方」「年齢が高いから腎虚」と単純に決めるものではありません。

耳鳴りの始まり方や聞こえ方に加えて、

  • ストレス
  • 睡眠不足
  • 過労
  • 胃腸の状態
  • お通じ
  • 冷えやのぼせ
  • 月経の状態
  • 年齢や体力
  • 発症したきっかけ
  • 季節や天候
  • 耳鳴りが強くなる時間帯

などを総合的に確認します。同じ「ピー」という耳鳴りでも、必要な漢方や養生は人によって違います。耳鼻咽喉科で検査を受けても耳鳴りが続いている方、睡眠やストレス、疲労など全身の体調も一緒に整えたい方は、どうぞご相談ください。病院での診断や治療内容、現在服用しているお薬なども確認しながら、その方の体質に合った漢方をご提案します。


土屋薬局の耳鳴り・漢方相談

「病院に通っているけれど耳鳴りが気になる」

「耳鳴りだけでなく、眠りや疲れ、ストレスも相談したい」

「自分の耳鳴りを中医学ではどのように考えるのか知りたい」

そのようなご相談も承っています。

山形県東根市の店頭相談のほか、県外からの電話相談にも対応しています。相談料は無料です。ご予算や体調、治療内容をお伺いしながら漢方をご提案します。

☎ 漢方電話相談室 0237-48-2550
☎ ご来店の予約 0237-47-0033

▼漢方相談表
https://tutiya-yakkyoku.jp/kanpou-form/

※漢方薬の効果や適応には個人差があります。耳鳴りや聞こえ方に異常を感じた場合は、まず医療機関で診察を受けてください。

参考

  • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「突発性難聴」
  • 日本聴覚医学会「耳鳴診療ガイドライン2019年版」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「突発性難聴」

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