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インターネットをご覧の皆様へ
土薬局DMより抜粋して、「痛みの漢方」 をシリーズで紹介します。
原文は、12月15日作成しました。
山形県東根市神町中央通り 土屋薬局 薬剤師、国際中医師 土屋幸太郎
痛み、しびれを中国漢方で専門的に勉強している薬剤師の土屋幸太郎です。
土屋薬局での痛み、しびれの漢方相談の取り組みをご紹介します。
ご家族の方などで痛み、しびれでお悩み、お困りのの場合には、土屋薬局へどうぞご紹介してください。
読者の皆様へ
寒風が身を刺す季節を迎えました。
師走に入り、なにかと気ぜわしい今日このごろです。
山形は初雪も降り、雪国らしい季節を迎えています。
当店は、山形県内陸部に位置しています。
"夏は蒸し暑く、冬は雪が降り寒い” という厳しい自然環境で知られています。
また、山形県は“サクランボ、スイカ、ラフランス、リンゴ、米” などが豊富に採れる 農業県としても有名です。
このような厳しい自然環境や、農繁期の脚立に登ったりする作業などで、腰や膝を痛めやすい土地柄といえます。
ですから、当店の漢方相談も自然と"痛み、しびれ"の相談が多くなっています。
日本でも、これだけ"痛み、しびれ"の相談をしているところは無いと自負しています。
今回は、今まで当店が受けた漢方相談の実例を紹介し、この経験を皆様に伝えていきたいと思います。
少しでもお役に立てれば幸いです。
ケース1…電気がながれるような左手のしびれ、左足(踵)の痛み
12月10日
A子さんは、52歳の女性で 老人ホームで調理師をしています。
小柄な体形をしています。
さて、現在のA子さんの悩みは、5〜6ヶ月前からの左腕のしびれです。
左手の中指の指先から、流れるように左肩までしびれます。
しびれは、ビリビリと静電気が流れるような感じです。
最近は、右肩の “はり” も感じています。
日中は “しびれ” だけですが、夜は “痛みとしびれ” に変わり、
夜中の2時には張ったような痛みになり、目が覚めてうめき声をあげてしまいます。
ひどい時には、一晩中痛みが続き、朝まで眠れなくなります。
首のあたりは、いつも重苦しい感じで、何か物が載っているような感じがします。
持病として腰痛もあり、左足も全体的に痛くなりやすく、かかとの痛みがつらいです。
寒がりで、足のつま先が冷えます。
いわば、A子さんは体の左側半分に “痛み、しびれ” が集中している状態といえます。
トイレが近く、夜は2回小水に行きます。やや便秘気味で、食欲はふつうです。
最近は閉経気味で、ここ3ヶ月ほど生理はきていません。
総合病院や開業医などでも検査しましたが、異常は認められず原因不明と診断されました。
このまま、つらい症状が続けば、調理師の仕事にも差し支えあります。
○舌は体調のバロメーター
さて、A子さんを中国漢方の目で見るとどうなるでしょう。
舌は、紫色で暗い色をしています。
舌の形は、舌の横に波を打ったようなギザギザがついています。
苔は、白くて薄い苔をしています。
中国漢方では、顔色、声、体形など、さまざまな情報を集めて病気の原因を考えます。
そのなかでも、舌を見ることは、“病気の原因や勢い・体の状態など”を判断するのに とても役立ちます。
○紫色の舌は、血液のドロドロした汚れ
中国漢方の経験によれば、A子さんの“紫色の舌”は、“心臓が悪かったり、高血圧、高脂血症” などの、“血液の汚れ” によることが多いことが分かっています。
血液の中に、“コレステロールや中性脂肪、尿酸” などが多くなれば、血液がドロドロと汚れ、流れが悪くなってしまいます。
舌の紫色は、血液の汚れ、流れの悪くなった状態を示しているのです。
中国漢方では、血液がドロドロと汚れて、流れにくくなった状態を 「淤血(おけつ)」 と呼んでいます。
淤血があると、血液の酸素や栄養が行き渡らないので、“痛み”や “しびれ” が起こりやすくなるのです。
"痛み"や"しびれ"は、神経の悲鳴ともいえます。
○夜半に痛みが強くなるのは、ドロドロと汚れた血行不良(淤血おけつ)が原因
そこで、A子さんの左手のしびれは、血液がドロドロと汚れて、血行不良を起していることが原因だろうと推測されます。
また もう一つ、血液の汚れ(淤血)が原因と推測される症状があります。
それは、A子さんの左腕の “しびれ” は、日中よりも夜半に “痛み” が増していくことです。
一般的に夜半に痛みが強くなるのは、血行不良の汚れた血液が関係しています。
就寝中は、血液の流れが悪くなるので、血行が悪い方は夜半に痛みがひどくなるのです。
○"手足のしびれ、腰痛、冷え性"には、更年期障害も大きく関係している
同時にA子さんの年齢も見逃せません。52歳で閉経気味ということですから、更年期障害も根底にあるはずです。
一般に よく知られていないことですが、更年期障害には 「手足のしびれ」「腰痛」 が発生する場合があります。
女性ホルモンの急激な減少により、自律神経の働きが乱れ、血液の循環が悪くなるからだと考えられいます。
「冷え性」も “痛み、しびれ” を治すのに、ポイントになります。
若い頃から冷え性で悩んでいた人ほど、更年期に入ってから、症状が強くなるようです。
冷え性は、体の新陳代謝を活発なする漢方薬や、血流を改善する漢方薬を用います。
冷え性が改善すれば、血液の流れも良くなり、“痛み” の改善に役立ちます。
○血液サラサラにする冠元顆粒(かんげんかりゅう) 血液を養う 婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)という漢方薬
これらの情報をまとめますと、A子さんのつらい症状には、@血行不良 A更年期障害が絡んでいることが分かりました。
そこで私は、血行不良を改善しながら、更年期障害も同時に治す方針をたてました。
血行不良は、血液がドロドロと流れにくくなったことが原因ですから、 血液をサラサラに浄化しながら、血液の流れを改善することが必要です。
私は、血行を良くする漢方薬として、丹参製剤の冠元顆粒を選びました。
「冠元顆粒」は、丹参(たんじん)、川弓(せんきゅう)、赤芍(せきしゃく)、紅花(こうか)、木香(もっこう)、 香附子(こうぶし) の5種類の生薬が配合された新しい漢方薬です。
30年ほど前に、時の首相 周恩来総理(しゅうおんらい)の掛け声で中国全土を揚げて開発されたものが源流の漢方薬です。
さて、冷え性と更年期障害も漢方薬で改善していくことに決めましたので、こちらには「当帰を主成分にした漢方の婦宝当帰膠」を用いました。
1月10日…左肩の痛みが取れた
年が明けて、A子さんの2回目の来店です。
夜の左肩の痛みが取れて、ぐっすりと眠れるようになりました。
以前は夜中の2時ごろに、痛くてうめき声をあげていたのが、 うめき声を出さなくてもすむようになりました。
左腕のしびれも、大部楽になりました。
まだ少し首のあたりが苦しいですが、何かがかぶさっている感じはなくなりました。
ただし、左のかかとの痛みがあり、つらい感じがします。
今回の方針も前回通りに、冠元顆粒と婦宝当帰膠を同じ分量、服用することにしました。
2月25日…左足が痛く、特にかかとがつらい
3度目の来店です。
今回は浮かない顔をしています。
話を聞きますと、以下のようになります。
左腕のしびれは大体取れたのですが、左肩から左足まで、体の左半分が全部重苦しくなります。
左手、左足は冷たい感じがし、調理師で立ち仕事が多いので、左足がつらくなります。
左のかかとが立ちあがる時に痛くなります。
痛みは天気には関係ありません。
起床するときや、トイレに起きるときは、左のかかとが痛いので歩きにくいです。
しかも 寝ているときでも、左足全体が重苦しいです。
冠元顆粒と婦宝当帰膠で左腕のしびれが改善しましたが、依然として左足に痛みが残っています。
そこで再び私は考えました。
○足腰などの下半身の痛み、しびれに効果のある補腎薬
冠元顆粒と婦宝当帰膠で左腕のしびれは取れたのですが、 今度は下半身の症状がつらくなっています。
調理師をしているので、立つ機会が多いので、どうも足腰を痛めやすいようです。
婦宝当帰膠も冠元顆粒も、どちらも大変良い漢方薬なのですが、 腰痛や膝痛、かかとの痛みなど下半身の症状には効き目が弱いようです。
私は独歩顆粒をお勧めしました。
独歩顆粒は、足腰の痛みやしびれに効果がある漢方薬です。
筋肉や骨、関節を丈夫にしながら、下半身強化を図ります。
家で土台が大切なように、人間も足腰が肝腎です。
よく腰痛や、膝痛、かかとの痛みなどで、歩行困難になっている方がいます。
そのような時には、特別骨に異常が無い限り、独歩顆粒が良い効果を上げます。
A子さんには、独歩顆粒と婦宝当帰膠を一緒に併用してもらうことに決め、独歩顆粒は1日2回服用してもらいました。
4月3日…左足の具合が改善し、かかとの痛みも良くなった
独歩顆粒と婦宝当帰膠を服用してから、一ヶ月間過ぎてからの来店です。
独歩顆粒を服用してから、左足の具合は大部良くなってきました。
特にかかとの痛みが良くなりました。
腰痛も感じなくなりました。
ただし、左手の特に中指にしびれがあります。
左肩から指まで、ビンビンとしびれる時もあります。
左肩や背中がどんよりと重い感じがします。
足は冷えやすいです。
最近は便秘がちですが、食欲はあります。
もっと効き目を確かにするために、前回と同様に独歩顆粒と婦宝当帰膠を服用してもらいます。
5月1日…うめき声を上げるような痛みはなくなった
左手の指先までのしびれが少し残っています。
でも就寝中のうめき声を上げるような痛みは、もうありません。
苦しくて、眠れないことはなくなりました。
両方の肩の重い感じは、まだ残っています。
漢方薬は、独歩顆粒と婦宝当帰膠の1日2回で、前回と同じ分量です。
6月30日…左足のかかとの痛みは治った
左手の指先のしびれはありますが、左足のかかとの痛みは治りました。
A子さんは現在でも立ち仕事が多いので、独歩顆粒を愛用して元気に仕事や家庭に打ちこんでいます。
その後の痛みの再発はあまりなく、良い状態を保っています。
まとめ
丹参製剤の冠元顆粒は、ドロドロと流れの悪い血液をサラサラにし、痛み・しびれを改善の手助けに役立ちます。
独歩顆粒は、腰痛、膝痛、かかとの痛みなど、下半身のつらい症状を楽にします。
婦宝当帰膠は、冷え性を改善しながら痛みを解消します。
男女を問わず服用できます。
こちらのコラムも参考にしてください。痛み、しびれに強い土屋薬局!
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